Story129「無理をしないで!」
「これは酷すぎるよ!愛理ちゃんは、その状態でアイドル辞めるとは誰にも言わなかったの? 」
「言いたかったけど、その時は、発売したシングルの売り上げがすごく良かった上にこれ以上ファンを困らせたくない気持ちと国民的アイドルグループになるためって思ったら言えなかったんだ。でも今、改めて思い出すとすごく悲しくなってきて… 」
ここで愛理ちゃんがいきなり泣き始めたので僕は、愛理ちゃんの髪の毛を優しく撫でてあげる。
「愛理ちゃんは、そこまでして頑張ろうとしてくれたんだね。でも僕は、これ以上無理しないでほしい」
「優くん、どうしてなのかな? だって今ではグループの人気が下がりつつあるんだよ」
「どうして下がりつつあることが分かるの?愛理ちゃんがここまで頑張ってきてるのに」
「一度プロデューサーが問題を起こしてからファンが年々減りつつあるんだよ。それは、私が違う仕事でワンマンライブに出られなかった時にメンバーから聞いた話で分かったの。でも幸いなことに私が出るライブとなると、前までと変わらずたくさんの人が来てくれるから私がこの先も頑張っていけば、いつか国民的アイドルになれると思ってるから」
その話を最後まで聞いた僕は、優しく愛理ちゃんを抱き締めながらこう言ってあげた。
「愛理ちゃんの言いたいことは分かるし、確かに愛理ちゃんが出演したら『アイドル☆ハイスクール』は延びていっていつか必ず国民的アイドルグループになれる日は、やって来ると思う。
だけど、愛理ちゃんは今まで辛い思いをたくさんしてきたりして十分頑張ってきたじゃないか。それに今回体調を壊してる状態をみて僕は、これ以上愛理ちゃんには無理をしてほしくないんだよ。だってこのままアイドル活動を続けて愛理ちゃんの精神面に何かあってからじゃ遅いから」
「優くんってすごく優しくて私の先のことまで考えてくれてるんだね。そこまで考えてくれて本当にありがとう!確かに精神面は、正直いうと結構キツいかな。前までならライブとかテレビ、ラジオなどでも自分も楽しみながらファンの方にも楽しんでもらえたらって思っていたけど、最近ではライブに限らずテレビやラジオやクラビア撮影の仕事の時でも常にファンの方に気に入ってもらってグループのイメージを私が頑張って上げていかないとって言うことばかり考えてしまってるね」
「別に続けたらいけないとは言わないけど、愛理ちゃんにはいつまでも可愛い笑顔と明るい表情でいてほしいからね」
すると愛理ちゃんがいきなり顔を真っ赤にしながら小さな声で甘えてくる。
「優くんの言葉を聞いてると甘えたくなっちゃったから少しでいいから一緒に添い寝してくれない? 」
「一緒に添い寝なんてしたら僕、可笑しくなってしまうし、愛理ちゃんを女性としてますます意識してしまうよ」
僕がそう言うと愛理ちゃんは、すごく笑顔になりながら言った。
「優くんならいつでも私を女として意識してもらってもちろん良いよ! 」




