第二十話 異世界の魔法を識る
とにもかくにも、今は情報が欲しい。この感じだとグロウスは別に俺が異世界転生者だからといって何があるわけでもないだろうし、
聞けるうちにこの世界について知っておきたい。
「その通りです。俺のいた世界には魔法もなくて……」
「一つ、聞いていいかい?」
「? はい」
グロウスは急に神妙な顔でそんなことを言いだした。今の話で何か気になることがあったのだろうか。
「さっきも言ったけど……普通はアルラウネを全身に纏ったまま街に帰ってこようとはしないよね?
理由を教えてほしくてさ」
「うっ……ちょっと恥ずかしい話なんですけど」
俺は数分かけて、俺がああなってしまうまでの経緯を話した。もちろん、俺の祝福と思わしき能力まで含めて。
「なるほどね……僕が思うに、それは<バインド>っていう魔法だと思うんだけど……うーん…………」
「何か引っかかるところがあるんですか?」
「『無力化した』って聞いたから、てっきり拘束して身動きを取れなくしたと思ったんだけど。攻撃されても負傷しなかったんだよね……?」
「そうですね……おかげさまで苦労しましたよ…………」
グロウスは首をひねっている。やはり魔法ではなく――
「多分、君の"祝福"ってやつじゃないかな?確証はないけどね」
「!!」
祝福は身一つでこの世界に投げ出された俺の持つ唯一の武器であり財産だ。その正体が確定したのは嬉しい。
「それで魔法について、だったね。僕も学者ほど詳しいわけじゃないけど、それでもいいかい?」
「はい!お願いします!」
それから始まった魔法についての説明は、非常に興味深いものだった。
まず、魔法を使うには詠唱が必要である。ただ詠唱すればいいというわけでもなく、十分な魔力と素養も必要らしい。
簡単な魔法なら魔道具によって詠唱を代行することもできるが、魔力は消費しないと使えない。
見事魔法の発動に成功すると大抵の場合魔法陣が現れ、そこから攻撃が放たれたりするらしい。
そしてすごいと思ったのが、魔法陣を直接描画することでも魔法を発動できるということ。
詠唱は発動したい魔法のイメージを声に出すもので、それを発動に適した形に変換するのが魔法陣。
だから魔法陣さえあれば魔法は使えるという理屈らしい。実際は魔力の流し方や発動する魔法の属性など、複雑な要素が絡み合ってできているため
あまり実用には向かないらしいが。だが一度描画できれば消すまで好きなだけ発動することもできるとのこと。
「お待たせしました、コカトリスの香草焼きでーす!」
俺が考え事に夢中になっていると、料理が運ばれてきた。
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