Story133「日本一と巻き寿司の話」
「ほんとそうだよね。あっ、望月投手の話で盛り上がってしまったけど、実はあたし来月行われるプロ野球の入団テストを受けてみようと思ってるの」
「そうか、明日がドラフト会議で、来週から開催される日本シリーズが終わったら入団テストの時期がやって来るんだ」
「そうなの。確かに入団テストで合格してしまえば、プロ野球選手に復帰できると引き換えに寮があるたから、いちご荘を引っ越さないといけなくはなるけど、復帰したい気持ちが強くて最近は、特に気合いが入ってたの」
「レオンちゃんならきっと復帰出来るよ!これだけ今まで頑張って来たんだから」
「優くんにそう言ってもらえると不安がすごく和らいでくるよ、ありがとう」
野球の話で盛り上がってしまったものの、こうしてレオンちゃんは、現役復帰をかけた入団テストに向かってさらに頑張っていくのであった。
それから2週間が経過していちご荘のメンバーたちは、夕食の時間帯に中央部屋に集まるのだが、今日は夕食後も全員集まりながら日本シリーズの中継をテレビを観ており、さっちゃんが呟いた。
「いよいよ今日で勝っても負けてもどっちかのチームの日本一が決まるんだね」
さっちゃんがそう言うとレオンちゃんがみんなに向かってこう話す。
「ちなみに望月投手が所属しているドリームベイスターズが日本一になったら明日から3日間巻き寿司が激安になるよ」
すると真っ先にすみっちがその話に嬉しそうにしながら飛びつく。
「レオンちゃん、どうして日本一になったら巻き寿司が激安になるのかな? 」
「ドリームベイスターズのエースである望月勝投手が、数年前に久々にチームを日本一に導いた時に監督とオーナーが望月投手に祝勝会の時に食べたいものは、何かあるって聞いた時に『大好物の巻き寿司をたくさん食べたい』って答えたの。それでその答えを聞いた監督とオーナーは、近くにあるお寿司専門店に電話して巻き寿司をたくさん届けてほしいって頼んだら、そのお寿司専門店は持ってきてくれたの」
「でもお寿司専門店の人からしたら、いきなりの大量注文で困っただろうね」
「それがそうでもなかったらしいよ。そのお寿司専門店は、普段から巻き寿司の注文が結構あったらしいから大丈夫だったみたいで、それから注文があったお寿司専門店と気づけば西日本全域で、日本一の翌日から巻き寿司の激安セールを期間限定でするようになってそれから日本一になったら巻き寿司の激安セールをする流れになったんだよ」
「そうだったんだ。という事は、ドリームベイスターズが日本一になったら巻き寿司が激安になるんだね! 」
すみっちが嬉しそうにしてると羽衣ちゃんがこう言った。
「巻き寿司が嫌いっていう奴は、いないと思うから野球に興味がないあたいもドリームベイスターズには是非日本一になってほしいって思うね」
そして試合はいよいよ大詰めになっていた。
実況「日本シリーズは、両チーム3勝3敗で迎えている第7戦は、9回表が終了して2対2の同点のままこれからドリームベイスターズの攻撃へと進んでいきます」




