Story62「一緒に行動」
「それは他の方法を試してもダメだった時でも遅くないと思うけど」
「言われてみればそうだね!特効薬は最終手段にしておいた方がいいもんね」
なんとか僕は、初体験の流れに持っていかないよう阻止した。
「そう言えば一つ聞きたいんだけど、もしかして学校とか行くときも刃物って持ってたりする? 」
「うん!カバンの中に隠してコンパクトなバージョンをいつも携帯してるよ」
羽衣ちゃんは、ここで笑顔で答えたので僕は、迷わずに突っ込んだ。
「そこは笑顔で答えるところじゃないよ!よく警察に捕まらないよね」
「あたいは運が良いみたいだからね」
「とにかくこれから刃物を持ち歩くのは禁止だよ」
「優くんが入れば大丈夫なんだけど、そうじゃない場合は、これがなかったらあたい精神的に不安定になってしまうんだよね… 」
「うーん、それじゃ取り敢えず外に出るときは僕と一緒に行動しない? 」
「でもそれだと優くんが困ると思うしお仕事の時間とか間に合わないんじゃないの? 」
「幸い10時からのお店で9時前くらいにいつも出てるけど、羽衣ちゃんの高校は確か8時に着かないと行けないんだよね? 」
「うん!8時10分から学校が始まるからね」
「それで帰りは大体夕方5時くらいなんだよね? 」
「うん!茶道部が終わるのが5時になるから帰る時間は5時になるね」
「ほら!大丈夫じゃないか」
「でも優くんお風呂の時間とか洗濯の時間とかもあるよ…そこは瞳さんと美憂姉に相談してみるよ。僕は、羽衣ちゃんが何もしてないのに捕まってしまうのは嫌だから」
「優くん、あたいの事を考えてくれて本当にありがとう! 」
「別に良いよ!ただ僕は、羽衣ちゃんには幸せになってほしいと思ってるから」
「あたいも優くんには幸せになってほしいと思ってるからね…」
「羽衣ちゃん、ありがとう! 」
「ねぇ…今日このあといちご荘に着いたら一緒にお風呂に入らない? 」
「一緒ってバレたらどうするんだよ! 」
「それなら大丈夫!あたい結構お風呂に入る時間帯間違ってしまうから結果的によく他のメンバーのお風呂に乱入してしまうことが多くて今では毎度お馴染みになってきてるからね。特にさっちゃんとは多いかな! 」
「そうだったんだ! でも僕とだと異性になってしまうから‥ 」
「別に良いよ!混浴も男性敵対心とか恐怖症を良くするチャンスだと思うのよ!」
「そうだと良いけどね。分かった!それじゃそろそろお風呂の時間帯になるところだから羽衣ちゃんが良いなら一緒に入っても良いよ」
「えっ、本当に?ありがとう!それじゃさっそく今から帰りましょう! 」
いきなり羽衣ちゃんのテンションが跳ね上がりながら僕と羽衣ちゃんは、いちご荘に帰っていき部屋に戻ると美憂姉が待ってくれていた。
「優くん、お帰り! 仕事は明日から再開だけど、私の移動は今日だからこれからも宜しくね」
「美憂姉、ただいま! こちらこそこれからも宜しくね! 」
僕と美憂姉は握手を交わした。




