第四十三話 試作魔道具はお買い得
何度も繰り返しているであろう売り文句に少したじろぐ。そりゃあ何も買わずに帰るのは申し訳ないと思うが、金銭的余裕があるわけではない。ポーションはどちらもいらないし、ここは撤退させていただこう。
「おっと!何も買わないまま返すわけには行かないよ?こっちにだって商人のプライドってもんがあるんだ」
「すみませんが、ポーションは間に合ってますし。本当に金がないんで」
「お金がないなら後払いでもオッケイ!踏み倒させないための仕組みは整ってるから、お気になさらず。ポーションが気に入らないなら他の商品をご紹介。おにーさんは何かお困りのこととかないんです?」
「言うほど困っていることも……」
「本当に?『駆け出しだから力が足りない!初心者でも簡単に扱える武器が欲しい』って顔に書いてあるよ?」
「何故それを!?」
心を読まれたのかと思うほど的確なコメント。
「みなさん、同じことを考えられるんですねえ」
ニヤリと笑う店員。でも、一つ疑問がある。
「そんな都合のいいもの、あるんですか?」
「あるんだなー、これが」
少し離れた棚から何かを取ってきたかと思うと、彼女はそれを掲げた。
「こちら、ハーピィの羽根杖!魔力が全然なくても使える理想の魔道具ッ!」
短剣よりも短いくらいのその杖から、小さなつむじ風が起こる。これ、武器になるのか……?
「商品を傷つけたら困るから今は弱めにやったけど、調整次第では駆け出し冒険者が普通に詠唱するより威力が高いよ?こちら今なら1000ゴルド……のところを!まだ試作品なので半額の500ゴルドでいいよ!」
「ください!」
即決。まさか手持ちで足りるとは。
「毎度あり~!」
店員もウキウキで会計を済ませる。心の底から嬉しそうな顔をしている。伊達に商人をやっているんじゃないということだろうか。
「試作品だから色々不便なところもあると思うけど、ウチに持ってきてくれたら適宜メンテとか改造とかするから、とにかくまずは使ってみて!で、使い心地とか教えて。よろしく~」
半額にしたうえにアフターサービスまでついているのか。こんなんで採算は取れるのか?それともこれを基にもっと売れる商品を作れる自信があるとか……?なんにしろ、こちらとしてもすごくいい買い物ができたのは間違いない。俺は杖と引き換えになけなしの金貨を手渡して、スキップ気味に店を出た。
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