エルフの村へようこそ!
セヴェル街に向かう予定であった、モンドたちであったが、旅車の不都合により、急遽エルフたちの住まう村『サティルス村』に向かうことになった。
「なあ、シュヴここがサティルス村か? 」
木でできた堅牢な壁の前に立ちモンドは、シュヴにそう聞く
「ああ、そうだと思うが」
そう言った、シュヴの目にはサティルス村と書かれた看板があった。
「なにものだ! 」
壁の近くにある木の上の方から、凛とした女性の声が響く
「オレたちは『風吹くままに』、ただのさすらいの武器商人さ」
シュヴが落ち着いた声音でそう言う
「武器商人……そんな連中がなんのようだ! 」
そう声が響いたかと思うと、木の上からエルフの女の人が一人華麗に舞い降りてきた。
「いやなに、旅車の金でできた部品が壊れ気味なんで、金を売っていただける方はいないかと立ち寄らせていただいたのさ」
シュヴは冷静に相手を納得させようとする
「ふむ……わかった、足止めして悪かったな、ようこそサティルス村へ」
そう言ってエルフの女性は頭を下げこちらに道を譲った
「いや、こんな変な連中が来たら警戒するわな、まあ、入れてくれてありがとうな」
そう言いながら、シュヴはサティルス村の中に入る
そのあとに続いて、モンド、イブ、スレイ、リリトが中に入っていった
「おぉ~これがエルフの村かぁ」
決して広いとは言えないが、木の上に家があり、真ん中に大きな火を焚いている、そのどことなく不思議な雰囲気にモンドがそう声を漏らす。
「なんだか懐かしいねイブちゃん! 」
スレイが楽しそうにイブに声をかける
「うん、故郷に帰ってきたみたい! 」
イブもまたスレイと同じく楽しそうな顔をしていた
無くなってしまった故郷にソックリだもんな、嬉しいよな……
モンドはそんなことを考えながら、笑顔で言葉を交わしている二人のエルフの少女を見つめていると
「これは、これは、旅の皆さま方、このような辺鄙な場所にお越しいただき、誠にありがとうございますなのじゃ、たいしたおもてなしもできませんが、どうぞゆっくりしていってくださいですじゃ」
モンドたちの耳にしゃがれた声が入る
モンドは声のした方を見ると
えらくヨボヨボの頭に乗っけた鳥の剥製が目立つ老人のエルフが立っていた
「いえいえ、そんなにご謙遜なさらずとも、あなたがこの村の村長ですか」
シュヴが世間話でもするようなそう言うと
「え、ええ、こんな年ばかりくった老いぼれですが、一応サティルス村の村長をさせていただいておりますモセン・イリキオメノスといいますじゃ、皆は村長ではなく長老と呼ぶのじゃがな」
サティルス村の村長であり長老のモセンは、うやうやしく頭を下げる。
「いえいえ、亀の甲より年の功とも言います、あなたは皆から信頼されてこの村の長になっているのですから胸を張って長生きしてください」
シュヴがそう言うと
「ワシの腰は曲がりきっておりますじゃ、胸を張るにはいささか年を食いすぎてしまいましたのじゃ」
モセンが冗談めかすようにかえす
「胸を張るほど、腰が上がらないと! これまた一本取られましたな~」
シュヴは笑いながらそう言って、自分の頭をぺチンと叩く
「いえいえワシなんぞ一本どころか、歯を15本も取られておりますじゃ、さて冗談もこのぐらいにして旅の方よ聞きたいことがあれば、ぜひこの老いぼれを頼ってくださいなのじゃ」
モセンが人のいい顔でそう言うと
「おじいちゃん、トシいくつ~」
リリトが無邪気な顔でそう言う
「お、おいバカ! あ~、すませんね~この子バカですから相手にしなくていいですよ~」
シュヴが愛想笑いをする
「いえいえ、ただでさえ長生きなエルフ、その長老ともなれば、年がきになるのは当たり前ですじゃ、そんなに怒らなくてもいいのですじゃ」
モセンはそう言いながら優しい顔をする
「え、あ、そうですか……では、何歳か教えてなんて言ったら教えてくれるんですか? 」
シュヴも興味がありそうな目でモセンを見つめる
「ホッホッホ、ワシは千年は生きておりますじゃ」
モセンはそう言って自慢げに笑う
「千年!? 歴史の生き字引じゃないですか! 」
シュヴがそう言って驚く
「ワシは長生きと昔語りぐらいしか取り柄がない老いぼれじゃが、その二つはテラテッラに並ぶものなしと自負しておりますじゃ」
モセンは自信満々に鼻から息を強く噴きださせる
「いや~、それはすごい! せっかくだからなにか聞かせてくださいよ」
おねだりするようにシュヴがそう言う
「あたしも聞きたいな~」
続けてそう言った、リリトも興味津々といった様子だ
「ホッホッホ、若い者に昔話を聴かせるのは年寄りの楽しみの一つ、ワシの自宅でゆっくり話そうですじゃ」
モセンが楽しそうにそう言う
「おいモンド、オレとリリトはモセン村長の話を聞きに行くが、お前はどうするつもりだ? 」
シュヴはモンドにそう聞く
「まあ、そこらへんでも散歩しているよ、ゆっくり聞いて来い」
モンドがそう言うと
「お、ワリーな」
シュヴはそう言ってウィンクすると、リリト、モセンと共にどこかえに消えていった。
さて、どうしたもんか
モンドは周りを見渡す、シュヴとスレイはモセンの話を聞きに行ったし、イブとスレイは昔を懐かしみたいのかどこかへ行ってしまった。
俺一人か……
モンドはそう思うが、特にやることもないので、シュヴに言ったとうり、とりあえずサティルス村を散歩することにした。




