鍛冶
モンドとシュヴは朝早くに起き、武器製造のために、必要な細かい準備し、昼ごはんを済ませた後
本格的に製造に取り掛かることにした。
「それじゃあ、はじめるかモンド」
昼前に鉄と君子の宝石を融かし、混ぜ合わせ、型に流し込んだ、剣の元となる合金の板三枚を見ながらシュヴはそう言う。
このうち、一枚は刃の部分になる、硬い鉄である『鋼』
残りの二枚は、硬く脆いは鋼を包み守る、粘りけのある鉄である『地金』
ただし、モンド作の鋼はそこいらの地金より、はるかに粘り気があり
地金はそこいらの鋼より、はるかに硬い。
「ふう、そうだな」
モンドがそう言うと
シュヴはヤスリで錆をおとし、汚れをふきとりながら
「おう、手伝ってほしいことたったら言うから、その間は見学でもしてくれ」
綺麗になった鋼を綺麗になった地金の間に挟む。
シュヴは鋼と地金間に粉みたいなものを入れていた。
モンドは疑問に思い
「なあ、シュヴその粉は何? 」
と聞いてみる
「ああ、これは『鍛接剤』といってだな、融けない程度に熱した鉄をくっつけるのを『鍛接』と言うんだ、しかし鉄は熱すると、硬い膜みたいなのは出来るんだが、その膜は鍛接の邪魔になるから、鍛接剤でその膜を取り除くんだ」
とシュヴは答えてくれたので
「ふ~ん、そうなのか」
モンドはそう返した。
「それじゃあ、入れるぞ」
シュヴはそう言って、重ねた三枚の鉄の板を、高熱の炉の中に入れる。
そして、鉄が赤く光り始めると
「いまだ! 」
シュヴはそう言って、素早く取り出し、赤く熱せられた鉄をハンマーで何度も叩き、甲高い音を響かせる。
そうして、剣っぽい形になると、もう一度炉の中に、しばらく入れる
その後、また取り出し、断熱性の高い布に入れ、ゆっくり冷やす。
「ふう、これでしばらくは暇だな」
汗をだらだら流した、シュヴがため息混じりにそう言う。
「ご苦労さん、剣の形は出来ていたけどもう完成したの? 」
モンドがそう言うと
「いや、『焼き鈍し』が終わっただけで、今の状態だと柔らかすぎる、まだまだやることはあるぞ」
シュヴがそう言う
「うわ~、大変だな~」
モンドがそう言うと
「剣なんて、そうお手軽にできるわけないだろう」
シュヴがそう言う
そうこうして、しばらく時間が経つと、制作途中の剣がだいぶ冷えたのでシュヴは
「ちょうどいい頃合だな」
そう言って、制作途中の剣の形を整え
また制作途中の剣を炉の中に入れる。
そうして、しばらく熱したあと、取り出し水の中にいれ急速に冷やす。
「このぐらいかな」
あまり、急速に冷やしすぎると、鉄は割れてしまうため、いい感じのタイミングでシュヴは制作途中の剣を水から取り上げる。
そうして、しばらく、空気でゆっくり冷やすと
「モンド出番だ、超冷たい魔法を使え」
シュヴがそう言うと
「超冷たい魔法? 」
モンドがそう言って、首をかしげると
「物を冷やす魔法だよ」
シュヴがそう言う
「ああ、わかった」
モンドはそう言うと
円と文字を書き
「『凍気』」
そう言うと、とてつもない冷気が出る
この魔法は、水と風のあわせ技であり、かなり難易度が高い
「よ~し」
シュヴはモンドが出した冷気に制作途中の剣をかざし冷やす。
「なんかこれ意味あんの? 」
モンドがそう聞くと
「ああ、この作業は『焼き入れ』っと言って、鉄を硬くする作業なんだ、鉄はゆっくり冷やすと柔らかく、加工しやすくなる、そして急激に冷やすと硬くなるんだ」
シュヴはそう言う。
「じゃあ、硬くなったから、もう完成? 」
モンドがそう言うと
「いや、今度は硬すぎて脆い、だから」
シュヴはそう言って
少しだけ熱い炉の中に、制作途中の剣を入れる。
「こうやって、少しだけ熱するんだ、ちなみにこの作業は『焼き戻し』って言うんだぜ」
しばらくして、制作途中の剣を炉から取り出し
高速回転するヤスリで刃を作る。
最後に持ち手を作ると
両刃の直刀が出来た。
「ふう~、完成! 」
シュヴは汗を流し満足気にそう言った。
「おお~、なかなかの剣じゃあないか」
モンドはそう言う
「そうだろ! 」
シュヴは少し興奮ぎみにそう言う。
「でも、いちいち冷やすためだけに、俺がいるのは嫌だな~」
モンドはそう言うと
「え~、まぁ、確かに意味ない感じはするな」
シュヴはそう言う
「じゃあ、冷凍玉でも作るか」
モンドはそう言って、君子の宝石と水を合わせると
わずかな魔力で非常に冷たくなる石ができた。
「うん、これを箱か何かに入れておけば、お前の手は借りなくて済むな」
シュヴは頷きながらそう言った。
「そんなことより、これをみんなに見せてみようぜ」
モンドはそう言うと
「そうだな! 」
シュヴはそう返した。
イブ、スレイ、リリトの三人をよんで、リビングで剣を見せる
「できたんですか」
スレイはいつもの感じでそう言う
「見た目は普通だね」
リリトは興味なさげに言う
「ちょっと、持ってみていいですか! 」
イブは二人と違い興味津々(きょうみしんしん)にそう言う
「ああ、いいぞ」
シュヴはそう言って剣をイブにわたす
「かなり軽いですね」
イブがそう言うと
「ああ、軽くて、丈夫で、切れ味バツグンだぜ」
シュヴがそう言う
「は~」
イブは感心したように剣を見つめる
「イブ、お前にそれやるよ」
シュヴがそう言うと
「ええ! でも……」
イブは商品の剣をもらっていいのかと、遠慮がちにそう言う
「いや、気に入いたみたいだし、やるよ」
シュヴがそう言うと
「じ、しゃあ、ありがたくいただきます! 」
イブは、嬉しそうに笑いながらそう言った
「あ、でも今は鞘を作るのに必要だから返してもらうぞ」
シュヴはそう言うと
「あ、わかりました」
イブは、そう言ってシュヴに剣を返した。
「じゃあ、あとはオレ一人で作るから、お前らは好きにしていてくれ」
そう言って、シュヴは作業する場所に消えていった。
その日、シュヴはイブの分を含め三本の剣を作った。




