休み2
”さっきまではあんなに幸せな気分だったのに今の気分は最低最悪の気分だ。”
今メルが向かっているのはいうなれば食卓である、朝その場に家族が揃い朝食を取るしかしこの場での意味は朝食ではなく父親からの指示であったり情報の交換が主な理由になっているがメルの場合ただの空気になっているだけなのだが、この朝の集まりには必ず出席しなければならないことになっている。
一度メルはその場にいる必要性を感じなくなっており欠席しようとしたが兄であるレオン・リーデンブルクがメルの部屋に来ると寝間着のまま無理やり父がいる場所まで引きずられて行ったことがあった為この会には出席しなければならなかった。もしまた欠席しようとしても今のメルには抵抗する力があるがこの家を円満に出ていくことが難しくなる可能性がある。
それは避けなければならない自体であるためメルは今日もこの最悪の朝食を取りにいかなければならなかった。
だが必要とわかっていてもあの空間に行くことはメルの中ではかなりのストレスになっている、無意識のうちに足に進みが遅くなってしまっても無理からぬ事である。
そしてようやくその最悪の場所の扉の前まで来たがいつもの通り控えているメイドがその扉を開けることはせずメルを見ようともしなかったがこれはいつものことなのでなれた感じでメルはその扉を開けた。
中には既にメル以外の全員が揃っており既に食事を初めていた、並んでいるのは朝から豪華な食事であったがメルが座る席には何もなかった、いつもであれば何かしらおいてあるのだが今回は何もおいていなかったのだ。コレはなにかあると嫌な感じがした。
「さっさと座れ」
「はい」
兄であるレオンからの冷たい眼差しで座るように促されメルは大人しく自分で椅子を引き席についた。
「お前昨日はどこで何をやっていた?お前のような無能なやつのために作った料理が無駄になったぞ?」
”あぁ~なるほどだから今日は食事がないのか。また無駄になるとか言うんだろうな”
「私はこの家の次期当主として無駄な支出はなくさなければならない、今日も貴様は食事に来ないものだと思ってな。貴様の食事は用意していない」
”・・・やっぱり”
「あはは!いい加減この家に迷惑かけないでほしいよねー!あんたの話が上がる度にこの家の名前の価値が下がっちゃうんだからさー!僕の評判まで落ちたらどうしてくれんるだよ、お前みたいな雑魚のせいで優秀な僕に影響が出たらさ!アハハハハハハ!!」
メルをバカにして高笑いをしているメルの弟である「モーリ・リーデンブルク」。その性格はかなり悪く下のものを見下す傾向が強い、だからこそメルは頻繁にモーリからの度が過ぎた嫌がらせを受けることがある。今のメルの部屋もモーリの気まぐれの嫌がらせである。
”ほんとめんどくさい奴らだな早くこの家から出たいものだ。だが食事がないのなら直ぐにこの場所から去ることができる!”
「申し訳ありません。以後このようなことがないように気をつけます、食事がないようなので私はこれで失礼します」
「待て」
この場から逃げることができると喜んでいた矢先今まで黙っていた父がメルの逃走を阻んだ。
「なんですか?お父様」
「無駄なことをやっていないでさっさと身支度を済ませろ、卒業と同時にお前はこの家の者ではなくなるのだから」
”なんだそんなことか、言われないでも既に身支度は済んでいる。というかこの家から何かを持っていく気はサラサラ無いからな、あの汚い部屋のまま出ていってやるさ”
「分かりました」
「話は異常ださっさと出ていけ」
「はい、直ぐに」
席を立ち礼をするとその場を後にする。
***
「はぁ~メル姉が帰ってくるまで暇だな~」
一方その頃部屋に一人残された雪はやることがなくベットにダイブし二度寝しようとしていたがシャワーの影響か眠気など全く来ずにダラダラするはめになっていた。
「どこに行ったんだろう?メル姉は?それはそうとこの荒らされた部屋どうにしできないかな?確か弟さんにヤられたって言ってたけど直さないのかな?ってそうか後少しでここをおさらばするんだった」
雪はこの部屋の惨状をメルに聞いていたすると家族にヤられたと説明されると雪の中に怒りが込み上がって来てそのまま犯人を〆る勢いにまでなっていたが流石にメルに止められたのだった。
しかしそれでも雪の中では許せるものではなく今に直ぐにでも〆たと考えていたが冷静に考えると非力な自分には無理だと思い直した雪であった。
「早く帰ってこなかな~メル姉、ん?」
寝転がっているとふと雪の視界にメルが使っていた枕があった、雪が使っているのは別の枕なためなんの香りもしないがだからこそ眠りやすかったがふと気になってしまったのだ”メル姉の匂いってどんな感じだろう?”と。
気になってしまッたが最後いつの間にか雪はメルの枕を手にとっていた。
”私は一体何をしているのだろうか?これじゃぁまるで変態みたい、でも少しだけなら”
ふぅ~~~~~~
好奇心に負け雪はメルの枕に顔を埋め思い切り深呼吸を初めた。
”ふぁ~~いい匂~~~い、なんかこの匂い癖になりそうな・・・私この匂い好きかも”
雪は一度その匂いを嗅いでしまってはもはや止めると言った考えなど放棄しそのままメルの枕に顔を埋めたまま寝転がりひたすらにメルの匂いを摂取している。その姿は仮に雪が男だった場合完全に変質者の図になっている。
しかしそこは見た目が完璧な雪である先程までは整っていた髪もお構いなしにメルの枕に顔を埋めた結果乱れてしまっているが今の雪にはそんな事に構っている暇などなくメルの匂いを嗅ぐ行為にふけっていた。
ふぅ~~~~!!
しばらく堪能すると、一段落したのか雪は一度メルの枕から顔を離した。
”なんだろうすごい安心する!でもそろそろ止めないともしかしたらメル姉が帰ってくるかもしれないし・・・あと!後少しだけ!あと10秒だけなら!”
自分に言い訳をしながらメルが帰ってくる不安を拭い去り再びメルの枕に顔を埋めようとした瞬間雪の視界には写ってしまったシャワーを浴びるまでメルが着ていたであろう寝間着が
ゴクリっ!
”枕であんなにいい匂いがしたしもしメル姉が着ていた服だったらどんな感じなんだろう?”
ここまで着た雪にはもはや正気の思考などは出来ずにさらなる禁忌に手を伸ばしていた、枕を手放すとベットから降りメルが脱ぎ去り畳んでしまっていったメルの寝間着に向かって足を進めていた雪だった。そしてそんな彼女に待ったをかける人も理由も存在しなかった。
「これがメル姉の寝間着」
畳んであったメルの寝間着を手に取ると雪はさらなる罪を犯していった。服を顔に近づけるとそのまま顔に押し付けその匂いを思い切り吸い込んだのだった。
”さっきの枕よりもいい匂い!でもこれと枕を合わせあたらどうなるんだろう?”
美味しいものに美味しいものを足せば美味しくなる方程式に則った考えを起こした雪は持っているメルの服をベットまで持っていきメルの枕めがけてダイブしその匂いを満喫し始めた。
”やっぱり思ったと通り最高~!!”
ここまで来るともはや誰にも雪を止めることは出来ない、彼女は変態になってしまったのだった。
しかも雪の見た目からしてかなり不味いことになっている。顔などは蕩けきっており男がもし来てしまったらその場で犯される程の魅惑的な顔になっているし、先程から右に転がり左に転がりを繰り返しているため止めていた前のボタンが外れてしまいその形の良い胸の先端が後少しで見えてしまう所まで来ている。
”フフフ!最高!!!・・あれ、なにかー忘れているような?”
「とても可愛らしいぞ?・・・雪」
「ふぇ?」
雪に向かって放たれた言葉、それを理解すると雪は声のした方に視線を向けるとそこには用事から帰ってきたメルの姿があった。
「私の服と枕に顔を埋めて何をやっているんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・」
しばらく雪は何も考えることが出来ずにフリーズしていたが次第に思考が戻ってくると自分が今まで何をやっていたかを思い出した。
「!!!!!!!!!」
「ちっ違うの!メル姉!これは・・・本当に違うの!」
苦しすぎる上に何も説明出来てはいないがすぐに出てきた言葉がこれしか無かったのだった。思考は戻ってきてもまともな判断力は戻ってきていないため雪はそれはもうテンパってしまっていた。
「ほう?違うとは一体何が違うんだ?雪?」
メルはすべてを分かった上でわざと雪に説明させようとしている、ここに来てメルのSっ気が爆発してしまったのだった。元々メルにはその気があったがお嬢様の仮面を被ってきていたためそれに気がつく事が出来なかったが雪のそのあられもない姿を見た瞬間メルの中で何かが外れるのだった。
「雪が手に持っているのは私が先程着替えるときに脱いだ寝間着だと思うのだが?それをどうして雪が持っているんだ?ん?」
いつもであれば言い訳の一つや謝罪してこの場を乗り切ろうとするがテンパってしまっている雪は予想外の返答を返すのだった。
「あた・・あたため・・そう!こうやってメル姉の服を温めてたの!」
自身に満ち溢れた顔で雪はメルの服を抱きしめると「どうだ!」といったいい笑顔でメルに向き直った。
「プっ!アハハハハハハ!!」
「なっ!笑わないでよ!ばか!」
「ごめんごめん。でも、その言い訳は・・・ハハハ!」
苦しすぎる言い訳にさすがのメルも我慢できずに吹き出してしまった。言い訳をした本人は焦っている中その場しのぎの言い訳と分かって入るがここまで見事に笑われたら流石に少しくるものがあったらしいが、ヤッていたことがヤッていたことだけにそこまで強く文句を言えはしなかった。
「それで本当はなにをヤッていたんだ?正直に言いなさい?雪」
「えっと、あの~そっその」
まるで悪いことをした家族を叱りつける姉のような威厳を見せながらも、まだ雪に言わせたがっているメルであった。
メルは本当のことを言いたくても言い出せない羞恥に染まった顔を見て密かに昂ぶっていた。
”可愛いな雪は!何だ!あの今にも噴火しそうな顔は!その恥ずかしがっている顔を見たら誰だって襲ってくれと勘違いしてしまうぞ!危険だ!雪は恐らく自身の破壊力を理解していない!危険だこれは”
「・・ご・・・ごめんなさい、実は・・・その・・メル姉の」
「わたしの?」
「メル姉の匂いを嗅いでいました!」
勢いに任せて全てを吐露したは良いがその後に襲ってくる羞恥に対抗する手段を持ち合わせていない雪は再び顔を赤く染め下を向いてしまった。
雪は今かなり後悔していた、先程までは最高の気分だったのに今は最悪の気分である。見られてはいけない部分をましてや本人にバレてしまっては顔を見ることすらできなくなってしまう。帰ってきてくれて嬉しいが顔を見ることが出来ないのはもどかしかった。
”言ってしまった!変態だと思われたかな?いやどう聞いても変態だよね?もしかして呆れられたかな?捨てられちゃうのかな?わたし”
どんどん気持ちが沈んでいき先程は赤かった顔はどんどん青くなっていき小刻みに震えながらメルの返答を待つことしか出来ずにいた。
「何をそんなに怖がっているんだ?雪はそんなことで私が怒るはずないだろ?流石に少し驚いたが雪が少し変態だからといって私は構わないさ」
震える雪の体を優しく包み込み抱きしめると雪の耳元で許し小言葉を囁き、涙目だった雪の涙を拭い聖母のような笑みを浮かべるメルであった。
「メル姉~!!」
自分が想像した結果にならず更には何事もなく許されたことが嬉しくそのままメルのことを抱きしめ返す雪であったが最後らへんにあった毒を雪は聞き逃していなかった。
「やっぱり変態ぽかった?私」
「あぁ、最初から見ていたが誰が見てもあれは変態だったぞ?」
「へっ?最初から?」
「そうだな、用事がかなり早く終わってな直ぐに部屋に戻ってきたんだが、雪が何をヤッているのか気になってな少し覗いてみたんだが予想以上のことをしていて少し驚いたが、うんとてもかわいらしかったぞ!雪」
「!!!!!!!!!」
顔がどんどん赤くなっていき湯気が出てきそうになるとすぐ其処にあったシーツをおもむろに掴むと体全体を隠すように被ってしまった雪はシーツの中で再び後悔するのだった。
「面白そう!」
「続きが気になるかもしれない」
「期待できそう!」
なんて思った方が居たらぜひとも下の星を1以上お願いします!
ついでにブックマークもしてくれると執筆の励みになります!
感想も受け付けているので辛口でもいいです!ぜひお願いします!