Story17「寂しい気持ち」
さっちゃんは、下を向きながら僕に現在に至るまでの流れを話してくれた。
「嫌じゃないよ!むしろ可愛いところが分かって嬉しくてドキドキしてるよ」
「あっ、そうなの… ふーん。それなら良いけど」
この時さっちゃんは、相変わらずツンツンしているが、本当はすごくほっとしている。
「僕は、こう見えても人と話すことには慣れていないから、どうしても話しにくいと思ってしまうと話せなくなるんです」
「そうだったんだ… てっきり羽衣ちゃんに話しかけようとするところを見かけたので、てっきりコミュニケーションはバッチリなのかと思ってたわ」
「朝日さんの場合は、唯一僕を歓迎してくれていない派の方だったので、どうにかならないかなと言う気持ちで話しかけようとしているかな? 」
「そうだったんだね… 本当は私もこんなことしたくなかったんだよねっ。でも私が優くんの部屋に何回か行こうとする度に他の女の子と話しているか、ノックしても優くんがいなかったりするからモヤモヤする気持ちが貯まっていったのよっ」
「来てくれていたのにごめんね… 」
するとさっちゃんは、顔を赤くしながら言った。
「か、勘違いしないでよねっ!別に会いたかったわけじゃなくてモヤモヤしたからそうしただけなんだからねっ」
「分かったよ!でもさっちゃんといると萌えをすごく感じちゃうんだよね」
「何、感じてるんだよっ!このエロ! 」
さっちゃんは、いきなりパタパタさせて僕に向けてお湯を飛び散らす。
「や、辞めてったら… 」
「それじゃ変なこと言わないでよねっ! 」
「うん、分かった」
するとさっちゃんは、小さな声で僕にこう言った。
「ねぇ、優くんまだ身体洗ってないよね? 」
「うん、まだだけど… 」
「それなら歓迎祝いとして私が背中を洗ってあげても良いわよっ」
「な、なに言ってるんだよ!
僕、女の子からそんなことしてもらったことないし、まだ僕たちそう言う関係じゃないじゃん」
「そんなの、分からないじゃん。
もしかしたらこれからそう言う関係になるかもしれないでしょ? 」
「確かに先のことは分からないもんな。
でも僕がおかしくなったらどうするんだよ」
「その時は、その時考えたら良いじゃないっ。 それとも私じゃ嫌なの? 」
「そんなことないよ! 」
「それじゃ椅子に座って」
それから僕は、さっちゃんに背中を洗ってもらった。
「さっちゃん、気持ち良かったよ」
「な、何変なことを言ってるんだよっ!
やっぱりさ…私ってモテないのかな? 」
「急にどうしたんだよ」
「私ってツンツンすることしか基本的に出来ないから見た目では学校でも人気はあったんだけど、彼氏ができてもね、結局は付き合いにくくて疲れるから別れようって言われるの‥ 」
「なんで別れようになるんだろう‥。僕に対しては、今日みたいに女の子すぎる一面を見せてくれるからツンツンではないのに」




