story259 「7年間の苦労」
するとここで、さっちゃんが泣き出してしまった。
「さっちゃん、寂しい思いとか辛い思いさせて本当にごめんね」
「謝るだけなら誰でも出来るじゃないっ! 」
「確かにそうだね… 」
「本当に寂しい思いとかをさせてしまったって思うなら私の心と身体が、幸せな気持ちになるようなことをしてよっ! 」
「それってどうしたらいいのか分からないんだけど… 」
「そこは優くんが、考えて私をリードしてよっ」
僕は、どうしたら良いのか分からなかったが、今までさっちゃんと過ごしてきた時間を思い出しながら動いていく。
「分かった。それじゃ始めるね」
僕は、そう言ってからゆっくりと抱き締めていくと、さっちゃんが恥ずかしそうにしながら言った。
「分からないって言いながら分かってるじゃない! 」
「そりゃある程度なら、分かるって言うだけだよ」
「でもこれだけじゃ、幸せな気持ちにはなれないから… 」
さっちゃんが、次の段階を要求してきたため僕は、さっちゃんの唇にキスをしてあげると、嬉しそうな表情をしてくれた。
「さっちゃん、好きだよ! 」
「い、いきなり何言ってるのよ!そりゃもちろん私も優くんの事を大好きだよ! 」
「本当にこの7年間、寂しい気持ちにさせてしまってごめんね」
「別に良いよ。ただ私は、7年前にいちご荘を出て大学卒業してから、優くんに逢いたいって言う気持ちはあったんだよ。それで電話して瞳さんに優くんの家は、どこにあるのかを聞いてみようとしたらその時に私は、優くんが羽衣と結婚してる事を初めて知ったの」
「そうだったんだ。瞳さんからは、一番最初に電話がかかってきて今、どうしてるのって聞かれたことがあったからね」
「そんなに早く瞳さんが、優くんに電話してたんだね。それで優くんが結婚してる事を知ってからは、逢いたかったけど我慢することにしたの」
「別に来てくれて良かったのに」
「そんなの行けるわけないじゃん!結婚してると言うことは、夫婦関係になってるんだから私が行ったせいで、2人の関係が壊れてしまったからって思ったんだよ」
「そこまで考えてくれてたんだね!僕の事をそこまで考えてくれてありがとう」
「別に良いけど… それから私は、就職しようとしたんだけど、中々上手くいかなくて就職先が見つかったと思いきや辞めさせられた事が、何回あったことか。それで昨年から国家公務員の免許を取ることを決めて、頑張って勉強して取得して今年の2月くらいの幼稚園の教師試験を受けてみようと思ったの。もちろん簡単じゃなかったよ。私には子供がいないから、どうしたら良いのか、ぜんぜん分からなくて自分なりに、子供に対する接し方とか色々考えたり学んだりしたからね。それから受けてみたら合格して今、こうして幼稚園の先生になってると言うわけ」