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第五十九話 転生者は祝福に解す

 待つこと十数分。籠の中の靄も見飽きて、そろそろ帰りたいと思った頃合いに、彼女は帰ってきた。


「いやいやお待たせお待たせ!実に面白い結果が出たよお!」


 朗らかな笑顔の中に変態性が垣間見える。いかにもマッドサイエンティストという感じだ。


「まず君の魔法なんだけどけど!この世界のものじゃありませーーーん!」


 弾けるような笑みと共に、既知の事実を突きつけられる。


「そもそも、そもそも!魔法でもありませーーーん!」


 知っている。まあ俺の祝福が魔法を扱う類のものである可能性は微塵ながらあったから、それを否定されたという点では未知だったかもしれない。


「つまりつまり!私と同じ、異世界転生者の可能性が高いでーす!」


 それも言わずもがな――え?


「ペトロネさんから聞いたけど、出自がわからないんでしょでしょ?少なくともこの世界じゃあないと思うよ。魔法陣の構成からして違ったもんね」


「今、なんて言いました?」


「君はこの世界の人間じゃないんじゃないかな!」


「そうじゃなくて、その前……」


「魔法でさえない?」


「そこでもなく……!」


「あーあー、私と同じ異世界転生者ってところ?実は私は異世界から来たんだよ。信じてくれなくてもいーけど」


 あまりの衝撃に、俺は頭の中が真っ白になる。まさかこんな近くに異世界転生者がいたとは。会うのにもっと手間取ると思っていただけに拍子抜けだ。


「一応他の人には内緒にしてして?誰にでも話してるわけじゃないからね。君はなんか……面白そうだから言ったけど」


「すみません、名前を伺っても……?」


「チフユ・マキノ。マキノって呼んでね!」


 どうやら本当らしいな。あまりの突拍子の無さに疑ってしまった。


「実は俺、出自がわからないってのは嘘なんです。転生してきたのもはっきり覚えてます」


「ホントー!?祝福を貰ったところも覚えてる?」


「覚えてます……というか、先ほどの魔法が俺の祝福です」


「すごいすごーい!だから意味不明な構成だったんだあ……なるほどね!」


 歓喜が爆発したような笑顔でマキノは話す。まるで偶然出会った相手が同窓だったときのような。いや、あまり例えにもなってないか。現状そのままだ。


「私の祝福は『魔法の構成・解析』。君のは?」


「俺の祝福は『無力化』です。さっきの魔法が当たった敵を無力化できるんです」


「ふーん……それだけ?」


「多分そうです。俺、詳しい説明聞かないまま転生しちゃって……」


 マキノは呆れたような表情になる。まあそれもそうか。普通、自分がチート能力を貰えるという段になれば、慎重に話を進めるものだろう。

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