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第六十五話 炎蜥蜴は洞窟に棲む

 そうなると残る選択肢は小剣や長槍に絞られる。リーチは短いが安定して振れる小剣と、距離を取って戦えるが扱いがやや難しい長槍。当然、小剣一択だ。別にこちらが距離を詰められて困ることなどないのだから。


「そうですね、じゃあこれを」


 刀身が歪んでいるものや、鍔が反っているものがあるうちの、一番形状が単純なものを選ぶ。こういうわかりやすい武器が一番いい。


「わかりました!一応貸出ではありますが、武器の損傷は気にしなくて大丈夫です。こちらで補修しますので」


 ありがたいサポートまでついている。いや、そうでもしないと気になって戦えないのかもしれないけど。


「そしたら、早速今日の依頼について説明しますね!」


 討伐依頼。対象はサラマンダー。草原を先に進んだところにある、洞穴にいるらしい。


「現状特に問題が発生しているわけではありませんが、行動範囲を広げられたときに被害が出る可能性があります。今の冒険者さんなら倒せると思いますが、くれぐれも無理はしないでくださいね!」


 あまり喫緊の課題ではないが、排除しておいたほうがいい対象、ということなのだろう。まあ逃げる相手でさえなければ、倒せないことはないはずだ。


「それでは頑張ってくださいね~!」


 笑顔と共に送り出される。今回の依頼も簡単そうだな。



 おおよそ一時間後。草原を越えたところに、その洞穴はあった。薄暗くじめっとしている、いたって普通の洞穴だ。灯りを用意していなかったのに、奥へと進んでも全然明るさが変わらない。それどころか、進めば進むほど光源が強くなる。これは……!


 光に導かれるままに歩いていくと、そこには身体に炎を纏ったワニほどの大きさのトカゲが一匹、眠っていた。これがサラマンダーか。わかりやすくて助かる。


「拘束せよ、影の鎖……」


 起こさないように、小声で呟く。ほどなくして拘束されるサラマンダー。これで俺の勝ちだ!忍び足で近づいて、頭に小剣を突き刺す。


「グガゴオオ!?」


 痛みに目覚めたサラマンダーが起き上がった勢いで、俺は軽く吹き飛ばされる。小剣は刺さりっぱなしだ。


「ゴガガガア!」


 むやみやたらに炎を吐き出すサラマンダー。咄嗟にガードしたものの、熱さは微塵も感じない。無力化しているんだから当然か。問題があるとすれば、武器が短剣しかなくなってしまったことか。いくら無力化されているとはいえ、身に纏っている炎は効力を失っていないだろう。そう逡巡したのは一瞬で、気付けば目の前にサラマンダーの身体があった。体当たりだ!

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