第五十六話 隠密根本に祝福は残る
前回見つけた時、俺は完全にアルラウネの根を、ただの草っきれとしか思っていなかった。気づけたのはひとえに鎖が追跡してくれたからだ。俺自身の力で探し出すなど到底無理だ。俺は戦わずして負けるのか……?否、まだやりようはある。かなり無理のある手段だが。
俺は杖を高く掲げ、放たれる魔法を思い浮かべる。ただし一方向に進む刃ではなく、広く荒らす竜巻を。バシュッ。数枚の風の刃が、それぞれ違う方向に放たれる。どうやら魔道具で扱える魔法は一種類らしいな。大きさや範囲が変更できたから応用で竜巻も起こせるかとも思ったが、そう上手い話はないらしい。風の刃で竜巻を作ってもいいが、自分に飛んでくる可能性を否めない。そこまで正確なコントロールは恐らくできないだろう。そうなると、俺にはもうヤケになることしかできず。
手当たり次第に風の刃を放つ。アルラウネが斬られるなかで、いつかアルラウネの根に当たるように祈る。魔力がなくても使えるとは言っていたが、いくらなんでも無制限に使用できるわけではあるまい。それでも他に手段はない。擬態を見破る手段は、あくまでも祝福しかないのだから。
視界を満たしているアルラウネを半分ほど斬ったとき、俺は違和感に気付いた。なんてことはない雑草、その一握りくらいのサイズに、よくよく見たら鎖が纏わりついているのだ。間違いなく俺の祝福の鎖。俺は素知らぬふりをして連撃を続け、一際大きいものをぶつけてみる。
「キョアアア!!」
悲鳴を上げて、その植物から鎖が消える。無力化が解けたということだろう。つまり、無事に倒せたというわけだ。改めて見ても雑草にしか見えないそれを回収して、俺はギルドへと帰還した。
受付嬢さんに根を渡す。これも偽装の一部で、根の本体は別だとか言われたらどうしよう。
「おぉ!さすが冒険者さん!これでしばらくアルラウネは湧きませんよ!」
「しばらく、ですか……」
「根絶やしにはなってないと思います、残念ですけどね。それでも倒すことに意味があるんですよ!」
根本的な解決にはならないか。まあ、俺くらいの奴なら倒せただけでも大金星だろう。受け取った報酬は、普段の五倍くらいだった。
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