第六十二話 魔道具商店で魔法薬を買う
俺を見る店員さんの目は、獲物を狙う鷹のそれだ。迂闊に動けば、やられる……!
「いやいや、別にいらないものを無理に買わせようとしてるわけじゃないよ?ただウチの商品を何も見ずに帰るわけじゃあないよね?」
にこやかに、しかし目線はしっかりとこちらを捉えている。正直怖い。
「でも欲しいものなんてないですよ?武器も道具も足りてます」
「本当かなぁ?そろそろ治癒のポーションが欲しくなってくる頃じゃない?いくら魔道具が強くても、受ける攻撃は防げないでしょ?」
「その点に関しては問題ありません。自作魔法で補ってるんで」
「へぇ~……すごいね、新人なのに……。でもさ、買っといたほうがいいと思うよ?敵が想定以上に強いことなんてよくあるし」
「それも大丈夫です。どんなに強い敵でも、攻撃を防ぐことだけはできるんで」
少なくともあの怪物よりも強い敵が現れない限り、俺の祝福は通じるだろう。一応、チート能力枠なわけだし。
「ふ~ん、攻撃は防げるんだ?それって魔物以外にも通じるの?例えば深い穴に落ちても無事とか」
「あ、それはさすがに怪我しますよ」
「でしょ?怪我した身体で上るのって大変だよ?その点こちらの治癒のポーションは――」
店員さんはポーションの瓶を掲げる。
「軽い怪我ならさっと治って、重い怪我でも多少マシになるよ!持っておくだけ得だと思うけどな~?」
「おいくらなんですか?」
「200ゴルド――だ・け・ど!お得意さんになって欲しいから半額に負けたげる!一本100ゴルド!」
「買います」
説明を聞く限り大した効果は見込めなさそうだが、お守り代わりに持っておくぶんにはいいかもしれない。不意打ちをされた時にも使えるし。
「毎度ありーっ!」
小銭と引き換えにポーションを頂く。持ってみると意外と軽く、ポーチに入れていても気にならない。
「ちなみにまあまあマズいけど、飲んでたらそのうち慣れるから。そこんとこよろしくね」
買ったあとでそんなことを言わないでほしい。まあ、知らないまま飲んで咽るよりはマシか。
「じゃあ、用も済んだのでこの辺で……」
「またのお越しをお待ちしておりまーす!」
ニコニコの笑顔で見送られると、そう悪い気分もしないな。




