第五十七話 残党植物を祝福と籠す
次の日。新たな難しい討伐の依頼を期待していた俺に受付嬢さんが提示したのは、調査依頼だった。学も知識もない俺にそんなことができるのかと思ったが、やること自体は討伐とそんなに変わらないらしい。倒した魔物を一部を持ってくるだけ。そして今回の対象はアルラウネ。
「また、ですか?」
思わず本心を口に出してしまう。昨日の今日だ。根を狩ったばかりだし、放っておいても問題はないように思えるが。
「昨日終わった時の冒険者さんの報告が気になるんです。通常、何か魔法で弱体化されている場合は何かしら目に見える変化があるんですよ!冒険者さんの鎖がわかりやすい例ですね」
「でも、あのアルラウネたちには何もなかった…………」
「そうなんですよ!そこで、何が起こっているのかを調べるんです。できれば生きたまま捕獲していただけたほうが詳しく調べられますが、冒険者さんはそこまで複雑な魔法は扱えないと思うので――」
「連れてこればいいんですよね?ちょっと乱暴ですけど、俺の魔法があればできると思います」
「そうですか?なら一応、このケージを持って行ってください!」
アルラウネよりも一回りくらい大きいサイズの籠を渡される。抱えてみるとちょうどよく、両手が塞がるもののしっかりと持つことはできる。
「くれぐれも無理はしないでくださいね!では、いってらっしゃい!」
しっかり釘を刺されつつ、俺は草原に向かう。無理も何もないんだけどな……。
昨日と同じ場所に行くと、残されたアルラウネどもがあてもなくぶらついていた。とりあえず、挨拶代わりに撃ってみる。
「拘束せよ、影の鎖……!」
予想通り、鎖はあらぬ方向へと飛んでいく。つまり、こいつらは既に無力化されている。俺はケージを抱えたまま、アルラウネに向かって突撃する。アルラウネは当然、俺に向かって攻撃を仕掛けてくる――が、痛くも痒くもなく、俺に引っ掴まれてケージに押し込まれる。これにて依頼達成。こんなんでいいのかとも思うが、目的は果たしたんだから何の問題もない。調査依頼は俺に向いた仕事なのかもしれない。
その後、アルラウネが中で暴れるケージをどうにか落とさないように気を付けつつ、俺はギルドに戻った。
「あの、持ってきましたけど……」
おずおずとケージを渡す。かかった時間のほとんどは移動であるくらい簡単だった依頼だ。どこかで大きな間違いをしている気がしてならない。
「お疲れ様です!報酬、多めにしときますね!」
何の問題もなく、受け渡しは完了した。今回は相手がアルラウネだったから簡単だっただけだろうか?俺は相手がどんなに強かろうが、無力化さえできれば捕獲できてしまいそうだが。
「それにしても、こんなにあっさり達成しちゃうなんて!明日からはもっと難しい依頼でもいいかもしれませんね?」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら受付嬢さんはそう言う。ただ捕まえてくるだけの依頼なら、俺は一向に構わないが。




