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無職は転生してフリーターに進化した!  作者: 鋏と電灯
第三章〜後ろを振り返って〜
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ベル人形

リーダー格であるホデルを失ったサティルス村を襲っていた連中は、完全に戦意が喪失し、残った村人たちでも簡単に捕らえ、その後シュヴたちが連絡したであろう警軍けいぐんに、皆連れて行かれてしまった。


「はあ~、大変だったぜ」


 警軍けいぐんにしつこく何度も質問攻めにされたモンドはため息をつきながらそう言う


「まあでも、賞金がたんまりもらえたんだからいいだろ」


 シュヴはそう言って、お金がつまった袋を見せる


 ホデルという男は、闇社会ではかなり上の地位にいたらしく、その賞金の額は1300万ウェイトにもなる。


「旅の方々、この村を救っていただき、ありがとございますじゃ! 」


 サティルス村の村長であるモセンは、地面に頭をこする付けるような格好で、そう言ってくる


「あ、いえ、顔を上げてください」


 いきなりの土下座にシュヴは気を使うようにそう言うと


「いえ! 村を救ってくださった英雄様にこの程度のことではとても感謝しきれません! これから、大したことはありませんが皆様を讃えるうたげを開きたいとおもっておりますじゃ」

 

 モセンは、涙を流しながらそう言う


「いえ、そんなことしなくていいよ、俺たちのことより村の復興に力を注いでくれ、あとこれはやるから復興の足しにでもしてくれ」


 そう言いながら、モンドはお金の詰まった袋をモセンに渡す


「い、いえ、そのような! 」


 モセンは首を勢いよく横に振る


「いや、いいって、やる、それじゃあな」


 モンドがそう言って村から立ち去ろうとする


「あ、おい、まて」


 シュヴもモンドのあとを追うように走る


「な、なんという……」


 モセンはモンドのその見返りを求めない姿勢に感銘をうけ、体が震える


 村から少し外れた荒野でシュヴは


「なあ、あれでいいのか? 」


 眉をひそめそモンドに尋ねる


「いいんだよ」


 モンドは、所詮は貰い物の力で、雑魚を一人倒したぐらいで、ああも派手に感謝をされていこごちがなんとなく良くなかったので、そう言っておく


「はあ、まあホデルを倒したのはお前だから、お前がそれでいいならいいんだけどな」


 シュヴはため息をつきながら、しかし嬉しそうに笑いながらそう言うと


 ガサ


 草むらから物音が聞こええきた


「なんだ」


 モンドの視線の先には、シェールがいた


「はあ……はあ……」


 シェールは息を切らし、顔が赤い


「なんかようか」


 モンドがそう言うと


「あ、あの……私と結婚してください! 」


 シェールが大きな声でそんなことを叫ぶ


「ぶぐっ! 結婚! 」


 居にそんなことを言われて驚いたモンドは、変な声が出てしまう


「はい……結婚です」


 シェールは真剣な面持ちでうなず


「いきなりだな、そういうのはお互い良く知ってからだぜ」


 シュヴは少し不機嫌な様子でそう言うと


「もう、私の決意は決まりました……あとは返事だけです」


 シェールの迫力すら感じられる、雰囲気に


「そ、そうか」

 

 シュヴはそう言って一歩後ずさる


「いや~、ほら、シェールって巫女だから結構相手は村が決めるとかないの? 」


 モンドは引きつった顔でそう言うと

 

「相手は自分で決められます」


 シェールは即答した


「あ~、俺は村には留まれないかな~」


 モンドはあさっての方を見ながら、そう言うと


「私が村を出ます」


 シェールは元とがんした様子で答える


「いや! それは村が困るんじゃないの? 」


 モンドは、相変わらず引きつった笑顔でそう言うと


「たしかに、そうです、それでも私は……! 」


 シェールはかたくなにそう言う


「シェール……、俺たちは全員な帰る場所がないんだ、だからこうやってあてもなく旅をしている、でもお前は帰る場所が有り、きっとみんなもお前を必要としている……だからお前は残れ」


 モンドがちょっと真剣な様子でそう言うと


「私ではダメですか……」


 泣きそうな顔にシェールはなる


「べつに……ダメっていうわけじゃない、というか俺にはもったいなぐらいだけどさ、俺はまだ結婚とかよういうのはよくわかんないんだ、だから今の俺ではお前を故郷から離すほどのことはできない……ごめんな」


 モンドが申し訳ないという顔でそう言うと


「じゃあ、待ってます……ずっと、ずっと! 」


 シェールが絞るように声を出すと


「ああ、もし、お前と結婚したいと思ったら必ずここに戻って、俺からプロポーズをするよ」


 少し笑いながらモンドがそう言うと


「じゃあ、これ受け取ってください」


 シェールはそう言って、モンドに何かを手渡すと、走ってどこかに消えてしまった


「なんだこれ」


 モンドはシェールからもらったものを見る


 顔の変わりにベルがくっついた、風変わりな人形だった


「これは……ドゥモンド・アン・マリアージュだな」


 シュヴがそうつぶやいたので


「なにそれ? 」


 モンドが人形の正体を聞いてみる


「ああ、ドゥモンド・アン・マリアージュはエルフの伝統的なプロポーズのひとつで顔がベルでできた手作りの人形を意中の人に渡し、その意中の人が直接渡した人に返したら、結婚にOKしたというやつだ」


 複雑そうな顔をしたシュヴがそう説明する


「そうか……なんかロマンチックだな」


 空を見ながらモンドはそう言う


「ま、ちゃんと考えてやれよ」


 シュヴがさっきまでと違い軽い口調でそう言う


「もちろんさ」


 モンドはそう答えながら、微笑んだ。

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