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第四十七話 異端審問も異世界の裁き

 一切の会話なく、俺はフレイルに連れられていった。フレイルが下手すると走るくらいの速度で早歩きするから、俺はこれからどこに連れていくんだろうとか、余計なことを考える間もなく到着した。


 たどり着いたのは大きく聳える厳かな建物で、看板を見なくてもわかる。裁判所に類するものだ。受付嬢さんが言っていた、俺が疑われている件についての審問を行うのだろう。そうなると、一つ問題がある。


 この世界の裁判システムはどうなっているのか。ここは(今のところ)俺が思い浮かべる中世ファンタジーそのもので、そうなると裁判はロクに審問もせず、いかに有罪であるかを証明するための手段に過ぎない。つまり、被告人席に立たされた時点で俺の破滅は確定する。


 とはいえ、俺がそう悲観的になっていないのは、この世界の住人のほとんどが俺に好意的だからだ。最初に会った謎の竜騎士に始まり、受付嬢さん、グロウスなど、みんな俺に親切にしてくれる。単に縁に恵まれているだけと言われればそれまでだが、それならそれで今度もなんとかなるんじゃないかという気もする。それに、俺は正真正銘無実なのだから、最終的には助かるだろうという希望もある。これは公正世界仮説に過ぎない、しょうもない楽観視だが。


 かくして俺は連れられるままに中に入り、勧められるまま席についた。この従順さが、吉と出るか凶と出るか。


「ではこれより、異端審問を始める!」


 ダメかもしれない。裁判長らしき人物は厳めしい顔をしていて、「これからこいつを裁いてやるぞ」という意思をひしひしと感じる。


「まず監視官であるフレイルから、概要を説明してもらおう」


「はい。この男が身元不明であることに始まり、正体不明の魔法を使うこと、また私の同行した依頼において同魔法を使用し、確実に的中していたにも関わらず目標であるアルラウネの根を取り逃したことに起因して、この男に魔物と繋がりがあるか、もしくはこの男が魔物そのものである可能性を審問していただきたく存じます」


 あまりに長い口上に、俺は少し聞き逃しそうになる。こういう長い話を聞くのは苦手なんだ。とはいえ、大体の内容はわかった。俺が怪しいということだろう。


「この男が怪しいことを示す証拠はあるのかね?」


「ございます。一番わかりやすいのは、誰もこの男の素性を知らないこと。遠い地から来た、という可能性は残りますが、これも否定できます」


「ふむ。その理由は?」


「先程も申し上げました通り、私が同行した依頼のことです。彼の魔法を受けたアルラウネの根を私の魔道具で視ていたのですが、一切の傷がなく。それどころか、元気になったようにさえ見えました。これは魔物に利する行為であり、十分疑いをかけるに値する証拠だと思います」

 

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