第六十一話 試作魔道具に改良の施し
何はともあれ、俺以外の異世界転生者がこんな身近にいることが知れてよかった。家からもそう遠くないし、何かあればすぐに行ける距離だ。困ったらとりあえず頼るのもいいかもしれない。それにしても、『魔法の構成・解析』か。わかってはいたが、俺の祝福は微妙だな。チート能力としては結構使いにくい部類に入るのではないだろうか。それに比べてマキノの祝福は……。もっときちんと女神の話を聞いておくべきだったな。それで何か変わるとも限らないが。
そして何事もなく一日を終えて、次の日。ふと思い立った俺は、魔道具を買った店を訪ねることにした。別に壊れたとか気になることがあるとか、そういうわけではないが。試作品と言われていたし、たまにはフィードバックもしたほうがいいだろう。もしかしたら何かアップグレードしてもらえるかもしれないし。
「いらっしゃ~い!オッ、おにーさん来てくれたんだ!待ったよ~」
「すいません、ちょっと忙しくて。魔道具見てもらえます?」
「もちろん!いや~、あんまり来ないもんだからどっかでおっ死んじゃったのかと思ったよ!無事なら上々!色々買ってってね?」
軽口を叩きながら、店員さんは魔道具をかざしたり握ったりして確かめている。もっと道具を使って細かく調べるのかと思ったら、意外と軽く確認するだけらしい。と思いきや、エプロンのポケットからモノクルを取り出してよく観察している。あのレンズ越しに一体何が見えているのだろうか?
「ふ~ん、いい感じじゃん?試作品にしては上等!問題はないみたいだね~」
「で、よ。おにーさん」
突然ギラリとした眼光をこちらに向けてくる。な、何か悪いことをしたか……?
「もしおにーさんが嫌じゃなければだけど、少しの間これを預からせてくれないかな?ちょっと改造してみたくてさ。もちろん、無料で」
「いやいや、ぜひお願いします!」
これ以上良くなるなら是非もない話だ。現状でも困っていないのに、更に使いやすくなるとは。
「そっか!多分数日かかると思うから、また取りに来てもらえるかな?遅くても五日以内には仕上げるからさ!よろしくね~!」
「わかりました、ありがとうございます!」
踵を返して帰ろうとする俺の肩を、店員さんがしっかりと掴む。
「それはそれとして、何か買っていかない?」
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