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無能?勝手に言ってろ!  作者: カシム
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戦闘と正体

今メルは迷っていた完璧な待ち伏せが出来ると思っていたが蓋を開けてみれば、潜んでいる自分にすぐさま気が付き奇襲のプランは完璧に防がれてしまった。

 こうなればこちらから出向き何かしらの行動に出なければあちらはダンジョン内部に向けて何かしらの爆破魔法でも打ち込まれたら面倒なことになりかねない。ならばとメルは自身の正体を隠すために魔装を全身に展開し彼女の体は漆黒の鎧に包まれ、それを確認するとメルは覚悟を決め潜んでいた場所から姿を表しダンジョンからその姿を晒すのだった。


外に出ると、どうやら敵はそこまで多くないようで多く見積もっても10人以下と判断するが問題はその集団の一番前に立っている大柄の男をメルはかなり警戒していた、背には身の丈以上の戦斧を背負っておりその武器を振るう事のできるほどの体を持っていた。


そんな人物がメルから一切目を離すことなくメルの好きを伺っていた、そんなことをされればメルとて警戒しなければならない。そして警戒して気がつくことはこの男はかなりの実力者であることである、メルも彼のスキを伺ってみたがまったくなかった為メルの警戒心はさらに上昇した。


そんな睨み合いが少し続くと唐突に男から問いかけが来たがメルはこれを完全に無視し相手の様子をうかがった、無視する事で相手が苛立ちを顕にしてくれればこの男の情報が得られるが残念ながら男に変化はなく先程と同じように、目は真剣で顔は笑っているのだった。


「へぇ〜なかなか厳つい格好で出て来たな?俺も嫌いじゃねぇぜそんな格好」


「・・・・・・」


「無視か、まぁいいか。あんたには恨みはないが俺らの存在は誰にも見られるわけにはいかねぇんだわ、だから悪いんだけどよぉ〜死んでくれ!!!」


それを最後に身体強化をすでに済ませたバードが地面を蹴るとその場にはクレーターができ黒い騎士との距離を一瞬でゼロにしたのだった。


バードは全力ではないが力を入れた踏み込みで突進を繰り出しその勢いを殺さないように完璧なタイミングでメルに向かって上段からその自慢の戦斧を振り下ろした。が流石に分かりやすかったのかそれを素早く察知したメルは瞬時にその場から離れバードの背後を取っていたが反撃はしなかった。


否、出来なかったのだ。


「へぇ〜これに引っかからないのかよ、ていうかお前は武器持たないのか?流石に丸腰の敵だとつまらねぇぞ?」


バードは挑発したように上体を起こし再度メルに向き直った、そして武器を持っていたのと反対の手には短剣が握られていた。

 もし仮に最初の一撃に対し反撃を加えようと接近すれば手に隠し持っていた短剣で反撃の反撃を食らっていた可能性は高かった。


「・・・・・」


以前と反応を見せないメルだが内心ではかなり焦っていた、これだけの人員を用意できるということはこの敵は何処かの国か組織の可能性が高く、このまま戦闘が長引けばいづれ応援を呼ばれメルがどんどん不利になっていくのは目に見えていた。

 しかし敵は予想よりも強く今すぐに排除できる者でもなかった。


”早めに終わらせないとこちらが不利になるならばこちらから行くしかないか”


このまま様子の探り合いに徹していてはて敵の思う壺だと判断したメルはこちらから仕掛けるために武装召喚により手の中に夜桜を召喚しその柄を握った。


「へぇ〜それがテメェの獲物かよ?そんな細い武器で俺の斧の一撃を受け止められるのか?」


確かに一般的な刀ではバードの持つような大きな武器の一撃には耐えられない、もし仮に受けよう者なら刀身は簡単に曲がり攻撃の勢いを殺すことなくその一撃は使用者ごと真っ二つにしてしまうだろう。

 

バードのディスりに若干の苛立ちを覚えたメル、この武器は雪の能力によって成り立っている者であり言うなればバードは雪をデェスった事になるのだ。(メルの中では)怒りを表には出さずにメルは体に力を入れ先ほどのバードの突進よりも数倍早い脚力でバードに接近した。


「おもしれぇ!こいや!」


すぐに反応したバードは戦斧を両手持ちに変え腰を落としいつでも反応できるように神経を集中させた。


一瞬でバードに接近したメルはバードの懐に入るとバードの急所部分に狙いを定めると柄を握る手の力を込め、こちらも精神の集中に勤めていた。


「見えてんだよ!バカが!」


一瞬、そんな速度のメルをバードはハッキリと視認していた。確かに早かっただがその程度ではバードを倒す事はできない、今までバードが戦って来た中には当然スピードに長けている敵の大勢存在したそんな敵に対してバードがとっは対策は「カウンター」である。

 

 自身に足りないスピードを瞬時に悟ったバードは自分以上のスピードを持つ敵に対してカウンターで返す事で対応することを考える。しかし問題はそんなに簡単ではなくカウンターを当てるためには敵を見失わない動体視力と反応速度が必要不可欠になった。敵に勝つためには何としてもそれが必要になったバードはそれらを習得するために厳しい鍛錬の日々を送りやっとの事それを身につけることができるまでに己の体を鍛え抜いたのだった。


その結果メルの神速の移動を前にしてもバードはメルを見失うことなく完璧にメルの動きを捉えておりメルに向かって正確に斧を振り下ろした。

 

”取った!”


一瞬の攻防、外野であるシラギ達には全く対応できないほどの戦闘。それを終わらせるバードの振り下ろした斧による轟音、周りには煙がまい視界はかなり悪くなっていたがシラギ達はバードの勝利を確信していた。だがこの煙の中ではそのなシラギの思いとは全く逆の結果が存在していた。


”嘘だろ?”


今のバードは動けなかった、もし動いたのなら首に突きつけられた武器によって一瞬で首を切断されあの世に行ってしまうだろう。それを理解してしまっているからこそバードは動けなかったが今のバードの中にあるのはなぜこの状況になっているのかという疑問である。


彼は確信を持って自身の武器を振り下ろした、そのすぐ後に手応えがない事に気がつき周囲の索敵に入ろうと身を起こした瞬間に首にいつの間にか武器が突きつけられていた。


”タイミングは完璧だったはずだ!なのになんだこの結果は!こいつ何しやがった!”


苛立ちを露わにしながらバードは自分の命を握っている黒騎士に視線を向けるが兜が邪魔で表情の一切を確認する事はできなかった。


 メルがバードに行った事は簡単に言えば攻撃を()()()のだ。バードの振り下ろす攻撃は完璧なタイミングでメルの振るわれた、その攻撃に対してメルは自身の刀を掠らせる事で軌道をズラしガラ空きになったバードの懐に潜り込み首に刀身を突きつけた。


言ってしまえば簡単に聞こえてしまうが、もし仮にメルの刀に加える力が多過ぎれば流す事は不可能になるしタイミングがズレてしまえばメルが真っ二つになってしまう。これを成功させるには完璧なタイミングと敵の攻撃の完璧な把握が必要になる。


それを戦闘中のわずかな時間の中で把握するのはまさに至難の技であるが、この技はメルにとって当たり前に技術になっている。魔力が使えなかった彼女は筋力・俊敏・視界、どれも誰にも敵うことは無かった。そんな中どうやれば敵に勝てるのかそれのみを考えた彼女はの至った結果は、敵の攻撃を把握し流すことで敵の隙を作りその隙をつき敵を倒すといった戦法である。


他にもいくつかの戦法を編み出しているがそれはまた別の機会に。


兎にも角にもメルは流しを使うことでいとも容易くバードに勝つことができたのだった。しかしメルはすぐさまバードを殺さなかった、彼女は迷っていた何故なら先ほどから遠くの方からこちらを覗いている何者かが存在しているからである。


可能性として上がるのは、この敵の仲間か自国の何者かが偶然にも通りかかり成り行きを見ているのか。どっちでもいいが気配を消すことすらしない点は不可解であった。

 メルの中では前者が濃厚であった。そうなればこの敵を使って交渉を持ちかけようとメルは考えていた。


何故メルが交渉しようと考えたのかそれは敵の正体がある程度絞れたからである。そしてその考えは高確率であっているとメルの中で答えが出ている。だからこそ敵は交渉に乗らざるおえないと予想するメル。


「!!!!!」


ゆっくりと煙が晴れていくとシラギ達にも結果が視認できるようになり目に見えてシラギは絶望の表情になっていた。


”そんな!どうしてバード様が!どっどうすればいい!ここは私たちも加勢するか?だがバード様を下すほどの敵に我々が行って何ができるというのだ!”


シラギがこの後どうすれば正解なのかを焦りながらも解決策を模索していると突然この緊迫した空気の中に雑音が響いたのだった。


パチパチパチパチ!!


「素晴らしい!あの一瞬であのバードに王手をかけるなんて!」


パチパチパチパチ!!





「面白そう!」


「続きが気になるかもしれない」


「期待できそう!」


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