勝手なまねする奴ら
モンドたち、『風吹くままに』はセヴェル街に近いところを通っている途中のある日のこと
「なあシュヴ、ひとついいか? 」
モンドは運転席で巨大な旅車を操縦しているシュヴにそう言うと
「あ、いいけど」
シュヴは運転席の隣にある助手席に腰掛けているモンドにそう返す
「いや、セヴェル街にもう近いのに、ケートスの姿が全然見えないいんだけど? 」
モンドはセヴェル街より、大きい空飛ぶクジラの形をした役物である『ケートス』の姿が一向に見えないことに疑問を感じたため、シュヴに聞いてみることにする
「ん、ああ、ケートスは下と上から以外は見えないんだ」
シュヴは、前を見て旅車を動かすハンドルをまわしながら、そう返す
「え、なんで? 」
今までの常識では考えられない、謎の現象にモンドはついそう漏らしてしまう
「さあ、そういうもんだとしか言いようがないな」
シュヴは淡々と答える
「まだ、解明されていないということか? 」
シュヴの答えにたいし、モンドがそう言うと
「いや、理屈や法則を飛び越えてそういう現象が起きているんだ、つまりわかりやすく言うと、何かしらのルールに基づいてケートスは上下からしか見えないんじゃなくて、ケートスは上下からしか見ることができないということ自体がルールなんだ」
モンドの考えを否定するように、シュヴは言葉を並べる
「はあ~、ずいぶん変わっているな~」
ずいぶんとファンタジックな話にモンドは驚かされる
「この世界『テラテッラ』では度々(たびたび)ある事だよ、この世界のルールを無視した勝手なルールのことを『掟破り』というな、実は『星質』もその一種なんだぜ、そもそもオレやお前は存在自体が『掟破り』だからな」
シュヴはそう言う
「はあ? 一体どういう……! 」
シュヴのちょっと衝撃的な発言にモンドは面食らった顔になる
「だって、オレとお前は突然、親もなくわいて出てきたようなもんだぜ、それでいて『星来者』でもない、完全にこの世界の法則上ありえない存在なんだ」
シュヴはツラツラと言葉を並べる
「マジかよ……そういう事ってあるもんなんだな」
モンドは、自分がこの世界においてかなり異質な存在であるということは薄々勘付いていたのでショックはないがしかしそれでもハッキリ言われると驚いてしまう。
「そういえば、お前はいつもリリトを出しっぱなしだけど、『星喚書』に戻すことはできないのか、そうなれば部屋一つ空いていいんだが」
シュヴがいきなり話を変えてくる
「いや、それがさ何度やっても元に戻らないんだ」
モンドは、シュヴと同じことを思い、リリトと協力して、様々な方法でリリトを星喚書の形態にしようとしたができなかったことを思い出しそう言う
「やっぱりか……本来は役物とその持ち主が合意すれば星喚書の形態になるのだが、ならないということは、やはりリリトも掟破りな存在ということになるな」
シュヴは少し考え込むようにそう言う
「5人中3人も掟破りが偶然出会うとか運命を感じるな」
モンドが冗談めかしてそう言うと
「いや、リリトとモンドの出会いは完全に偶然だった、でもそれは何か意味があるのかもしれない、なあ前にこの世界に転生したのは意味が有るって言ったよな」
シュヴは前を向きながら、そう聞いてくる
「ああ確かにそんなこと言ったな……」
サティルス村でのできごとを思い出しながら、モンドはそう言う
「『風吹くままに』のメンバーはモンド、お前が来てからとんとん拍子で見つかりその後増えていない、もしもの話だがイブとスレイが掟破りな存在であった場合何者かの意思が働いているように仲間が見つかったことになる、いや今にして思えば皆殺しになった中たった二人生き残り、ちょうどオレたちが通りかかる所で野盗に襲われているなんてことは、偶然にしては出来過ぎじゃないか」
シュヴは眉間にシワを寄せながらそう言う
「偶然だろ」
モンドは一言そう返しても
「いや、神話級の魔物が道中に現れたり、サティルス村の時だってなぜかオレはザイダニエ街で金を買わなかったおかげで、略奪行為をする連中と止めることができたし、その村の巫女であるシェールのおかげでこうしてモンドが転生した理由を考えることができる、偶然と言えばそれまでだが、オレはなんとなくだが本当に神様が何かを狙って、モンドを転生したのかもしれないと思うようになってきたんだ」
シュヴが難しい顔でそう言う
「そうか……でもこればっかりは、俺やお前じゃあいくら考えてもわからないよな~」
モンドも難しい顔でそう言っていると
突然、空が黄色くなった
「うお! 」
モンドは急な空の変化に驚くと
「あ、ケートスの下に入ったな」
シュヴがそう言う
「まあ、転生の理由はその内わかるでしょ」
モンドがそう言うと
「それもそうだな」
シュヴはそう返した。




