story272 遅めの家庭訪問
「それならこの先、いじめられたりしても困るだろうし、瞳、実際にスマートフォンを持たせてみることも勉強になるんじゃないかな? 」
「そうだね。このままスマートフォンを持たせないわけにもいかないからね」
「すみっち本人が、スマートフォンを持ちたいと思う気持ちがあるなら持たせてみたらどうかな?それに、この環境なら依存症にもなりにくいと思うから」
「確かにそうだね!純子にスマートフォンを持たせてみることにするよ。優くん、相談にのってくれてありがとう! 」
「そんなのぜんぜん良いよ!それに僕だけじゃないよ!他のメンバーも集まってくれてるんだから」
「あっ、そうだった!完全に忘れてたよ。みんなも相談にのってくれてありがとう! 」
するとすみっちが、嬉しそうにしながら瞳に言った。
「それじゃ、スマートフォン買ってくれるの? 」
「うん、良いよ。その代わり使いすぎには気を付けるんだよ」
「うん、分かった。使いすぎには気を付けるからね! 」
こうしてすみっちのスマートフォンについて急遽行われたスマホ会議は、無事に終わったのであった。
それから1週間が経過していき、僕は仕事の合間に毎日次女である友美の幼稚園の送り迎えと、長女である奈由の小学校の迎えをしている間に、羽衣ちゃんの体調は回復していった。
そして夕方になると、長女である奈由が僕たちの部屋にやって来た。
「お父さん、ちょっと見てほしいものがあるんだけど良いかな? 」
「うん、ぜんぜん良いよ」
すると奈由は、一枚のプリントを見せてくれたためゆっくり読んでいくとそこには、家庭訪問についての内容が書かれてあった。
「来週、担任の先生が家庭訪問に来るみたいだよ」
「代わった小学校なんだね。普通、小学校の家庭訪問って4月下旬か5月初めとかじゃなかったかな?羽衣ちゃんが、学生の時はどうだった? 」
「あたいが小学や中学の時も家庭訪問と言えば、5月初めくらいだったね」
「そうだよね!それに来週末で1学期終わりで、夏休みになるじゃないか」
すると奈由がこう言った。
「今日、先生が帰りの会の時に言ってて、いつも5月くらいなんだけど、学校側の理由で、家庭訪問する期間が遅くなったんだって」
「あっ、そうだったんだね。それで、これは日時を選べるのかな? 」
「来週の火曜日と水曜日と木曜日の3つから曜日は選べるらしいけど、来る時間までは選べないらしいよ」
「そうなんだね。羽衣ちゃん、何時が良い? 」
「あたいはいつでも良いし、こう言うの苦手だから優くんが、適当に決めてくれないかな? 」
「分かった、それじゃ真ん中を取って来週の水曜日にしよう! 」
こうして僕は、真ん中となる水曜日にすることにしたため、水曜日の欄にチェックを入れて印鑑を押して、そのプリントを奈由に渡したのであった。




