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第四十九話 真実究明と証言の偽り

「助けを求めた……?嘘を吐くのもいい加減にしてもらいたいね」


 こともあろうに、嘘だと言い切りやがった。あの場にいたのが俺とフレイルだけである以上、これを嘘だと言われればもう取り付く島もない――というわけでもない。俺がフレイルに助けを求めていたことを証言できる人間が一人だけいる。しかもその根拠は他ならぬフレイル自身の発言だ。


「依頼でそんなことは起こらなかったと?」


「はい。被告人は嘘をついています」


 白々しい顔で嘘をつくフレイル。ムカつくその顔に拳の一つでも入れてやりたいが、一泡吹かせるなら暴力じゃ不可能だ。俺に筋力はないし、俺のいる場所からフレイルを殴りに行くまでに制止されてしまうだろう。


「一応聞いておくが、その証言が本当であると示せる証拠はあるのかね、被告人?」


 冷めた表情でこちらを見る裁判長。そんなものはないと思っているのだろう。その思い込みを切り崩してやろう。


「あります!というか、います。証人が」


「!」


 裁判長の頭の上に感嘆符が浮かび上がったように見える。鳩が豆鉄砲を食ったような顔とはまさにこういうことを言うのだろう。


「名前を教えなさい。すぐに呼び出します」


 意外そうな裁判長に、俺は受付嬢さんの名前を叩きつけ――受付嬢さんの名前、知らないじゃないか!


「すみません、名前は知らないんですけど。ギルドの受付嬢さんです……」


 俺はバツが悪そうに、しかしはっきりと告げる。受付嬢さんって言ってもギルドには当然何人も受付嬢がいるはずだし、その全員を呼び出すなんてことは多分できないと思う。俺がこうしている間にも、ギルドは営業中なわけだし。


「ハァ……。何かこう、特徴みたいなものはないのかね……?」


 一転して呆れたような表情になる裁判長。ちょっと申し訳ないな。しかし特徴と言われても、俺から出せる要素は一つだけだ。


「初めてギルドを訪れた時に、能力測定をしてもらった、くらいですかね……。他に特徴らしい特徴はわかりません」


 他の受付嬢のことを全然知らないのだから、特徴もわかりようがない。比較して浮かび上がってくるものこそ、特徴になるのだから。


「ああ!新人をよく見ている、あの!それならわかります」


 俺の考えとは裏腹に、明るくなる裁判長。こんな拙い表現でも伝わってよかった。


「呼ぶまでに少し時間がかかるので、休憩を取りたいと思います。被告人は控えで待機しているように」


 砂上の楼閣に等しいフレイルの証言を崩して、俺の無実を証明する。これはその足掛かりになるはずだ。

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