珍入者
長めです!誤字修正しました
パチパチパチパチ
緊迫した雰囲気をぶち壊すす陽気な拍手が茂みの中から発せられこの場にいる全員が音の発信源に視線を動かすとそこには誰もいなかった。
シラギ達には何も見えないがメルとバードにははっきり見えていた。体が透明になっておりだたの肉眼だけで見ようとしてもその目には何も映らない、目に魔力を流す事で初めて視認出来るようになるが目の前の透明化は生半可な技ではなくシラギ達程度ではどうあがいても視認することはできない。
これはただ単に目に魔力を流せば見れるものではなく相当魔力の練りに慣れているか潜在的なものに頼るしかない、透明化の看破に必要な条件は術者の力量を超えてなければならず格下であれば存在自体を気付くことすら出来ないのだ。
「・・・・・何故あなた様がここに?」
バードにも予想外だったのか目を丸くしながら自身に突き付けられた武器の存在すら忘れたように拍手の発信源に向かって疑問の言葉を投げかけると突然何も無かった場所に二人の男がその姿を現した。
一人は簡素だがとてもたかそうな身なりをしたイケメン、もう一人もまたイケメンだがその腰には剣がぶら下がっていた、恐らくこのイケメンの護衛なのだろ。その証拠にメルはイケメンのことを視認すると案の定只者ではない実力者だと判断するに足る実力を持っていた。
「バード、何をやっているあなたともあろうものが、そんな醜態を晒すとは」
「チッ!」
後ろに控えていた護衛のイケメンはバードを見るないり落胆の台詞を吐き本人のバードは舌打ちをしていた。
「そこの騎士くん?で良いのかな?何があったかは知らないが今はその剣を降ろしてくれないかな?なに、下げた瞬間襲うような事はしないさ」
「良いのですか?このような怪しい奴と会話など危険では?」
「今危険なのは僕たちだよ、僕の間ではそこの騎士くんは僕たちの正体についてある程度の予想が付いている。そして告白すがその予想は間違っていない」
「ちょっ!何白状してるんですか!」
「これは誠意だと思ってほしい、あなたと対話をしたいとう私なりの誠意だと」
護衛は慌てたようにイケメンに食い下がるが等の本人はそれを意に介さずに視線をこちらに向け対話を望む姿勢を見せていた。その目は嘘を言っているようには見えず本当のことであると断定はできないがこの場は相手の話を聞く事にしたほうがいいと判断したメルはバードに突き付けていた武器を降ろし召喚を解いた。
「良かった。ではあちらで話を聞くとしよう」
そういって指が刺された方角に視線を向けると少し行った地点に天幕があり恐らくはそこがこいつらの攻略隊の本陣なのだろう。
***
少し遠い天幕に向かって移動を開始した一行に付いていくメル特に話をする気は無かった為道中無言になっていると突然頭の中に声が発せられた。
(ねぇメル姉?この人たち誰なの?)
ガシャんっ!
突然の声にびっくりしたメルの体が反応し身につけていた魔装が決して大きくはないが音を立てた。
「何かあったか騎士くん?」
ハッと気を取り直したメルはウビを横に振り何もないと意思表示をし自身の魔装の中に嵌められた指輪に視線を落としそのに向けて心の中で話してみた。
(雪なの?今喋ったのは?)
(ごめんなさい驚かせちゃって)
(いや、気にしなくても良いけど、どうしたの急に?と言うか話せたの?)
(うん!そうみたい、一人で寂しくてメル姉と話せないかな?と考えていたら出来た!)
(それでこの人たちは誰なの?)
(あぁ、彼らは帝国の人間だ)
”先ほどの男は私の予測は正しいと言っていた、つまり私が予想した事帝国がこの国で秘密裏にダンジョンを攻略している”
(いい雪?決して指輪の中から出てきてはダメだよ?)
(うん!分かった!)
こうして白雪と話している間に目的地に到着し天幕の中に案内されると、そこにはイスとテーブルがありそこに座るように促された。
メルは素直に従い近くにいた騎士がイスを引きテーブルとの間に体を入れ座る動作をするとそれを察した騎士が次はイスを押しエスコートを完了させた。
「貴様!殿下の前にいるのに兜を被っているとは一体どう言うつもりだ!無礼だぞ!」
メルは話を聞くために席に着くと近くにいた位の高い騎士がいまだに兜を取らないメルに激昂した。それを聞いたメルはかなりイラっときたが特に気にしたそぶりを見せる事なく無視を貫いた。するとそれがかなり癇に障ったらしく「貴様!」と今にも血管が破れそうな勢いで剣の柄に手をかけた騎士、だがその騎士が剣を抜くよりも早くメルは騎士に向かって殺気を飛ばした。
すると殺気に当てられた騎士は無意識に大量の汗を額に浮かべながら手が震えてうまく剣を抜けないことに気がついた。
「なっ?なんだ?どうして手が勝手に」
頭では理解できなくても彼の体は完全に怯えきってしまっていた、メルの殺気に当てられ頭よりも先に体が根を上げてしまったのだった。
「ゴームル控えなさい、誰も貴方に発言を許していませんよ?」
王子の護衛役の男がゴームルを諌めるとゴームルは嫌々引き下がった。
「あぁ失礼まだ名前を言っていなかったね、私はこの方の護衛役の「ナノ」と申します。以後お見知り置きを」
優雅に一礼する仕草は紳士のそれだりパーティーの中に居たのなら他の女性は決してほっとかない程の優雅さを持っていた。
「部下の失言許して欲しい、だが確かにそのまま会話などはできないと私は思う。できればその兜だけでも取ってくれないかな?」
王子は謝罪しながらもメルの素顔を確認したのかそんな申し出をしてきた、しかしこれを断れば対話の意思なしと判断されまた戦いに逆戻りになってしまう可能性はゼロではない。であれば
メルは兜に手をかけると何も言わずにその兜を取り去ると、兜を持ち上げた隙間から彼女の長くキレイな桃色の髪が下され彼女の素顔がこの場にいる全員を魅了するにはあまり時間はかからなかった。それほどに彼女の魅力は大きかった。
「まじかよ・・・・女に負けたのかよ・・・・俺は」
若干一人メルの素顔を確認するとしょげているものがいたがほとんどが彼女の美貌に目を奪われていた。それもそのはず彼女は兜を外した直後にその他に魔装部分を解除し、今の彼女の姿は戦闘を想定された簡易的なシャツとズボンであったがその服装のせいでメルの体のラインは見えてしまいその特に胸部に皆目を奪われていたものは多かったがその中で一人だけ別の感情を抱いているものがいた。
「その顔・・僕は君を知っている。確か「クライメール・リーデンブルク」だったはず。だが私の知っている彼女にはバードを倒すだけの力などなかったはずだが?一体何が?」
「えぇ、たしかに私の名前はクライメール・リーデンブルクですが申し訳ないのですがそのことをあなたに話す気は私にはありませんのでご想像におまかせします。」
メルは雪に関する情報の開示を一切認めず帝国の皇子に向かって強気な発言をした。それほどに彼女は雪に関する情報は話したくないのだ、なぜなら雪の存在を知ればこの者たちも雪を欲しがる可能性があるのだから。
「そうか。では改めて僕は帝国の第一王子の「ネロ・オーシャン・ガルダント」だ。先ほども言いったがこの国のダンジョンを無断で攻略したのは間違いなく私の国のものだ」
他国の領土にあるダンジョンを勝手に攻略している大きな問題を涼しそうな顔で告白した王子、これには流石のメルも面を食らったようで兜の中で驚いた顔をしていたが兜に守られている為その顔を誰かに見られる事はなかった。
メルは目の前の王子が何かしらの理由でも何か言うのかと思っていたがこの王子はそう言った事はせずに真剣な表情のまま告げた。
「理由を教える事はできないができれば黙っていて欲しい。我が国も最悪この国との友好を切る覚悟はできているが出来るなら友好を切りたくはない。だからこそ秘密裏にやっていたが残念ながらあなたに見つかってしまった」
「そこでです、あなたにはこのことを黙っていてほしいんですが彼が負けたところを見ると残念ながら今の我々の戦力ではあなたを排除することはできなさそうです。だからあなたに提案します」
ネロはメルを排除できないと明確に発言した。それは安易にできるならこの場でメルを排除したかったと告げている、その発言にメルの警戒心が高まり自然にメルの視線が彼の近くにいたまだ実力が未知数の「ナノ」に向けられていた、その視線に気がついたナノは困った表情をしていた。
「残念ながら私でもあなたに敵う可能性は低いんですよ、なので私に戦意はないですよ?」
実際戦ってはいないが彼に戦闘をする意思は無いようで冗談交じりに両手を上げ笑顔でそう告げた。
「疑うのは無理ないがこちらにあなたを害そうという意思はもうない。だから提案の話に戻そう、私が君に提案するのは地位だ。クライメール・リーデンブルク君を我が帝国の皇帝直属特殊部隊ラウンズに迎え入れたい。どうだろう?」
”ラウンズだと?たしかにこの条件はいいものだがだからといって二つ返事で了承してはいけないかな?”
「でも確かラウンズになるには専門の機関に入り厳しい審査と訓練が必要と聞きましたが、そんな急に入っても大丈夫なんですか?」
「なるほど、あなたは随分と博識のようだ。確かにラウンズになるにはそういった機関に入り審査を受けなければならないがそれは正規の入り方をした者たちに必要なもので我々皇族が推薦すれば審査のみで入ることがでるようになる」
内容はまさに内部推薦のようなものでその審査も簡単なものであり推薦者は高確率でラウンズになることができるという話であった。
今のメルの中ではこれからのことについてのプランが大幅に変更しようとしていた、本来はこの国でひっそり生きていこうとしていたがその場合生活面での心配が大きかったがこの申し出を受けえればこれからの生活の心配は解決される、そうなれば家に帰ってなんの不安もなく勘当することができるが問題もあったがそれはこれからの交渉次第である為、メルは再度ネロに視線を向けた。
「2つ条件があります」
「条件?一応聞いておこう」
「まず、私が所持しているものに関する審査には一部拒否権を認めてもらうことと皇帝の命令にも一部拒否権を認めてもらいたのです」
メルが求めたのは帝国に行った後にメルの持っている雪を審査のために回収されそのまま押収されてしまう危険性を回避したかったのと皇帝の命令で雪を没収されるのを回避するための条件である。メルの中でこれだけはなんとしても付け加えたい条件であった。
「なるほどだがこの審査の目的は君の危険性を判断するためのものでありそれを拒否されてはこちらとしても君を信用できなくなってしまう為その一部というのはどの部分なのか知りたいね」
ネロの言い分も最もである推薦者の審査というのは基本的に身辺調査になるそのためその審査に関する項目の一部を拒否されたのならばそのものが別の組織のものとつながっていた場合帝国危険を抱え込むことになる為その一部が項目に当てはまっていないのならばその条件を飲むことができるのである。
「一部と言うのは私の神機についての審査についてです。審査の項目に神機の審査があった場合私はこれを拒否します」
断固とした意思でメルはこれを拒否すると話すとネロは目に見えて困った表情になった。
”神機は審査の項目になっているそれもかなり重要な項目である、なんせ国のちからのものさしは神機の所有数なのだから自国にどんな能力を持った神機があるのか知る必要性は高いからな、それを拒否とは一体どんな神機なのだ?彼女の神機とは?”
「公開するようなことはしないがそれでも拒否するのか?」
「はい。拒否します」
一切の迷いなく答えるメル。
”だが彼女の力をみすみすこの国に明け渡すことはしたくない、だからといって彼女をここで排除できるのかと言われればバードが負けた時点でそれも不可能。ならばここはお互いの妥協点を見つけるしか無い、彼女にとって帝国に来ることは魅力になっているはずだならばある程度の妥協はしてくれる可能性は高い”
「ではこうしてはどうだろう?その神機の能力についてある程度教えてくれないか?それを審査として国に報告させる。これでどうだろう?」
”無いもわからなければ彼女の活用の仕方すらわからない、少しでも物差しがほしいがどうだ?”
「分かりました、一部でいいのであれば私の神機の能力を開示します、それと皇帝に関する拒否権も同じものです。皇帝の命令で神機を渡せとかそういったことに関しては拒否します」
そしてメルはこの場にいる全員に雪の力の一部である武装召喚について説明を始めた。
その話を聞こ終わった後は大した能力ではないと感じたものが半数これ以上になにかの能力があるのか!と驚いたものが半数。ネロは後者である。
「複数の神機を召喚する神機かすごいな、しかもその他にも力があるのか」
「えぇ、これはなんとしても我が国に連れていきたい神機ですね」
ネロとナノは耳打ちの会話を初めしばらくすると答えが出たようで姿勢を戻しメルを凝視すると出た答えを話し始めた。
「メルさんあなたが提示した条件を呑みましょう。今開示した神機に関する情報は国に報告します。それでは貴方を我が帝国に招待しますと言いたいのですが今の私はこの国の学校に通っている身ならば後少しで卒業ですので、その後に貴方を迎えに行きますのでその間身支度をお願いします」
「分かりました、ではそのように」
話は週力と判断したメルはその言葉を最後に席を立ち天幕を出ていった。
「はぁ~どうだったバード彼女の強さは?」
「分かりませんが神機があったから負けた感じはしませんでしたアレは完全に彼女の力ですよ。あの若さであそこまでの力量化け物ですよかなりの」
「そうか・・・ならば国にとってプラスになるな」
「えぇ、そうですねアクシデントはありましたが無事目的のものは手に入りましたしね」
本来は神機のみを回収するはずだったのに結果を見ていれば神機は先を越され友好国の人間に攻略がバレそのものを取り込むしか無くなった。かなりの計画のズレであったが最終的な目的は遂行できたと諦めるしかなかった。
「そうだな、だが考えていたと通りには行かないものだな」
「そおいうものですよ人生なんて」
少し諦めた感じにネロを慰めるナノであった。
「面白そう!」
「続きが気になるかもしれない」
「期待できそう!」
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