第二十八話 圧倒的火力に木々も倒る
確かに引っ張るなとは言ったが、だからといって担げばいいなんて誰が思うのか。そんな俺の愚痴をよそに、そいつは信じられないほどのスピードで走っていたかと思うと、急ブレーキをかけやがった。もう着いたのか!?
突然止まったことで生じる負荷に頭をくらくらさせながら周囲を伺うと、そこは森の奥だった。軽く見た感じ、俺が今日来た森で間違いない。まあ予想はできたことだ。俺の発見が引き金なら、当然ここを調べることになるだろうし。
辺りには冒険者たちが数名ずつの班になって行動している。いわゆるパーティというやつだろうか。役割ごとに分かれているのか、同じ職業同士で集まっているように見える。そうなると、俺が一人でいると浮くわけで。
「もう編成が終わってるみたいだな?ちょうどいいから俺たちがパーティってことにしようぜ」
非常識だが非常にありがたい提案だ。俺はフラフラしながら頷く。多分、さっきの急ブレーキで軽い交通事故くらいのダメージを受けたんじゃないだろうか。先行きが不安だ。
「じゃ、ぼちぼち始めるか。お前、ちょっとこれ持っててくれ」
そう言われて渡されたのは男が背負っていた大剣で、当然貧弱な俺が持てるわけもなく地面に突き刺さる。しかし男は俺に大剣を渡した時点で既に違う場所を見ていたらしく、気付く様子はない。
「多分、あそこだろうなァ……」
男が先ほどよりも小声で呟く。とはいえ、元が大きいので結局は普通の声量くらいなんだが。
「があああああああああああああああああ!!!!!!」
そして、突然吼えだした。叫び声が振動となって身体を揺るがす。元々ふらついていたのもあって、倒れそうになってしまう。周囲の冒険者も突然の圧に困惑を隠せていない。
数拍置いて、叫び声を浴びた部分の木が一斉に倒れる。どれもずっしりとしていて重そうな木なのに。それはさておき、これで道は開けた。先ほど呟いていた内容から察するに、こいつには敵の場所がわかっているのだろうか。とにもかくにも進むしかない。ここでこいつの行動の意味を考えていたって、どうせ大したことを思いつけるわけではないんだし。
俺が切り開かれた道を進もうとしたその時、倒れた木々から煤のようなものが放たれた。煤は円を描くようにして形を成していき、最終的に数日前に見た怪物そのものになった。俺がこの世界を現実だと認識するに至った原因。まさかこんなに早くリベンジできる機会が訪れるとはね。他の冒険者たちが身構えるなか、俺は小声で詠唱した。
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