接触
メルはこのなにもない部屋に着くとその中にポツンと存在していた大きなベットに近づき中に何がいるのかを確認すると中には眠っている女の子がおり気は引けたがその子を起こし事情を聞く必要があると判断したメルはこのベットで眠っている女の子を起こすために声をかけたり体を少し揺らしたりして起こしにかかった。
”すごい!肌すべすべ、しかもかわいい顔立ち。なんだか今まで感じたことのない何かが私の中に広がっていくような?”
白雪を起こすために体を触るとその肌きめ細かさに驚きながらもその邪念を払うようにメルは起こす勢いをまして行ったが残念ながらすぐには白雪は起きなかった。
ここまでしているのに起きない白雪を目の前にしてメルの起こす勢い更に激しくなっていき、ようやく白雪の意識を呼び戻すことに成功したメルだった。
しかし、メルの驚きはまだ終わらなかった。
!?!?!?!?!?!?!?!?
メルは驚きの余り少しの時間フリーズしてしまった、今まで何があってもこんな状態になったことはなかったが、今のメルは完全にフリーズしてしまっていた。
それほど目の前には驚きの光景が写っていた、それはメルが起こしたことにより布団がはだけたあられもない姿をした白雪の格好であった。
「あっあなた!なんて格好してるの!」
起きたことにより掛けていた毛布が落ち白雪の裸Yシャツがあらわになり決して小さくはないが大きすぎないちょうどよい大きさの胸がチラ見えしていたりズボンなどのはいていない為目の前の女の子の下半身部分には白い布地が少しだけ見えてしまっていた。
そんなあられもない姿をした白雪はとても眠そうな顔をしておりその姿もとても可愛らしい表情をしており何とも庇護欲を刺激した。
これ以上は目の毒になる為直ぐに落ちた毛布をかけ直し体全体を多い隠せるように巻く事によって白雪の体を見えないようにした、すると白雪の体は先程までの白雪の体温で温まっている布団を巻かれた為、折角目が冷めてきた白雪はいい感じの暖かさが体全体を包んだため覚醒しようとしていた意識はまた暗転していくように白雪は再びベットに横たわった。
「へ?ちょっと!」
白雪は再びベットに倒れ込み眠ってしまったのだった。
流石に再度眠ってしまうとは考えていなかったメルはどうしたら良いのか分からず少しの間放心してしまっていたがこのままでは話が何も進まない為再度起こすことに決めたメルだった、もちろん今回は毛布を掛けたまま慎重に起こそうと決めて。
「ねぇ君なんでまた寝るのよ!起きなさい!話が進まないでしょ!起きなさい!」
自分を無視して眠ってしまっている白雪を先ほどよりも強くゆすりながら起こし始めたメル、その結果眠っている白雪の頭は思いきりシェイクされ眠るどころではなかった、因みにだがメルが先ほどよりも強くゆすったのは早く起こすというよりも自分を無視して眠ったことに対する意趣返しだったりする。
そして、頭をシェイクされた白雪の意識は半ば無理やり覚醒させられ再び体を持ち上げたのだった。
「なに~あんまり揺らさないでよ~」
流石にあそこまでされれば先ほどのように意識半分状態にはならずはっきりとした意識が戻っていた白雪その状態で目の前を見るとなんと先ほどは認識できなかったメルの事を完全に認識することが出来たのだった。
”やっと!やっと!誰かが来てくれた!しかもいきなり男性ではなく話しやすい女の人で良かった!”
メルの事を確認すると白雪は目に見えて嬉しそうな顔になり目が輝きだした。
”それにとても綺麗な人!ピンク色ストレートの綺麗な髪に高い身長顔はクール系かな?しかも胸が私よりもでかい!あの胸に顔を埋めたら気持ち良さそ~それになんか鍛えてる人なのかな?体がかなり締まっているこの世界の女の人はみんなこうなのかな?”
「ねぇ君はなんでこんなところで眠っていたの?」
白雪がメルを見てその美貌に見とれていると不意にメルから当然の質問が投げかけられた。
メルは白雪の反応を無視し自身が気になっていたことを率直に聞くことにした、このまま何もしないと再度白雪は眠ってしまうと考えたからである。また彼女を起こすのは流石に遠慮したかった、今のメルは鍛錬の途中であり先程までずっと激しい鍛錬をしていた為かなり疲れているほどではないが一切疲れていないわけでもなかった。
この状態でそう何度も同じ事をしたくはないし早く話を進めたかったメルであった。
「分かりません、気が付いた時には私はここに居ました。そして如何やら私はこのベットから出ることが出来ないんです」
”ベットから出ることが出来ない?何故だ?封印魔法でも使われているのか?”
今までメルは白雪の美貌や服装に気を取られていた為彼女の首元につけられた彼女には似合わない程の厳つい鎖に気が付くことが出来なかった。
”これか!この鎖が原因でこの子はこのベットから出られないのか!”
「ちょっと失礼する」
気になったメルは白雪に繋がれている鎖を触ってみると異様な違和感を感じ取った、触った感触はそこらへんにある鎖と何ら変わりはないが何かが違うとメルは敏感に感じ取ってた。
「この鎖を外そうとはしたの?」
「えっ?あっはい。外そうとしたんですけど何をやっても私の力ではびくともしなくて。それにベットの中では自由に伸び縮みするんですけどベットから出ようとすると急に動かなくなって出れなくなってしまうんです」
”なんだ?それは、そんな鎖聞いたこともないわね?それに如何やらこれをやっと人物はこの子を何が何でもこのベットから出したくないようね”
この不可解な鎖の事を考えているといつの間にか黙ってしまい動かなくなってしまったメル、何の会話もない気まずい空間がいつの間にか出来上がっていたがそれを感じたのは白雪だけであった。
黙ってしまったメルの関しては気になって事を考えるために只集中しているだけなので彼女はこの空間に居心地の悪さを感じてはいなかった。しかし白雪には居心地が悪かった為その空間を壊すために白雪は話の方向を変えた。
「あっあの!名前・・名前は何というんですか?私は白雪といいます」
「そういえば自己紹介してなかったわね。ごめんなさいね、私はクライメール・リーデンブルクっていうのよ。この国の一応貴族の娘よ今はまだね」
「今は?ってどう言う?・・・あっ!すいません、過ぎた質問でした」
つい気になってしまったことを口にしてしまったが直ぐに聞いてもいいような内容ではないと感じ取った白雪はうつむきながら謝罪を口にした。
「いえ、大丈夫。良いのよ仕方がない事なんだから」
白雪は迷っていた今の反応からこれ以上彼女の事情に踏み込んでもいいモノか、下手に踏み込めば彼女の機嫌を損ねる結果になるそうなればこの場から去ってしまうかもしれない。それは白雪の中の最悪の結果であるが仲良くなるためにはお互いが腹を割って自身の事情を話さなければ共感などは生まれない。そこで白雪は自身境遇を話すことで彼女の事情を聴こうと考えた。
「あっ!あの!」
「ん?なに?どうしたの?」
いざ自身の事を語ろうとすると緊張で若干上ずった声になってしまった白雪に対してメルは落ち着いたような様子である。その姿は完全無欠のお姉さんといった感じであった。その姿に安心感を何故か感じながら白雪は一呼吸おいてから話し始めた。
「あの、私の話を聞いてくれますか?それでもしよければあなたの話も聞かせてくれませんか?」
「メル。メルでいいわ、私もあなたの事白雪って呼ぶから」
「はい!メルさん!」
「それではお話しますね」
白雪は語った、気が付いた時には自分がここにいたことをそしてそれ以前はどんな場所にいたのかどんな生活をしていたのかを何を経験してきたのかをすべて余すことなくメルに語って聞かせた。
白雪の話を黙って聞いていたメルは途中から温和な表情から真剣なものへと変化していったが白雪はその変化には気が付かなかった。
「以上がこれまで私が経験してきたことでっ!」
最後まで言うことなく白雪はメルに抱きしめられ口をその大きな胸で塞がれ驚きの顔をしている白雪であった。
「辛かったね?寂しかったね?大丈夫・・今は私がここにいるから。これからは寂しくないよ?」
そのセリフは白雪が物心ついた頃から聞きたかったセリフである。まさかここで言われるとは思っていなかった白雪はいきなりの不意打ちで今までに心の奥底にため込んでいたダムが完全に決壊しいつの間にメルの胸の中で子供の様に泣いてしまっていた。
それを黙って受け止めているメルは白雪の中の理想のお姉さんのようであった。
”あぁ、温かい。もし家族がいればこんな感じなのかな?”
「・・・・・お姉ちゃん」
メルの優しさに今までに感じたことのない温かさが白雪の中に広がっていき無意識のうちに白雪はメルの事を姉と錯覚してしまっていた。
白雪が泣いている間メルはじっと白雪を抱きしめ泣き止むのをせかすことなくじっと待っていた。
”この子はなんだか私と似ている、誰にも必要とされずにずっと一人で耐えてきた私と。それになんだかこの子を見ていると何故だか甘やかしたくなるようなそんな感じが心の奥底から湧き上がってくるような?”
白雪の庇護欲を刺激するレベルはかなり高くいつの間にかその力は完全にメルを虜にしてしまっていた、しかもその力の厄介なところはそれを振りまいている白雪自身がその力に気が付いていない事である、もし誰彼構わずその力を振りまけば周りの大勢の人の庇護欲を刺激し白雪を奪い合う事にすら発展しかねないのである。
それくらいに白雪の破壊力は高かった。
「ってあれ?もしかしてまた寝てる?」
感情の制御が出来なくなった白雪の精神は意識を手放すことで鎮静化を図ろうとした為メルが気が付いた時には白雪の意識は遠くの世界に行ってしまっていた。
「私も少し寝ようかな?」
話の流れがいったん落ち着くとメルの体も休息を必要としているため急激な眠気がメルを襲った、そしてメルはその睡魔に身を任せるように眠っている白雪を抱きしめながら深い眠りについた。
「面白そう!」
「続きが気になるかもしれない」
「期待できそう!」
なんて思った方が居たらぜひとも下の星を1以上お願いします!
ついでにブックマークもしてくれると執筆の励みになります!
感想も受け付けているので辛口でもいいです!ぜひお願いします!