Story157「複雑な思い」
「うん、分かった。それじゃ今は、ここだけの話と言うことで、内緒にしておくね」
「うん、みんなのためにもごめんだけど、よろしくね」
こうして僕は、友華ちゃんの事について相談しにきた筈が、ものすごく衝撃的な事を知ってしまい、これからメンバーのみんなにどう接していけば良いのか戸惑いながら部屋に戻ってから僕は、思っていた。
いちご荘がなくなるまでに僕は、誰と一緒にこの先過ごしていくのかを決めていかないといけないんだね。
と言うことは、いちご荘でのクリスマスやバレンタインとかは最初で最後になるんだね。
誰にも気づかれないように頑張っていつも通りでいなくちゃいけないから頑張らないとだな。
それから2日後僕は、仕事の帰りに美憂姉と一緒に帰りながら話をしていた。
「美憂姉は、やっぱり店長に向いてるなって今日改めて思ったよ」
「そんなことないよ。だって今日でも在庫の確認が少し間違っていたりしたし、店長になってから優くんと一緒に帰れる機会が大幅に減ってしまってるからね」
「まぁ、確かにそうだね。特に美憂姉が店長になってからお客さんが毎日たくさん来るようになっているから美憂姉もすごく大変だなって思うよ」
すると美憂姉が複雑そうな表情をしながら語り始める。
「お客さんが前より来てくれるようになったことは、本当にすごく嬉しいし、毎日店長としての働きがいも感じてるんだよ。だけど前みたいに優くんと一緒に帰れる機会が大幅に減っているのは、正直寂しさを感じるから私の心境としては、すごく複雑なの」
「僕が美憂姉でもそう思ってしまうかもしれない。店長としての働きがいや充実感があるのは、すごく嬉しいと思うけど、美憂姉と一緒に帰れなくなるって考えると寂しくなってしまうもんね」
「でしょ! だから本当に店長になって良かったのかなって今になってよく思うことなんだよ」
「でも僕は、美憂姉が店長になって良かったんじゃないかなって思うし、間違ってないと思う。だってお客さんが前より来てくれるようになったことで、女性客はもちろんの事、最近では男性と一緒にカップルで来るお客さんも増えつつあるみたいだし」
「カップルで来ている女性客の人にこの間、ちょっと話を聞いてみたら『確かにここは、女性服専門店みたいだけど、ここは彼氏と一緒に来ても楽しいなって思って今日は彼氏と一緒に来てみたの』ってすごく嬉しそうにしながら言ってくれたんだ! 」
「女性服専門店で好きな彼氏さんと一緒に来たいって思ってもらえるってものすごいことだと僕は、思うよ」
「確かにそうだね。そう考えるとこれで良かったのかなって思ったりもするね。楽しい話をするつもりが、気づいたら私のお悩み相談みたいになってしまってごめんね」
「そんなことないよ!僕は、いつも美憂姉と話が出来てすごく嬉しいし楽しいよ」
「優くん、そう言ってくれてありがとう! 私も優くんといつも色んな話が出来てすごく嬉しいよ」




