憧れた君
彼はいつも走っていた。
誰かが彼に止まってと叫んでいた。
彼は止まらない誰が何を言おうが止まらない。
どこにその熱意があるのだろう。
彼が走っている姿を見て、誰もがそう思った。
彼は僕らに見向きもしない。見向きもせず僕らに言った。
この先は楽しいよ。楽しいものが待ってるよと。
僕は何があるのだろう何が待っているのだろう。純粋にそう思ったんだ。
彼の元に駆けつけた。でも彼には追い付けない。彼は僕が追い付かないスピードで走り続けた。泥だらけになっても走り続けた。
あんなにみすぼらしいのに何でこんなにきれいなんだろう、僕はそう思っていた。
それから数年後、彼は世にとって素晴らしい功績をたたき出した。
その時には、誰も、いや、僕は彼のそばに居続けることはできなかった。




