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02

私の幽閉生活が始まってから一ヶ月はすぎただろうか。

私の一日は、朝起きて身支度をし、朝食を食べ、その後は本を読む。そして昼食前にクレアちゃんが来ておしゃべりをしながらご飯を食べ、夕方前には帰ってゆく。そうしたら私はまた本を読み始め夕食の時間になったら夕食を食べ、夜の30分間だけ許されているベランダだけど外へ出て新鮮な空気を吸う。そして寝るだけだ。

毎日毎日同じパターンの生活でいいかげん飽きてきた。たくさん本は読めるがそれは、私に余分な知識を与えないようにかあの宰相が選んだ本だし、むちゃくちゃつまらないのばかりだ。私は自分の好きな本を読みたいのに!それに聖女様とか魔王について、そして黒髪のことについても調べてみたい。

はあ、と大きなため息をついたら私のお世話係のメイドのエミリアが声をかけてきた。


「ユリ様?どうしました?いつもより大きなため息ですけど」

「いいかげんおんなじような生活に飽きたの。宰相さんのもってくる本はつまんないのばっかりだしさ〜」


エミリアだけが、私に脅えず、きちんと人として接してくれる。

余談だが、この国の人はユリと発音するのが難しいらしく、最初はユーリと伸ばして発音していた。エミリアがきちんとユリと呼べるようになったのはごく最近のことだ。


「ちょっ!?ユリ様…!」

「ん?」


肘で背中をつつかれエミリアの方を向いたらそこには宰相さんがいた。


「私が選んだ本がなにか?」

「あ、宰相さん。おはようございます。はっきり言っちゃうと宰相さんの選んだ本って面白くないんですよ。なんですか?こないだ持ってきた本であった『正しい上司の扱い方』って本。あれ宰相さんの個人的な本じゃないですか?間違えてると思いますよ」


そういって例の本を宰相さんに渡す。

最近鬱憤が溜まってきているのでちょっと愚痴らせてもらう。まあ、こんなこといっても宰相さんはずっと無表情なんどけどね。


「たまに冒険ものの小説もってこれば内容は、聖女と勇者が手を取り合って魔王を倒す話だし。これはマインドコントロールっていうんですか?これを読めば気が変わると思ってるんですか?残念でした!いっておくけど、私をここに閉じ込めてるのはあなた達なんだからね!」


今日の私は一言話しだしたら止まりませんよ!

宰相さん顔は無表情ですけど、怒りで拳が震えているようです。


「今日は王子がこちらにいらっしゃるので少しでもましに見えるように着飾りなさい。衣装やアクセサリーはこちらでそろえたのでさっさと着替えなさい。エミリア、支度を」

「はっ…はい!」


宰相さんの部下はもっていた沢山の箱を机の上に置いた。コルセット着けなきゃいけないのかなぁ〜。あれキツイんだよね〜。…って王子!?王子がくるの!?あの我儘って評価で有名なクソ王子が!?


「いつ!?いつ来るの!?」


すると宰相さんはポケットから懐中時計を取り出し、あと1時間ほどだと言った。







「エミリアぁ〜。コルセットキツイよ〜。外したいよ〜」

「ダメです!ユリ様は童顔で更にお胸もあまりないんですからせめてウエストはしめないと!」


さらりと酷いこと言いましたねこの人!

宰相さんから受け取ったドレスは薄い紫色を基調としたドレスだった。いつも着ている服とは全く違う。しかも宰相さんは私に胸がないことがわかっていてやっているのか胸を強調したドレスだ。てか、いつのまにサイズをはかったのだろう?…あまり考えないでおこう。


「いいですかユリ様。相手は我儘な王子ですが、上品におしとやかにお話ししてください。いつものヘルヴァーユ様にするような態度は絶対にいけませんよ?一応、ユリ様とは同い年なので仲良くしてくださいね?」

「はいはい。わかってるって」


あ〜。コルセットキツイよ〜。夜会とかに出るお嬢様はこんなキツイのを巻きながら踊ってるのか。私には理解し難い。


外から足音が聞こえる。ついに王子様のお出ましですか?適当にあしらってさっさとクレアちゃんと話したいなぁ〜。

足音の主はノックもせずに部屋に入ってきた。


「お前が黒髪の聖女か?」

「聖女かどうかはどうでもいいですが、私が黒髪ということは見ての通り間違えないですね」

「お前の名は?」

「えっと、神崎(かんざき)百合(ゆり)です。カンザキが苗字でユリが名前。お好きなように呼んでください」


ソファにドサッと座りふんぞりかえるまだ名前も知らない王子。


「ユ…リ…?ユリー…ユ…リー」


どうやらこの方にも私のユリという名前の発音は難しいみたいだ。何回も変なアクセントでユリとか呼ばれ、変な所で伸ばされたりと笑いどころがいっぱいあって、ぷっと笑ってしまった。


「なっ…!?オレ様に対して笑うとは無礼だぞ!これからお前はユーリと名乗れ!いいか!?ユーリだぞ!わかったか!王子命令だからな!」

「はいはい、わかりました王子様」


笑は止まったが、にやけは止まらない。王子の後ろでエミリアが青い顔をしてあたふたしているがその隣にいる宰相さんは興味がなさそうに知らんぷりしている。…さっきの『正しい上司の扱い方』の本は王子に対してのでは…。


「ふ〜ん。黒髪とは本当のことなんだな。オレ様は初めて黒髪をみたぞ」

「そうですか」


にやにやと私を舐めるように見る視線。王子も黙って微笑んでいたら超絶美形なんだけどなぁ〜。てか、なにこの国の美形率。


「お前、オレ様の愛人になれ」

「はぁ〜、はい。…って!?愛人!?心臓に悪い冗談はやめてください!…あ、わかりました。クレアちゃんにも同じこと言って振られたからむしゃくしゃして私にも言ったんですよね!?」

「お言葉ですが王子。黒髪が珍しいからと言って愛人いえども異端の黒髪が王子の側にいるのは問題になりますゆえ…」


私と宰相さんが反対するものの、流石は我儘王子。聞く耳持たずです。

宰相さんの説教が始まって、嫌になってきたのかもう帰ると言い出した王子。私的にはすぐ帰ってくれそうなのでとても嬉しいです。


「そういえば、王子のお名前をまだ聞いてませんでした」

「オレ様はアルヴァンだ。お前には特別にヴァンと呼ぶことを許そう!」


そういいドヤ顔で部屋をさってゆく王子。愛称を呼ぶことを許されたらしいですけど、私は間違っても愛称で呼びませんよ!?


てか、なんか王子に少し好かれたっぽいんですけど。



なんと不思議なことに主人公とクレアちゃんはこの世界の文字を読めます!

ドラえもんの例の秘密道具をつかったんですかね!

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