──って、今はそれどころじゃなかったな。
≪ オルデシア小国 ≫を守っていた精霊結界が消えてしまったって事はだ、侵入者が結界かい鉱こう石せき石せきを守まもっている精せい霊れい結けっ界かいを何なん等らかの方ほう法ほうで破やぶって、結けっ魔ま界かい鉱こう石せき石せきを破はこ壊かいわしたんだろう。
結けっ魔ま界かい鉱こう石せき石せきが破はこ壊かいわされたから、≪ オルデシア小しょう国こく ≫を守まっていた精せい霊れい結けっ界かいが消きえてしまったんだ。
セロと一いっ緒しょにテントから出でたオレは、崖がけの上うえから地ち上じょうの様よう子すを見み下おろす事ことしか出で来きない。
オレには何なにも出で来きない。
セロには出で来きるのに、セロは何なにもしてくれない。
セロは高たか見みの見けん物ぶつと傍ぼう観かんと非ひ人じん道どう的てきな実じっ験けんをするのが誰だれよりも好すきな人にんセロ形ぎょうフィートだ。
今日きょうのセロのお楽たのしみは、オレを侮ぶ辱じょくした≪ オルデシア小しょう国こく ≫の国こく王おうと側そっ近きん達たちを絶ぜつ望ぼうの底そこに叩たたき落おとす事ことなんだろう。
仕し返かえしの為ために、大おお勢ぜいの無む関かん係けいなオルデシア国こく民みんが、自じ国こくの国こく王おうと側そっ近きん達たちのと・ば・っ・ち・り・を受うけて、犠ぎ牲せい者しゃになる。
酷ひどい話はなしだ。
もしかしたらだけど…オレが知しらないだけで、密ひそかにセロは侵しん入にゅう者しゃに手てを貸かしていたかも知しれない。
セロには聞きかないけど…。
どうせ聞きいたって、否ひ定ていされたり、はぐらかされたりするだけだからだ。
近きん隣りん諸しょ国こくの軍ぐん隊たいが陣じん形けいを崩くずす事ことなく≪ オルデシア小しょう国こく ≫の領りょう土どへ進しん軍ぐんしている。
セロの見み立たてでは朝あさ方がたには領りょう土どへ入はいるらしいけど、オルデシア国こく民みん達たちは進しん軍ぐんして来きている敵てき国こくの軍ぐん隊たいと対たい峙じする事ことになったら、どうするんだろう。
近きん隣りん諸しょ国こくの軍ぐん隊たいは全ぜん部ぶで5ヵ国こくある。
黒くろい鎧よろいの黒こっき軍ぐん,赤あかい鎧よろいの赤せっき軍ぐん,白しろい鎧よろいの白はく軍ぐん,紫むらさきの鎧よろいの紫し軍ぐん,黄き色いろい鎧よろいの黄き軍ぐんだ。
5ヵ国こくが秘ひ密みつ裏りに同どう盟めいを組くんで、≪ オルデシア小しょう国こく ≫へ攻せめ込こもうとしている。
≪ オルデシア小しょう国こく ≫を5当とう分ぶんするつもりなのかな?
攻せめ込こまれて、蹂じゅう躙りんされて、占せん領りょうされたオルデシア国こく民みんの未み来らいはどうなるのかな。
奴ど隷れいドンクラかな??
マオ
「 なぁ…セロ──、≪ オルデシア小しょう国こく ≫が陥かん落らくしたら、残のこされたエルフの末まつ裔えい達たちはどうなるんだ? 」
セロフィート
「 どうもなりません 」
マオ
「 どうもならない??
何なんでだ?
奴ど隷れいドンクラにされたり、しないのか?? 」
セロフィート
「 マオはオルデシア国こく民みんが奴ど隷れいドンクラにされる所ところを見みたいです? 」
マオ
「 見みたくないよ!
見みたいわけないだろ!! 」
セロフィート
「 そうです?
残ざん念ねんです… 」
マオ
「 本ほん当とに残ざん念ねんがるなよ〜〜 」
セロフィート
「 ふふふ。
マオに面おも白しろい光こう景けいを見みせましょう 」
マオ
「 面おも白しろい光こう景けい??
一いっ体たいどんな光こう景けいだよ… 」
セロフィート
「 見みていれば分わかります。
マオ、座すわって見けん学がくしましょう 」
そう言いったセロが椅イ子スを出だしてくれた。
オレはセロの言こと葉ばに甘あまえて椅イ子スに腰こしを下おろして座すわった。
朝あさ日ひが昇のぼった頃ころには、≪ オルデシア小しょう国こく ≫の領りょう土どへ侵しん入にゅうし、進しん軍ぐんを進すすめていた。
国こく王おうが国こく防ぼう軍ぐんを敵てき軍ぐんへ向むかわせているけど、5当とう分ぶんに分わけられた国こく防ぼう軍ぐんの数かずでは、とてもじゃないけど敵てき軍ぐんと交こう戦せんする事ことになったら敵かなわないだろう。
幾いくら精せい霊れい魔ま法ほうが使つかえるからと言いっても 限げん界かいがある。
ハラハラして来きた!!
白はく軍ぐんが最さい初しょの村むらを目め指ざして進しん軍ぐんしている。
敵てき軍ぐんからの見み境さかいのない理り不ふ尽じんな攻こう撃げきを受うけて最さい初しょの被ひ害がいに遭あう村むらだ。
村むら人びと達たちはパニックを起おこしながら、戸と惑まどいながらも自じ分ぶん達たちが生うまれて育そだった村むらを守まもろうとしているみたいだ。