今、セロとオレが滞在しているのは、オルデシアという名前の小国だ。
≪ オルデシア小国 ≫を取り囲んでいる近隣の国々はオルデシアよりも大きい国ばかりだ。
軍事力だって、近隣諸国の方が強い。
≪ オルデシア小国 ≫で暮らしている国民は大国に囲まれながらも今まで細々と生き延びていたらしい。
オルデシア国民の殆んどはエルフ族の末裔達らしい。
エルフ族は昔から精霊の力を借りて自然と共に生きて来たらしい。
だから、何処の国よりも自然が豊かで緑が多い。
空気も澄んでいて美味しいし、水も清らかで綺麗だし、珍しい鳥や動物も沢山生息している。
山や森では、珍しい木の実や山菜が採れたり、田畑では季節に関係無く穀物,果物,野菜なんかも収穫されている。
海はないけど、川魚が釣れるし、巨大な湖の底が海と繋がっているらしくて、海から湖に迷い込んだ魚を釣る事も出来る。
小国ながら食料や水に困らずに自然から恵みを分けてもらって豊かな生活が出来ているのは、精霊の力のお蔭らしい。
精霊の力のお蔭で、季節に関係無く果物や野菜の収穫が出来るみたいだ。
自然が豊かな≪ オルデシア小国 ≫が近隣諸国から攻められないのは、精霊の力で張られている強力な結界のお蔭らしい。
結界石って言われる珍しい石が使われているらしいけど、セロ曰く結界石は魔鉱石の事なんだとか。
近隣の国々は軍事国家が多くて強いけど、それほど豊かではないみたいで、虎視眈々と豊か過ぎる≪ オルデシア小国 ≫を狙っていて、何とか自国の領土にする為に画策しているらしい。
何処の大陸にある国も考える事は同じらしい。
奪って奪われての繰り返しなんだな…。
近隣諸国中から狙われている≪ オルデシア小国 ≫だけど、精霊結界のお蔭で永年攻められる事はなかったけど、精霊結界も万能じゃない。
結界かい鉱こう石せき石せきが破はこ壊かいわされてしまったら終おわりだ。
セロは「 近ちか々じか≪ オルデシア小しょう国こく ≫を囲かこんでいる精せい霊れい結けっ界かいが消きえて隣りん国ごくのスベルニカから侵しん略りゃくされる 」なんて物ぶっ騒そうな事ことを親しん切せつにもオレにだ・け・に教おしえてくれた。
教おしえる相あい手てが明あきらかに違ちがうと思おもうんだけど、そんな事ことをセロに言いっても無ム駄ダ子こちゃんだ。
だってセロはは・な・っ・か・ら・国こく王おうに教おしえる気きなんか更さら々さらないからだ。
滞たい在ざい中ちゅうの国くにが戦せん争そうに巻まき込こまれたって、セロはち・っ・と・も・気ににもしない。
大おお勢ぜいの国こく民みんが戦せん争そうの被ひ害がいに遭あって苦くるしんだって、セロには全まったく関かん係けい無ない。
高たか見みの見けん物ぶつをしながら、「 勝かっ手てに好すきなだけ殺ころし合あってください 」の傍ぼう観かん者しゃだ。
セロは善ぜん意いで人にん間げんを助たすけたりしない。
セロが人にん間げんを助たすけてくれる時ときは、何なにか面おも白しろい事ことを企たくらんでいる時ときだけだ。
オレは恥はじを捨すててセロに甘あまえて、どうして精せい霊れい結けっ界かいが消きえてしまうのか聞きき出だす事ことに成せい功こうした!!
頑がん張ばれた自じ分ふんを褒ほめてやりたい!!
セロが言いうにはだ、湖みずうみの底そこは海うみと繋つながっているから、其そ処こを通とおれば≪ オルデシア小しょう国こく ≫に侵しん入にゅうする事ことが出で来きるらしい。
決けっして簡かん単たんな事ことではないけれど、時じ間かんを掛かけて粘ねばれば不ふ可か能のうではないらしくて、近きん日じつ中ちゅうにも侵しん入にゅうが成せい功こうするらしい。
国こく王おうに教おしえてあげようよ…なぁ?
≪ オルデシア小しょう国こく ≫の湖みずうみから侵しん入にゅうしたら、後あとは精せい霊れい結けっ界かいを消けすだけだ。