story7 「本当の姉と弟になるために」
(トントン)
「はい! 」
「美憂だけど、今、ちょっと入っていいかな? 」
「うん、良いよ」
すると美憂姉が少し落ち込んだ表情しながらゆっくりと入ってくる。
「羽衣ちゃんの件だけど、気にしなくて良いからね」
「美憂姉、そう言ってくれてありがとう」
「それに私は、優くんがここからいなくなるのは嫌だから」
「美憂姉…僕も美憂姉と会えなくなるのは嫌だよ」
「私と一緒で良かった」
「美憂姉、1つ聞きたいんだけど、僕の自己紹介の時になんで良いように言ってくれたの? 」
「それは優くんが優しくて良い弟だと思ったからだよ」
「でも実際は、美憂姉が嫌な気持ちになったのに…」
「嫌な気持ちにさせたのは、私の方だよ。あの時、私がお腹を壊した上にいくら女子トイレが空いてなかったとはいえ、男子トイレに入ってしまって鍵までかけ忘れて、優くんの顔を叩いてしまったから。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなの」
「誰だってあの状態だったらこうなると思うし、美憂姉は悪くないから」
「ううん、私があの時お腹を壊しなければ良かったのよ」
僕は、自分の気持ちが押さえきれず落ち込んでいる美憂姉に強くこう言った。
「何言ってるんだよ! あの時、美憂姉がお腹を壊してなかったら僕たちは出逢えてなかったんだよ。だからそんなこと言わないでくれないかな? 」
「そうだね。ごめんね。でも私は優くんを嫌な気持ちにさせてしまったことには変わりないから私は、せめて優くんがいちご荘で快適に住めるように応援してあげたくて‥」
「そうだったんだ…本当にありがとう!まだ1日なのに、美憂姉がいてくれると僕、嬉しい気持ちになるよ」
「私も同じだよ。もう1年くらい一緒にいるような気がしてるよ。ねぇ、まだ部屋に荷物は揃ってないんだよね」
「うん、布団とか届くのも明日になるみたいで‥」
「それなら私の部屋で私と一緒に寝ない? 」
「でもそれは、僕たち異性だし‥ 」
「優くんが、風邪ひいちゃうじゃん」
「僕なら大丈夫たよ! 僕は、美憂姉に迷惑をかけたくないから」
「優くん何言ってるんだよ!バカッ! 」
「美憂姉… 」
「私の弟なんだから…こう言うときは甘えてくれたら良いんだよ。それに本当に姉と弟みたいに仲良くなるには、一緒に寝たりすることも必要だと思うの。一緒の温もりを感じたりすることで距離が縮まるでしょ? 」
「言われてみればそうだね…それじゃ美憂姉が良かったら一緒にお願いします」
「それじゃ私の部屋にいこう! 」
そして僕は、ドキドキしながら隣の美憂姉の部屋に入っていった。
「綺麗なお部屋だね! 」
「えっ、ほんとに?そう言ってくれてありがとう」
「ちょっとドキドキしてきたんだけど…」
「それは私もしてるよ‥それじゃ一緒に寝よっか」
「うん! 」