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無職は転生してフリーターに進化した!  作者: 鋏と電灯
第三章〜後ろを振り返って〜
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王は災いに吹き飛ばされる

 炎熱につつまれるサティルス村に、モンドは降り立つ


 まず目に入っったのは怪我をしていたシェールの姿、そしてシェールを治療したあとに目に入ったのは、中年の細身の男。


「お前は誰だ? 」


 モンドがそう、静かにたずねると


「僕の名前は、ホデル・フィッケーンっていうんだ、よろしくね」


 村が炎に焼かれているこの状況において、不釣り合いを通り越して不謹慎とすら言えるほど、さわやかにホデルは言った


「ひとつ質問いいかな、この村を襲った奴は誰だ? 」


 モンドはホデルをジッと見つめる


「もちろん僕さ、この村には活きのいいエルフがたくさんいるからね、ドンドン捕まえて、ドンドンお金に変えなくちゃ」


 ホデルは明るく答える


「そうか……奇遇きぐうだな、ちょうど俺も活きのいいクソ野郎をドンドン捕まえて、ドンドンお金に変えようと思っていたところだ」


 ホデルを睨みつけるように、そうモンドが言うと


「そう、じゃあ頑張ってね」


 ホデルが他人事のように言った瞬間


 モンドは加速的に一瞬でホデルとの距離を詰め、殴りつける


「ああ、しっかり頑張るぜ」

 

 派手に吹っ飛ぶホデルを見ながら、ニヤリとモンドが笑う


「つっ……、ひじりよ地にう私に天へ飛び立つめぐみを『飛天歌ウォラーレ』! 」


 さっきまでふざけた顔をしていたホデルが真剣な顔立ちになり、魔法を使うと


 アッと言う間に雲が掴めるほどの高さの場所に移動したホデルは、円と特殊文字を描き


 「『茜渦ケマルエリセ』」


 そう唱えると


 茜色に輝く、暴風の塊が、モンドをに向かって、焼却の唸り声を上げながら迫り来る


 ホデルはモンドを危険性の高い敵と認定し、獲物と部下を全てを灰にするという犠牲を出しても、モンドを排除しようとする


 夜なのに、夕日のように赤色に染まる空


 サティルス村に居る全員が、絶望に心が染まる


 ただし


 モンド・ムッボシという唯一の例外を除いて


 モンドはただ眼前に広がる、火と風の集まりに対処するため


 『水槍アーグアランラ』を発動させる


 それだけでホデルの放った『茜渦ケマルエリセ』は呆気なく押し負けてしまう。


「ば……馬鹿な……下から放った『水槍アーグアランラ』で僕の『茜渦ケマルエリセ』こんなアッサリと……」


 ホデルは水の槍をかろうじて回避すると、驚愕に満ちた顔になる。


 『水槍アーグアランラ』は収束させた水を高速で発射させるという性質上、あまりに高すぎる相手には効果が薄い、圧倒的な攻撃力を誇るホデルの『茜渦ケマルエリセ』を簡単に消すだけでなく、当たればホデル自身が血煙になってしまうほどの威力を出すということは、トチ狂ったレベルの威力がなければできない


「よう、のんびり驚いているなんて、ずいぶん余裕だな」


 ホデルが声のした方向、上を向くと、モンドが不敵に笑っていた


「一体いつの間に……!? 」


 ホデルはモンドが上に昇ったことを感知できなかった


 完全に実力に差があるな……


 ホデルはそう思うが、まだ絶望はしない


 どんな実力差も覆せるほどの切り札をホデルは持っているからだ


「シュトッペン」


 ホデルがそう囁くと、ホデル以外のすべてが止まった。


 『時の独裁者(デュードエロヴラレ)


 ホデルはそういう名前の星質ジェニーを持つ、これはキーワードを言うことで自分以外の全ての時を止めるという効果を持つ


 ただし、この星質ジェニーには制約があり、一つ目があらゆる存在にダメージを与えることができないということ、二つ目が『時の独裁者(デュードエロヴラレ)』の発動中は魔法が使えないこと


 現に今、ホデルの 『飛天歌ウォラーレ』は効果を失っている、しかし時を止めたことにより落ちることはない


「時間は皆に平等と言われる、でも僕は独り占めできる、これが支配者だよ、モンドくん、世の中は力だけでは、どうしようもないこともあるということを、しっかり学びたまえ、まあもっともすぐに死んじゃうから意味ないけど」


 ホデルはそう言って、ナイフを十数本モンドに向かって投げつける


 刺さることはないが、刺さる直前で止まっている


 いきなりそんな状態になれば、そしてナイフが深々と刺さるという現実を回避することは不可能


「さようなら、モンドくん、ゲーエン」


 ホデルは勝利を確信しながらそう囁くと、すべてが動き出す


 ホデルの首が何かに掴まれる


「がぁ……」


 口から苦しそうに息を漏らしながら、ホデルは状況を確認すると


 ナイフに刺されてサボテンになっているはずのモンドが、ホデルの首を掴んでいた


「な……どういう」


 ホデルは脳が混乱する


「簡単さ、お前が認識できない程、早くナイフを避け、お前の首を掴んだだけだ」


 モンドはそう言いながら、手に持った数十本のナイフを見せる


「なっ! そんな! ありえない! 」


 ホデルはとりみだすように叫ぶ


「落ちつけって、ほら返すよ」

 

 モンドはそう言うと、ホデルの腕にナイフを突き刺す  


「ぐぎゃう!!」


 ホデルは悲鳴を上げる


「いいかよく聞け、いまからお前が殺されない方法はただ一つ、今まで自分がしてきたことを反省し罪を償うことだ」


 モンドは、落ち着いて、諭すようにホデルに語りかける


「あと、しばらくたったら、お前の様子を見に行くから、もし反省もしてなくて罪も償っていなかったら……後はわかるよな」


 モンドがそう言い切ると


「は、は、はい」


 恐怖に怯え切ったホデルは首を縦に何度も振る


「逃げ出してもすぐわかるからな、そんなこと考えようとするなよ」


 モンドは念を押すようにそう言うと


「考えません!」


 大きな声でそうホデルは答えた


「そうかそうか」


 モンドは笑顔になりながら、地面に降り立ち、ホデルの首から手を離すと


「夜も遅いし、おやすみ」


 ホデルの顔面をモンドは思いっきり殴りつけると、ホデルはボールのように飛ばされ鼻血を吹き出しながら意識を失った。


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