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16.その後・エミリー視点



 あれから、何度もレスター侯爵家に出向いてアイザック様に会わせて欲しいと伝えたけれど、全て門前払いだった。

いつまでアリアを愛する演技をするのか。いい加減本当に愛している私の事に目を向けてもいいと思うのに……

何度手紙を書いても、アイザック様から返事が来る事は一度もなかった。



 アリアが憎い——


生きている間は、厚かましくもアイザック様の婚約者の座に納まっていたくせに。亡くなってもアイザック様と私の仲を邪魔するアリアが憎くてたまらない。

だけどどんなにレスター侯爵家に出向いても会う事すら出来なかった私は、だんだんと不安になっていった。



アイザック様に何かあったのかしら……



そんな風に悶々とした日々を過ごしていると、ある日両親から一通の茶会への招待状を手渡された。

両親の好意を素直に受け取った私は招待された茶会へ出向き、そこで愛しのアイザック様の近況が噂されているのが耳に入ってきた。



「そう言えば、お聞きになりまして?レスター侯爵子息様、最近社交界でお見かけにならないでしょう?何でも不慮の事故で最愛の婚約者を亡くし、そのショックから心の病を患ってしまったようですわ。それに最近では、亡くなられた婚約者がご自身の側にいると仰っているみたいですし」

「まぁ、お二人ともとても仲睦まじくされていましたものね……その心情は計り知れませんわ」

「それに、後継も弟のフィリップ様に変更されたのでしょう?」

「まぁ、そうだったんですの?」

「今後侯爵家はどうなるのかしら」




最愛の婚約者を亡くし、ショックから心を壊した?

後継もアイザック様の弟に変更?

それに、アリアが側にいるですって……?




 ……どうしてそんな大事な話、最愛の私に話してくれなかったの?

例え次期侯爵になれなくても、私は愛するアイザック様を捨てたりなんてしないのに……


 アイザック様、早くお会いしたい。

会ってあの時みたいに情熱的に抱きしめてほしい。愛してると言ってほしい。



延々と続くこの聞くに堪えない噂話に、早々に帰宅する事を決めた私は帰る為にふらふらと出口へ向かって歩いて行く。

こんな嘘ばかりの茶会なんて知っていたら最初から来なかった。それに……


「っふ……ふふっ……っはははははははははははは」


突然笑い出した私をここにいる人達がジロジロ見てくるけど、気にしないわ。


「っふ……あ゙あ゙あ゙あ゙ーーー!!嘘吐き!!嘘吐き!!嘘吐き!!!!」

気付けば私は叫んでいた。

「貴女達、覚えておきなさい。アイザック様の最愛はこの私!アリアなんかじゃないわ!あれは間違いなく死んだのよ!!」


私は間抜け面の令嬢達に向かってそう教えてあげた。

みーんな嘘ばっかり。アイザック様の最愛はこの私、アリアなんかじゃないのに。彼の最愛はここに居る。死んだ亡霊なんかじゃない。

本当に嘘ばっかり。

ねぇ、アイザック様。私が貴方の最愛でしょう?そうよね?

アリアに勝てた唯一がアイザック様からの愛なのに。

それすらも違うと言うなら、私は一体何の為にアリアからアイザック様を奪ったの?




 いいえ、違うわエミリー。大丈夫、アイザック様は私を愛してる。そして私も彼を愛してる。それにこの想いは誰にも壊せない。

だから彼が元気になるまで、私はいくらでも待てるの。だって私は、貴方の最愛だから。







あぁ、アイザック様。どうか……どうか一日も早く私を迎えに来て。

じゃないと私は——






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― 新着の感想 ―
[一言] この従姉妹のざまぁがありませんね。元凶なのに放置されたままという。
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