おまけ1.夏だ! 海だ!(リーファ7才 夏)
サブストーリーになります。
たまに更新、リクエストがあればそちらも書いていく予定です。
次回の予定はリーファ7才の秋、温泉話です
「海だーっ!」
リーファは大喜びで馬車を降り、一目散に海へと駆け出していく。
「あらあら、凄いはしゃぎようね。ね、アリスちゃん」
『確かに……でも、普段は海なんて目にしないから、分かる気もする……』
「さ、それじゃ僕たちも急いでリーファに追いつこう」
夏のとある日。
朝ごはんを済ませると、家族と数人のメイドさんを乗せた馬車に揺れられ、リーファのパパが持っているいわゆるプライベートビーチに向かった。
直前までそんな話を聞いていなかったので、あたしもリーファもびっくりしていたが、どうやら2人のリーファに対するサプライズだったみたい。
馬車の中ではリーファはとてもワクワクしているのが分かるぐらい、いい笑顔をしていた。
そして1時間ほどかけて着いたら、さっきのようなはしゃぎっぷりである。
あたしはちょっと酔い気味だから一緒には行けなかったけど……だって馬車があんなに揺れるものだなんて想定外だもん。
「パパ、ママ、早く泳ごー?」
「ああ、それならちゃんとした水着に着替えないとね」
「うふふ、リーファの水着は新しいのを買っておいたから楽しみにしててね」
「わーいっ!」
「それじゃアリスちゃんも一緒に着替えに行きましょ?」
『はい。……リーファ、どんな水着なのかなあ』
あたしは水着を着る必要はないけど、とりあえず一緒に更衣室に向かう事になった。
『これ……更衣室じゃなくて別荘……』
そう、てっきり更衣室かと思ったら普通の一軒家で、寝泊りできる設備も揃っている。
流石は貴族と言った所かな……改めてリーファ一家の財力を見せつけられた。
「それじゃアリスちゃん、こっちよ」
「えへへー、アリスもいっしょ!」
ゴキゲンなリーファに連れられ、あたしも別荘の一室に行くことに。
メイドさんたちは別の部屋で着替えるみたい。主人の奥さんとは別という決まりか何かなのかな。
とりあえず、あたしはリーファの着替えを手伝ってあげようかな?
『でっか……』
リーファは「自分で着替えたい!」と言ってあたしが手伝えなかったので、2人の着替えを見てたんだけど……エファさん大きい。大きすぎる。頭より大きくない? あたしなんか全身埋まっちゃいそう……。
……はっ、いけないいけない。ちょっと嫉妬の炎が燃え上がるところだった。
でも、これだけ大きいエファさんの娘なら、リーファもそのうち……。いいなあ……。
この転生した身体がどこまで大きくなるのか、そして胸の大きさはどうなるのか分からないけど、たぶんそれほど大きくならない予感がひしひしする。
「あらあら、アリスちゃん、どうしたの?」
『えっ』
まずい。あたしがエファさんの胸をまじまじ見つめてたのに気づかれた!?
ななな、ナンデモナイデスヨ!?
「もしかして……お母さんのおっぱいが恋しかったのかしら。まだ生まれて間もないからね」
そう言ってエファさんはあたしを持ち上げ、あたしの頭を胸に押し付けて……。
「ふふ、たまにはわたしに甘えてくれてもいいのよ? お母さんみたいにおいしくないかもしれないけど……」
『は、はい……?』
あたしはこのままだとダメだと思って全力で頭を左右に振り、リーファに助けを求める。
「ママ、アリスはそうじゃないって言ってるよー?」
「あら、そうなの? ごめんねアリスちゃん。でも甘えたくなったらいつでもいいのよ?」
『わ、わかりました……』
エファさんはあたしを下ろしてくれると、再び着替えに戻った。
あ、危ない危ない……ちょっとエファさんに堕とされるところだった……。母性が凄すぎる……。
とりあえずエファさんを何とか回避し、リーファもエファさんも着替えが完了したようだ。
リーファはフリルの付いた白いビキニで、露出度は高めではあるけどフリルのおかげでかわいい系。
エファさんも同じくビキニだけど、色は青く、パレオも付けていて落ち着いた大人の女性系。
うーん、親子揃って絵になるなあ。リーファも将来美人になるんだろうな……。
「それじゃ行きましょう。リーファ、今日は何をして遊びたいの?」
「えっとねー……泳ぐのを練習してー……それからお砂で遊びたい!」
「ふふ、それじゃあ泳ぎの練習で疲れたら砂で遊びましょ」
「はーいっ!」
仲のいい親子の会話で、思わず頬が緩んでしまう。
あたしは泳げないから一緒に砂で遊んであげようかな。
**********
「うー……泳ぐの難しい……」
「でも、前来た時より泳げるようになってるわ。偉いわねリーファ」
「うん、僕も泳げるようになったのはリーファの年よりもう少し後だったし、リーファに抜かされちゃうかも」
「そうなの!? よーし、じゃあもうちょっとがんばる!」
うーん、相変わらずリーファをやる気にさせるのがうまいなあ。
リーファが泳ぎの練習をしている間、あたしは砂浜でメイドさんたちと一緒に待機していた。
どうもあたしは聞き分けがいいらしく、リーファの育て方がいいと評判みたいだ。
確かに普通の動物ならもっと動き回ったりで手を焼かせるんだろうな。
などと物思いにふけりながら、波の音と潮風を感じてゆっくりとした時間を過ごすあたし。
そういえば、プライベートビーチだけど刺客とかに狙われないのかな? まあエファさんが強いから万が一そんなのがいても即退治しちゃうんだろうけどね。
「アリスー、お待たせ! 一緒に遊ぼっ!」
全身びしょ濡れのリーファがあたしを呼ぶ。
あたしはタオルを持って駆け寄り、リーファに渡す。
「ありがと! えへへ、アリスは優しいね。大好き!」
タオルで全身の水気を拭くと、リーファはあたしを抱きしめてくれる。
海のにおいとリーファのにおいが入り混じり、いつもと違うにおいになる。
……あたしはこのにおい、好きかも。
「ね、それじゃお山作ろ?」
『うんっ!』
リーファは砂浜に座り込み、砂を両手でかき集めて積み上げ、山を作り始めた。
あたしもそれに負けず、リーファの山の隣に同じぐらいの大きさの山を作る。
ただ、やっぱりあたしはリーファより身体が小さいのでどうしても小さい山になってしまう。
それなら、とあたしは山の中にトンネルを作り、差別化を図ってみる。
「あら、アリスちゃんのお山には坑道があるのね」
『こ、坑道ですか……』
「負けないもん! 私も坑道作るっ!」
そっか、この世界だと山に穴が開いてるのってトンネルじゃなくて坑道になるんだ。なんか面白いかも。
などと、世界の違いを感じていると……。
「きゃーっ!」
メイドさんたちの悲鳴が聞こえた。
あたしたちは慌てて声の方を見ると……。
『た、タコの魔物!?』
メイドさんの1人が大きなタコの魔物の触手に捕まっていた。
「あらあら……いけない子ねえ」
「まったくだ。行くよ、エファ」
リースさんがタコの魔物に向かって駆け出すと、エファさんは魔法を詠唱する。
「アイスニードル!」
巨大な氷の氷柱がタコの魔物に向かって発射され、目に命中する。
更に痛みに悶え苦しむ魔物に向かってリースさんが飛びかかり、メイドさんを捕らえている触手を一刀両断すると、解放されたメイドさんを空中で、しかも片手で抱き抱える。
メイドさんが助かったのを確認すると、エファさんは更に詠唱を始め……。
「お仕置きよ……ヘルファイア!」
タコの魔物は全身を炎に包まれ、断末魔をあげて動かなくなった。
なるほど、護衛を連れてないのがよく分かったよ、この2人が強すぎるんだ……。
「ごめんね、怖い思いをさせて」
「い、いえ……ありがとうございます……」
リースさんに抱き抱えられたメイドさんは顔を赤らめながら、申し訳なさそうにしている。
そりゃあんな助けられ方したら、いくら仕える人といえども意識しちゃうよね。
……それにしても、さっきからいい匂いがするような……。
「ふふふ、アリスちゃんお腹がすいちゃった?」
『えっ』
なんで分かるのかな……エファさんこわい。
「ママ、私もお腹ぺこぺこ……」
「そうね、今日はたくさん遊んだもんね。それじゃ、さっきの子食べちゃいましょう」
ああ、なるほど。こんがり焼けたタコはそりゃいい匂いするよね。
リースさんが剣でタコを細かく切り刻むと、メイドさんがお皿にそれを盛りつけていく。
「おいしい!」
『確かにこれ……ぷりぷりしてておいしい!』
「ふふふ、たくさんあるからどんどん食べてね」
「わーいっ! ……あ!」
リーファは何かを見つけたようで、森の方を指し示す。
そこには匂いにつられてきたであろう動物たちがたくさんいた。
「僕たちだけじゃ食べきれずに腐らせちゃうからね、彼らにも分けてあげよう」
リースさんは残ったタコを全て切り分けるとあたしたちから離れた場所に置き、戻ってくる。
確かに野生の動物は警戒心が強いもんね。
「えへへ、みんなで食べるの楽しいね」
『そうだね。リーファも楽しそうであたしも幸せだよ』
こうして、ちょっとしたハプニングはあったものの、あたしたちは楽しい休暇を過ごしたのだった。




