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第五十四話 群れ成す魔物と用心棒を切る

 そのまま待っていると、予想通りたくさんのゴブリンを引き連れて戻ってきた。後ろからのそのそ来ている影はオークのものか。俺を囲むようにしてゴブリンどもが並んで、こちらをにやにやと見ている。今すぐにでも襲いかかってやりたいが、もう少しの辛抱だ。オークを逃がしては意味がない。


 そうこうしているうちにオークもたどり着いて、俺の目の前にそびえ立つ。何もかも、最初に襲われた時と同じだ。ただあの時と違うのが、俺は俺の祝福を知っている、ということ。棍棒が振り下ろされるその瞬間、俺は詠唱する。


「拘束せよ、影の鎖…………!」


 魔法陣が展開され、そこから放たれた鎖がオークに纏わりつく。直後俺に棍棒がぶち当たるが、当然痛くも痒くもない。ここぞとばかりに俺は穴から抜け出し、買ったばかりの魔道具を掲げ祈る。


「なんか出ろ!」


 俺の呼びかけに応じるように、風の刃が放たれる。風の刃はオークの身体を切り刻み、バラバラにしてしまった。そのまま後ろの木に傷跡をつけて、刃は散った。突然の反撃にゴブリンどもは戸惑っていたが、最初に我に返ったゴブリンが雄叫びをあげると、他のゴブリンどもも塊になって突撃してきた。ちょうどいい。もう一度魔道具を使ってみよう。今度は、無詠唱で。


 目を閉じて、さっきと同じ風の刃が生成されているところを想像する。ただし、今度はもっと多く。再び杖を掲げると、イメージ通りに放たれた。ゴブリンどもをまとめて真っ二つにしていく。いくらか逃してしまったが、目的の数は倒せたからよしとしよう。俺は倒した証としてオークの牙やゴブリンの衣服を剥いで帰途についた。


 ギルドに着いて、受付嬢さんに取ってきた物を渡す。上下で切断されたいくつものゴブリンの衣服を見て、受付嬢さんは目を丸くしていた。


「冒険者さんってあの<バインド>みたいな魔法以外に魔法使えましたっけ?随分綺麗に切れてますね」


「この前魔道具を買って。せっかくなので試し撃ちしてみたんです」


「なるほど~!それはさておき、こちらが今日の報酬です!」


 銀貨と銅貨が数枚ずつ手渡される。いつもよりちょっと多い気がする。当然、難しい依頼ほど報酬も高くなるだろうから、これからどんどん稼げるはずだ。そうなれば、俺がギルド裏の家を出ていくのも遠くない話かもしれない。ともあれ、あの魔道具『ハーピィの羽根杖』が使えるとわかった以上、向かうところ敵なしだ。逃げられさえしなければ、理論上どんな依頼でもこなせる……と思う。まあさすがに、魔道具でもどうしようもない敵もいるかもしれないけど。

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