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12.何でも持っている従姉妹・エミリー視点①

 アイザック様と初めてお会いした時、私は一瞬で恋に堕ちた。と同時に、彼の横で微笑んでいる従姉妹が羨ましくて、そして酷く妬ましかった。


 従姉妹も彼も同じ爵位。なのに私は男爵令嬢。

どうして世界はこんなに不公平なんだろう。

アリアは何でも持ってる……素敵な婚約者も、約束された地位も全部。全部。全部!!


 アリアの屋敷に遊びに行った時、婚約者だとアイザック様を紹介された。

幸せそうに微笑むアリアを見て、私の中にどす黒い感情が生まれたのを覚えてる。


アリアばっかり……


 何でも持ってるアリアが心底羨ましい。

臨めば全て手に入るんだから、一つくらい譲ってくれたっていいでしょ……?

そんな思いで彼、アイザック様に近づいた。


 でも最初はアリアの従姉妹として節度を持って接していた。

だけどアイザック様と交流すればする程、思いは強く。深く、そして重くなっていった。

私には、溢れる思いを止める事なんて出来ない。

なら、止める必要もないよね?



ある日アリアがいない夜会で、アイザック様にこの思いを伝えたらアイザック様は困ったようなお顔で、でも拒否しなかった。

だから私は、受け入れられたのだとひたすら舞い上がった。


 『アイザック様は私を愛しているんだわ!!』


 それからは、夜会でアリアと一緒にいるアイザック様に、目線で“全て分かってます”と合図を送った。

だって、私を愛してるんだもの。横のアリアはお飾りの婚約者なのよね?


 でもいつまでも私を全く優先してくれないアイザック様に、とうとう痺れを切らしつい、侯爵邸に押しかけてしまった。

もちろんその日に、アリアとの約束があったのは事前にアリアから聞いて知っていた。

だから、私は一縷の望みにかけた。

もしかしたらアリアがこの状況を目にして、潔く婚約者の座を降りてくれるかもしれないと……




 アイザック様は、突然押しかけた私を見て酷く動揺していたけれど、私はただ言質が欲しかった。

私だけを愛してくれると。アリアではなく、私を選んでくれると。


 アイザック様に、人目につかない場所へ連れて行かれ、どうして突然来たのか聞かれた私は不安な気持ちを伝え、抱きしめて愛してると言ってほしいと何度も訴えた。そのうち泣き出した私を見てアイザック様は、

「君を愛してる」

そう言って抱きしめてくれた。


 あぁ、アイザック様は私を……私だけを愛してくれている!!


アリアには家柄も容姿も何一つ勝てなかったけど、アイザック様は私を選んでくれた。

私はアリアに勝ったんだ……!!



「……っ!もういいだろう!?」

嬉しくて舞い上がっている私は、その時アイザック様が何を仰っていたのか何一つ頭に入っていなかった。そんな中、侯爵家の侍従がやってきて、アリアの到着と体調が悪いから今日は帰る旨を伝えてきた。

アリアが帰るなら、今日はこのままアイザック様と一緒にいられると喜んでいると、アイザック様はアリアの体調を心配しているのか顔色を悪くしていた。


 どうして?

 貴方の愛する人は私でしょう?

 だって、今さっき私を愛してるって言ってくれたじゃない。


アイザック様の態度には不安になったけど、私は大丈夫。だって愛されているんだから……

私とアリアは違う。愛されてもいないアリアとは違うのよ。

アイザック様が愛しているのは私なのだから大丈夫だと、自分に言い聞かせ私はその日大人しく侯爵邸を後にした。



 アリアじゃなくて、私がアイザック様の妻になりたい。

 あーあ、アイザック様に抱きしめられているところを、アリアに見てもらえなかったのは残念だったなぁ。





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