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後悔の選択 1-1

こんにちは。アユタです。

小さい頃から小説を描くのが好きでした。

本作の漫画バージョンも連載したいと思ってます。

読んでくれたら嬉しいです。


もう一度言います。

読んでくれたら嬉しいです^_^


もう一度言います。

読んでくれたらうれs

「ねぇ、聞いた?氷の女王がまたやったって。」

「え?なにそれ知らない。また何かやったの?」

「うん。また人の好きな人奪っちゃったらしいよ。」

「え?マジ??」

「マジマジ。もうちょっとで付き合う雰囲気だったところを、氷の女王が邪魔したって話。」

「なにそれ本当にサイテー。てかアイツの名前なんだっけ?」

「んー思い出したくもない!」

「アハハ!それウケる!」


”慶東高校”の紋章がついた制服を着ている二人組の女の子たちがヒソヒソと噂話をしている。

空は夕日色に染まっており、多くの学生が学校から帰っていく。

そんな中、一人だけ逆の方向へと歩いていく慶東高校の制服を着た女の子の姿があった。

その女の子も二人組の女の子と同じ制服を着ており、真っすぐ学校へと歩いていく。

彼女の姿はとても麗しく、夕日に照らされた深紫色の髪の毛が艶やかに光っていた。



-------------------------------------------------------------

僕は”永井 優人”

高校二年生である。

一年次に⾚点を取りまくったせいで評定が凄まじく低くなってしまったことを反省に、学校の空き教室で勉強を⾏っていた。

いつもは同じクラスの”青木 茂巳”から勉強を教わっていたが、あまりにも周りとの点差が開きすぎて、「アイツは絶対補欠合格者だ」とまわりの男子学生から煽られていた。

実際にその通りであり、運よく入学ができただけで真っ向勝負で挑めばこんなハイレベルな高校に合格なんてできない。

今回も本当は茂巳に勉強を教えてもらいたいところであったが、茂巳がいないと何もできないという悔しさのあまり、自力でテスト勉強をすることを選んだ。

だがそれは間違いであった。やはり茂巳という辞典がないとほとんど何もできず困り果てるのみであった。

(やばい…どうしよう。このままだと全教科赤点になってしまうじゃないか…!だけど、今更茂巳に泣き寝入りするのは僕のプライドが許せない…!一体どうすれば…)


おおよそのことは、コンピュータが瞬時に答えを導いてくれる時代。⼈間の頭も、そんな感じで瞬間記憶し、瞬時に答えを導き出せるようになれたらいいのに。


そんなくだらないことを考えていると、


ガラガラガラ・・・


誰かがこの教室に⼊ってきた。この教室はテスト期間なら誰でも使⽤してよく、いつも10⼈前後が使⽤しているが、今⽇は珍しく誰もいなかったから使⽤した。

⼈がいると変に気が散るので、誰もいなくて最高だと思ったが、それはぬか喜びとなってしまった。


どんなヤツが来たのか確認するためにチラッと後ろを覗いた。すると、そこには暗そうな雰囲気を漂わせた女子生徒がいた。

(あとはどこの席に座るかだよな。僕は真ん中の窓側の席だから…普通に考えて僕から一番遠い席に座るはず…)

そう予想していたが…

(え?僕の隣の席だと??!なんで!)

彼女以外この教室には僕しかおらず、席数はざっと数えて30席ほどあるのに、なぜか彼女は僕の一番近くの席を選んだ。

(なんでだよ…もっと気が散るじゃんかよ。…もう図書室に移動しようかな…)

僕はこの教室で勉強することを諦め、図書室へ移動するためにシャープペンシルを筆箱に仕舞おうとした瞬間・・・


シャシャ、シャシャシャシャシャーーシャシャーシャシャシャーシャー


いきなりその女子生徒は恐ろしい速さで問題を解いていった。

(え?…ん?え?ちょっとまってちょとまってちょっとまって!!どういうことだよ??!ぜんっぜん、意味わかんねぇ…)

彼女の解いているテキストは僕のと同じもので、解いている箇所も同じところであった。

(おいおいそこ、解くのに30分かかったところだぞ…それをこの人、たった30秒で…!)

横目で彼女の華麗に問題を解く姿に見入ってしまった。

とうとう彼女は僕が唯一問題を解くことができずにいる超難問まで辿りついてしまった。

(…おい、おいおいおいおい!これは小学生の問題なんかじゃないんだぞ…)

僕にとっての超難問も、彼女にとっては単純計算のようなものだと言わんばかりのスピードで全問題を解き終えてしまった。


すると今度は恐ろしい速さで静かに片づけを始めた。

(…え?もう帰るの??ここにきてまだ5分くらいしか経ってないのに…)

早く帰ってほしい、教室を独占したい、そう思っていた。

しかし、彼女の聡明さに気付いた僕は、彼女に勉強を教わりたいという思考に変わっていた。

が、僕は女の子と親しくしたことがなく、話しかけたことなんてない。

そうモジモジしていると、彼女はスッと立ち上がり、この教室から出ていこうとする。

女の子への話しかけ方、態度、言葉遣い、タイミング…そんなことを考えるよりも先に、僕は咄嗟に行動してしまった。


「あ、あの…!」


僕の声に彼女は反応し、チラッとこちらを振り向いた。


「ちちちょっと悪いんだけど、わわわからない問題があって…その…教えてくんない?」


これが、彼⼥との初めての出会いであった。




一瞬だけ、教室が物凄く静かに感じた。

彼女は冷たい目で僕のテキストへ視線を移した。

すると彼女は冷たい目でありえないことを言い出した。


「⾒た感じ、テスト範囲の問題全問解き終わってるし、全問正解してるっぽいのに、なんなんですか?ナンパか何かですか?」

「え?」


(問題が…解き終わっている?…そんなはずは…)

僕は先ほどまで解いていたテキストに⽬を向けると、難問で解けずに放置していた問題が解き終わっていた。


「あれ…どうして」

「私たち、3年の⼀⽉期末テストまでに、 進学のための評定が決まるんです。 邪魔しないでもらえますか」


彼⼥はため息まじりで吐き捨てるようにそう⾔った。

凍てつくような視線でこちらを真っすぐ睨むので、反射的に彼女をじっくり見つめてしまった。

(あれ…この顔、どこかで…)

深紫色の艶やかな長い髪、僕とさほど変わらない身長、透き通るような真っ白な肌、そして、すべてを否定するような光のない目。

(そうだ、確か茂⺒が話していた⼈物。名前は・・・)


彼⼥は急ぎ⾜でカバンを背負って再び⽴ち去ろうとするので、再び反射的に体が動いた。


「ま、待ってくれよ、僕本当に問題解けてなーーー」


バタンッ!!


教室の扉は勢いよく締まり、彼⼥は僕の前から颯爽に消え去った。


僕は急いでもう⼀度数学のテキストを確認した。

すると、本当に問題が解けていたのだ。

どうしてこの問題が解かれていたのかさっぱりだが、ちゃんと僕の汚い字で計算式と答えが記されていた。

⾒間違いかと思い⽬を擦ると、頬がなぜか濡れており、気づけば視界がぼやけていた。


「なんで僕、泣いて…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「っていう夢をみたんだよ。どう思うよ茂巳。最悪な夢だろ」


次の⽇の学校の休み時間中、1年次に⼀緒のクラスで仲良くなった親友の⻘⽊茂⺒と学校の屋上で弁当を⾷べていた。

僕は今朝⾒た”夢” を親友である茂⺒に話していた。

夢の中の出来事は僕が彼⼥と初めて出会ったときの出来事で、 本来ならば全く問題が解けずにいき詰まった僕に優しく解き⽅を教えてくれるはずだった。

(…にしても夢の中の(なごみ)のあの態度は、いつも僕以外の異性にむけている態度そのものだったな…)


「なんだ?その夢。優⼈はいつから彼⼥に叱られたいドM になったんだよ」

「そんなんじゃねぇし!」

「そんな願望抱かないと彼⼥からキレられる夢なんてそうそう⾒ねぇぞ」


永井優人。⾼校三年⽣。

僕には和という彼⼥がいる。

彼⼥はとても優しく、とても賢い、僕には勿体ないほどの聡明な美人だ。

こんな対してとびきりイケメンでもない僕と彼⼥が付き合っていることに、多くの学⽣から「釣り合ってない」などとの⼩⾔を⾔われる。

彼⼥は僕以外の異性を、空気と思っている。

そんなあからさまに僕だけが特別扱いを受けて

いることに、多くの男⼦⽣徒は僻んでいた。

「どうせすぐ別れるから別れたら狙おうぜ」とか「永井の⿊歴史流して破局させる」だとか。

全く気持ち悪い考えを持つ奴が多い。

“僕の彼⼥は、おそらく運命の⼈に違いない”

あの⽇、あの空き教室で出会えたのも、僕がたまたま難問に引っかかって問題が解けなかったのも、彼⼥が勉強を終えて教室から⽴ち去ろうとした時に、 咄嗟に彼⼥を呼び⽌めたのも、きっと偶然じゃない、“必然”なんだ。

そう思えるほど、 恋愛経験のない僕は、彼⼥に溺愛している。彼⼥もまた、これが宿命であるかのように、僕に尽くしてくれる。

“この世には運命の⼈がいる”だなんて、考えちゃいなかったけど、彼⼥と出会って、 本当にいるんだと実感した。


「夢の続きまでは現実の出来事と⼀緒だったのに、優⼈が咄嗟に話しかけてから以降が全くストーリーが違うなんて…やっぱお前、 本当は優しくされたいんじゃなくて、 叱られたかったんじゃ…」

「違うって⾔ってるだろ!」


茂⺒がまた僕をはぐらかす。僕はそれを全⼒で否定した。

(にしてもアレなんだったんだ?…変な夢だったな…。)



――――――――――


下校時。

部活動は特に何もやっていないので、いつものように彼⼥を駅まで送る。

彼⼥は電⾞通学なので、いつも駅まで送っているのだ。


「もうすぐで私たち、卒業だね」


深い紫色をした大きな瞳がこちらを覗いた。

僕はいつもその瞳に吸い込まれそうになる。

そのように⾒惚れていると、彼⼥はいつも咄嗟に⽬を逸らす。


「ねぇ、聞いてる?」

「え、あいや、聞いてるよ。そうだね、寂しくなっちゃうね」

「寂しくないよ。だって和には優⼈くんがいるんだもん。これらからもずっと⼀緒だよ」


彼⼥が甘い表情でそういうと、またその魅力的な瞳がこちらを覗く。


「なんか照れるな…。僕、卒業したら社会⼈ガチ頑張る。和を⽀えたい」

「へへへ、何それ、プロポーズ?」


彼⼥と出会ってまだ⼀年半ほどしか経っていないが、僕は卒業して社会⼈として安定したら、彼⼥にプロポーズしようと考えている。

本当は今すぐにでもプロポーズをしたいのだが、ぐっと我慢をして、時が来たらそれを伝えるつもりだ。


「さあな。とりあえず、僕ずっと和のそばにいるから」


そういうと、彼⼥は突如前⽅へと突っ⾛っていった。


「お、おいどこ⾏くんだよ!危ないだろ!」


30m ほど離れた場所で彼⼥は⽌まり、こちらを振り向いた。


「優⼈くん!私…優⼈くんに会えて嬉しかったよ…だから、優⼈くんとずっといる道を選ぶ!」


彼⼥は⼤声で僕に向かってそう叫んだ。

周囲の⼈は驚いて僕達を⾒る。中にはヒソヒソと笑う奴もいた。

突然の告白に僕は恥ずかしくなり頬を赤らめた。


「そっか…!でも恥ずかしいからここで⾔うのは――」


僕が「やめてくれ」と⾔う前に、彼⼥は、にっこりと微笑みながら⾔った。


「⼤好きだよ、優⼈くん。絶対に、離れないでね。信じてるから。」




―――――――――


「えっ…なんでここに…」

⽬を開けると、⽬の前には懐かしい実家の僕の部屋の天井があった。

(夢…だったのか、さっき彼⼥に恥ずかしいことを⼤声で叫ばれたのは。)

起き上がって僕の今の服装を⾒ると、 なんと制服姿のままだった。かばんも適当に置かれている。まるで僕が何者かに運ばれたかのようだった。

僕は⾼校から一人暮らしをしているため、 滅多に実家には戻らないはずだ。

なのになぜ僕はここにいるんだ…?と、⼀番にそう思った。

(きっと、無意識に家が恋しくなって帰ってきてしまったんだ…意味不明だけど。 )

カバンの中⾝を確認すると、そこには今⽇の授業で使った教材がずっしりと⼊っていた。

ということは、先ほどまでの記憶は、夢じゃなかったってことだ。

(変な夢みるなぁ、ってこれも夢オチかよってなるところだったぞ…。)

窓の外を⾒ると、もう夜中になっていることがわかる。もう家族は家に帰ってきているはずだ。それなのに、誰⼀⼈として声が聞こえないし、物⾳も聞こえない。

(どういうことだ?)

僕は不審になって⼀階に降りてみた。

すると…


「なんだよこれ…」


⼀階は右から左へ何かが貫通した跡のように、 ⽳がポッカリと開いていた。 爆発でも起こったのかと思うぐらい部屋中散乱しており、何かの災害後のような光景であった。

悲惨な状態なのは⾃分の家だけではなく、周りの環境全てが破壊されていた。

(こんな状態で…僕はなんで⽣きているんだ?どうしてこうなるまで気づかず寝ていたんだ。みんなはどこだ?無事なのか?)

両親は基本車で外出をするため、車が家になければ両親はここにいないだろうと思い、いつも駐⾞してある場所を⾒ると、それらしき⾞が⽡礫の中に埋まっていた。


「まさ…か、家にいる…なんてことないよな…?」


⽞関を⾒ると、 靴が⼤量に散乱していたが、その中に家族が仕事⽤で履いている靴がちゃんとあった。

ということはつまり、両親は家にいるってことだ。


「⺟さん…⽗さん…無事…だよな…?」


こんな状況で無事なわけない、そんなことはわかっている。

しかし、その事実を認めたくなかった。

⾍⼀匹の声すら鳴っていないこの無⾳世界がとてつもなく怖く、何度も夢であれと強く願った。


何かに怯えながらキッチン付近にきた途端、恐ろしいものが視界に⼊った。


「⺟さんの…指だ」


なぜそれが⺟さんの指かどうかがわかったのは、結婚指輪がはまっていたからだ。

僕は気持ち悪くなり、体内からその気持ち悪いものが溢れ出してしまった。


「ゔぇぇえぇ…」


込み上げてくるものを外に出しても、恐怖と気持ち悪さが再び僕を襲う。

気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い…

僕は現実逃避をするかのように、⾃分の部屋へ駆け⾜で戻った。

布団にくるまり、僕は顔を埋めた。

何も⾒たくなかった、 何も信じたくなかった。今⽬の前にある光景が、これこそ夢だったら本当にいいのにと思った。何回ほっぺをつねっても痛く、その度に「嘘だ」と繰り返し言い続けた。

震えが⽌まらない。僕はなんで⽣きているかもわからない。

(なんでこの部屋だけ無傷なんだ。どうして僕だけ…)


“優⼈くん”


「え…?」


今、僕を呼ぶ和の声が脳内に伝わってきた。


“早く逃げて”


「なご…み…?い、いるのか?ここに…早く…逃げて…って、どういうことだ」


“来る”


そう頭の中で和が謎の忠告をしてきたわずか5秒後に、あたりは真っ暗に包まれた。


「う、うわ…!!なんだよ!!」


暗闇が部屋全体に広がっていき、僕は咄嗟に布団から逃げ出し、部屋の扉を⽬掛けて⾛った。

しかし、間に合うことなく部屋の扉も、その先の⾵景も暗闇に染まっていく。


「ひっ……!」


僕はさらに怖くなり、震えで⽴てなくなってしまった。


しばらくして数秒後、完全に視界は真っ暗に覆われた。

しかしなんだろう、なぜか先ほどまでよりも恐怖を感じない。

僕はだんだん眠気に襲われ、瞳が閉じかけた途端、何者かの声が聞こえた。


「お前が、永井優⼈だな」


後ろを振り返ると、見知らぬ⼥の⼈が⽴っていた。

腰まであるなめらかな⿊髪に、キリッとした漆⿊の⽬。 ⾎が通っているのかわからないほどの美⽩。

和と同じくらい美しい⼥性が、僕を⾒下ろしていた。


「お前が特異点である限り、君を抹消する必要がある」


そう⾔うと、女性は僕に向かって手を伸ばしてきた。

なんだろう、僕は直感でその⼿に触れてはならないと感じた。

しかし、なぜか触れたいとも感じた。

(なんだろう…この人…)

僕は眼球直前まで伸びてきた彼⼥の⼿を、グーで殴った。


「な、なんなんだお前は…?!なぜ僕の名前を…」


僕の⾏動が予想外だったのかわからないが、彼⼥は眉間にシワを寄せて不思議そうに僕のことを⾒下ろした。

もう一度その⼿が伸びようとしてきたその瞬間、⽬の前に白い光が⾛り、僕を包み込んだ。


「見つけたぞ…勝⼿に過去に⾶んで、何をした…!王の命令だ、即座に戻れ」

光の中から目の前にいる美しい女性とは別の⼥性の声が聞こえた。

その直後、あたり一面真っ白な光に包まれて何も見えなくなり、僕は意識を失った。


“永井優⼈”


今度は和ではなく、先ほどの美しい女性の声が頭の中に流れ込んできた。


“これから先、どんなことがあっても、本名を⼝に出すな”


(僕の…本名?)


“君は今⽇から、永井冷⼈(ながい れいと)だ”



ーーーーーーーーーーーー


「…っは」


意識が戻った。

そっと⽬を開けると、そこはいつもの学校教室の⾒慣れた景⾊が広がっていた。

⼀つ違うのは…そこに髪の⻑い和の姿があったことぐらいだ。

僕が⽬を覚ましたことに気づいた和はすぐさまイライラした表情で僕を⾒下ろす。


『なんで私があんたのテスト勉強になんか…。ほんと意味わかんない』


(これはどういう状況だ?僕はなぜここにいるんだ。僕の住んでいる世界は、謎の気象現象か、怪物か何かに襲われたんじゃ…)

あまりの情報量の多さに僕は理解が追いつかず、頭の中は疑問で溢れかえってしまった。

一旦深呼吸をし、一つずつ周りのものに着目をした。


(いや、これは夢、かもしれない。今朝⾒た夢のように、今この世界は…)

僕は和が開いてあったノートと教科書の範囲をじっくり⾒た。

⾼校⼆年の、⼆学期末テストの範囲だ。

(今朝⾒た夢は、⼀⽉期末テストの話だった。今回は⼆⽉期末テスト…。夢の中で、時間が経過している…?でも、この頃って確か、和は髪をボブにしていた気が…)


『何ぼーっとしてんの。休憩は終わったでしょ。また誰かに⼀緒にいるところ⾒られたら

めんどくさいからさっさとしてちょうだい』


(⼀緒にいるところを⾒られた…?またってことは、今朝の夢の話の中で、和は僕と⼀緒の空き教室で勉強していたところを誰かに⾒られ、噂を流されたってことか?いや、現実にあった僕の知っている記憶通りだと、あの時最後まで誰にも⼀緒にいるところを⾒られていないはず…)

いつも一緒にいた時の和と、今目の前にいる和は全くの別人と言ってもいいほど人相が違う。

(和の明らかな態度の違いといい、これは…夢の中で現実と⼀部リンクしていないパラレルな世界が進⾏している…?)


『はぁ…数学はまだしも、英語が壊滅的ね。どうしたらこんなクソ雑⿂学⼒になるの?こんなんでよくここに受かったわね』


和って…他の異性に対しては毒⾆の⼥王だって聞いたけれど、まさかここまでひどいとは思わなかった。にしてもなぜ夢の中での和は、僕に対してまで毒⾆なんだ…?

そう考えたとき、⼀瞬⽬眩がして体制を崩し、何かを、⼤事なものを忘れた気がした。


『てかあんた。前もそうだったけれど、こうして私が頭良過ぎるからって、私に勉強を教わる時間を利⽤して、お近づきになりたい、だなんて思っていないでしょうね』

『そ、そんな品のかけらもないこと僕がするはずないだろっ…?』


反射的に僕はそう言い返してしまった。

(あれ…思ってもいないのになんでそんなこと言っちゃったんだ…?だって僕、2学期末テストの時期には和と付き合ってたんだぜ…。)

考えれば考えるほどわからなくなり、自分の記憶さえも正しいのかどうか危うくなってきた。

(付き合っていた…。本当に付き合っていたのか?こんな聡明で世界一美しい天使のような女の子と?…というか僕…)


“彼⼥いたっけ”


『そう思われてもしょうがないじゃない。だってあんた、私と競るくらいのスキルを持つ聡明なご友⼈がいらっしゃるのでしょう?…確か名は…』


“⻘⽊茂⺒くんっていうんだっけ?”

和はそういった気がした。途中視界がぼやけて⾒えなくなって、どんな表情をしていたかわからなかった。でも、⼝元がはっきり⾒え、そう⾔っていることがわかった。

(何故僕が彼と仲良いことを知っているんだ…?)


・・・


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