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第十話 植物魔物は無限に湧く

 何はともあれ、まずは朝食だ。受付嬢が持ってきてくれたバスケットには、握りこぶしサイズのパンが数個。

おかずはなし。さすがにそこまで求めるのは強欲というものだろう。無料で食事と住居を提供してくれている時点で、相当にありがたい存在であることに変わりはないのだ。

「いただきます」

 誰に言うわけでもなく、口に出す。腹の虫もそれに合わせるように鳴く。

早速一つパンを齧ってみる。美味い……!腹が空いているのもあるだろうが、それを除いても

かなり美味しいパンだ。中にはギッシリと肉が詰まっていて、噛みしめるたびに舌の上にジューシーな肉の味が

広がる。こんなに美味しいものを食べるのも久しぶりじゃないだろうか。最近は専らカロリースティックとか

エナジードリンクとか、必要最低限のカロリーと栄養を摂取するだけだったし。俺は夢中になってパンを貪る。

喉に詰まらせる。いつの間にかテーブルに置かれていた水差しから、直接水を口に流し込む。

どうにか飲み込めた。何もおかしくはないのに、笑いがこぼれてしまう。楽しいのだ。

 そうして俺は残りのパンも全て平らげ、バスケットを片手にギルドを訪れた。徒歩数秒。

まだ朝早いからか、ギルドは閑散としていた。受付嬢のところへ一直線に向かう。

「あ、もう朝食を取ったんですね。それでは早速!今日の依頼をこなしていただきます!」

 バスケットを渡しながら、俺は頷く。どんな依頼でもどんと来い。

「今日はー……えー…………」

「はい!」

「少し早いかもしれませんけど、魔物の討伐に行っていただきます!」

 場所は平原。対象はアルラウネ。根菜のような魔物らしい。どこかで聞いたことのあるような名前だし、

もしかすると名称も祝福によって補正されているのかもしれない。そもそも知らない言語を日本語として

会話できているわけだし。何はともあれ、と俺は短剣片手に平原へと向かう。

 

 森と同じく街からそんなに離れていなかったから、すぐに平原に着いた。ここらで暴れて通行の邪魔に

なっているアルラウネを討伐しろ、というのが今回の依頼らしい。なんでも、倒すのは簡単だが、

根から潰さないと無限に湧いてくるらしい。ただし、今回俺は一定数倒してアルラウネの上部の葉を

取ってくるだけでいいとか。実戦での訓練みたいなものだろうか。昨日みたいに、他の魔物に遭わなければ

いいが――そう考えていた俺の目の前に、突然根菜が飛び出してきた!

 否、アルラウネだ。見た目はカブと大根の中間くらい。顔がすこぶる気持ち悪い。俺は躊躇いなく

短剣で一閃する。まるで豆腐を切るかのように、簡単に真っ二つになるアルラウネ。

 俺は葉の部分だけを切り取り、ポーチにしまう。なんだ、思ったより楽そうだ。

この調子でやっていこう。俺は平原に駆けだした。


 それが間違いだった。街からまあまあ離れた場所にアルラウネがいたからそこで戦っていたのだが、

全然尽きる気配がない。根を絶たないと無限に湧くというのは誇張なしの事実だったらしい。

斬っても斬っても飛び出してくる。もう依頼に必要な量は十分に集まっているのに。

だからといって斬るのをやめれば、今度はかじりついてくる。これが地味に痛い。

一つ一つのダメージは多くないが、一度に沢山かじりついてくるから結果として傷を負う。

 ふと、俺は昨日のことを思い出した。自分の能力のことを。オークを無力化できたのなら、

こんなに弱そうな魔物を無力化できない道理はない。俺は小声でボソッと呟いてみる。

「拘束せよ、影の鎖!」

 突如、空中に複数の魔法陣が展開される。そこから影の鎖が現れ、アルラウネに絡みついた。

ただし、一体だけに。他のアルラウネは依然として俺の腕や足にかじりついており、ちゃんと痛い。

要するに、無駄だったということだ。

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