エンカウント
ダンジョンの外では何やら不穏な動きがある中ダンジョンを脱出する為にメルは順調にダンジョンを逆攻略していた。
ブォーーー!!!
ドンっ!
突然出てきたミノタウロスと識別されている魔物は脇道から出現するとメル達を視認し威嚇をしながら走ろうと足に力を入れ走り出したがミノタウロスがメルとの距離を縮めることはできなかった。
そのモンスターは急所である頭部の眉間を瞬時に撃ち抜かれると走りいだした勢いのまま倒れこみ壁に向かって転がって来たのだった、ミノタウロスは壁に激突すると壁に大穴を開け死体になった。
メルと雪は現在かなり上の階層に到達したが以前と出てくる魔物はかなりの強さであった、しかしメルはそんな魔物に苦戦などする事なく順調であった、今は刀以外の武器の性能や使い方などの実験をしながら攻略を進めていた。
今メルが使っているのは二丁拳銃となっている武器の名前を『ヴォルン・ヴェルン』となっている。見た目は銀と黒のハンドガンタイプの銃となっている、魔力を流せば流した属性の魔弾を放つことができその威力は魔力の練りに依存しているようだった。
魔弾の形態も使用者の意思によって形を変えることが出来るようだった。
実験をしているうちにこの武器にもある程度慣れることが出来たのかメルはこの武器をかなり使いこなすまでになっていた。
”成る程、この武器は中々使い勝手がいいかもしれない、刀は一対一の場合は使えるが殲滅戦になればあまり使い勝手がよく無くなってしまうがこの武器は殲滅戦にかなり適しているな”
刀ではどうしても一体づつ斬らなければならないが二丁拳銃の武器ならば神力さえ込めれば練りの具合によっては大きな威力の魔弾を放つことが出来るのだかから。
ダンジョンの最中メルに向かってきた魔物は貫通力を高めた魔弾により次々骸となっていきもはやこのダンジョン内にメルを足止めできる存在はいなくなってしまっていた。それを証明するかのように彼女は上を目指してからほとんどノンストップで移動をしていた。
”後いくつか雪の能力を確認したいが後少しでこのダンジョンの入り口が見えてくるだろう、実験はここまでだな”
メルはが言うように彼女達はこのダンジョンの出口付近まで来ていた、メルが気が付いたのはいつの間にか到着していた最上階層に登った時からだった、着いた途端に外の懐かしい風の匂いがメルの鼻につき彼女は瞬時にここがこのダンジョンの最上階だと推測したのだった。
この階層でもやはり魔物は出てくるが視界に入った瞬間にメルの持っている銃によって瞬時に死体に変えられていく魔物達はここまで来れば一層の事哀れに感じて来てもおかしくわないがメルに至っては一切の情も掛ける事なく殺していった。
そんな殺戮をしばらくの間繰り返しているとメルの視界の先にはいつぶりかの太陽の光なのかは判別できないが出口らしき場所から光が差し込んでいる場所を発見したのだった。
”やっと戻ってくれたな!早く家に帰って勘当されなければな!”
今後の雪との生活をある程度考えたメルは最初の目標である勘当を目標を胸にその出口に向かって足を進めるが出口との距離が数百メートルになった地点でメルの足は止まりメルの目は先ほどの魔物との戦闘ではしなかった真剣な目つきに変わった。
”この先に複数人の気配?もしかすると鎧の騎士に殺された仲間がまたこのダンジョンを攻略しに来たのかもしれないな”
出口の先に複数人の気配を瞬時に悟ったメルはすぐさま臨戦態勢を取り複数の気配がダンジョン内に入ってくるのをまった、そして入って来たところをヴォルンとヴェルンで不意打ちで殺す段取りをすぐさま構築し気配を隠しながらダンジョン内に潜んだ。
姿を隠しダンジョン内に入って来るのを待っていると突然近ずいて来た気配が止まり動かなくなった、その瞬間メルの背中に嫌な汗が一滴流れるのだった。
「おーーーーい!そこの中に潜んでるやつ!隠れてねぇで出てこい!」
メルの予想は的中、何故かメルの存在は侵入者にバレており奇襲のアドバンテージは完全に失われたのだった。
***
言いたいことを言ったバードは最小の人数だけを集めダンジョン攻略を始めようとしていた。しかし元々少なかった人員がさらに少なくなっているの為ついて来たのはたったの10人にも満たなかった現状、それでもバードは問題ないと判断し彼らを連れて攻略に向かった。
しかし
「待て!」
人数を集めいざ出発したがダンジョンの入り口に近づき後数百メートルと言ったところでバードからの待ったがかかったのだった。
「どうしたんですか?バード様?」
魔剣士の一人がバードに疑問をぶつけるが真剣な剣幕になったバードはその問いに答えることはなくジッと先にあるダンジョンを凝視している、数十秒が何倍にも感じるほどの緊張感が場を支配し魔剣士達もその気配を察知し何も言えなくなり事の進展を見守っていた。
そしてとうとう進展が起きた。
「おーーーーい!そこの中に潜んでるやつ!隠れてねぇで出てこい!」
真剣な表情だったバードが突然ダンジョンの入り口に向かって叫ぶとその理由を瞬時に察したシラギは連れて来た魔剣士に抜剣を指示し戦闘態勢をとらせるとバードの行動にいつでも合わせることが出来るように集中をしていた。
バードが放った言葉に反応したのかシラギ達にも分かる程の気配が急に存在を主張し始めた、恐らく今までは気配を殺していたのであろうシラギや連れて来た魔剣士ではその存在を感知できなかった、つまり相手はそれほどの手練れなのだ。シラギ達に更なる緊張が襲った。
暫くすると中から人型の何かがゆっくりと歩いて来た、なにせ距離がある為ハッキリとは見えないが恐らくは人であると判断したシラギは状況の不味さに一瞬クラっと来てしまった。
本来この作戦は知られてはいけないものであり知られた場合かなり面倒な事になりかねない程の事なのだ、もしこれがこの国の者だとしたら連絡をすでに取られた可能性も考慮しなくてはならない。仮にこの国にバレたら恐らくシラギ達の国はシラを切るためにこの騎士団ごと処分を検討するだろう。
つまり今は頼もしい味方であるバードが一瞬に捨て敵になってしまう可能性もある。
いろんなことを考えているうちに人型の何かはハッキリ見えるまでに近ずいて来ていた。
先程は距離があった為ハッキリとは言えなかったがここまででの距離になれば誰でも判断できるあれは人だ、人型の魔物ではなく完全に人である。しかし顔は誰にも見えなかった何故ならダンジョンから出て来たそいつは全身に黒い鎧を身に付けておりぱっと見は完全に禍々しく危険な騎士にしか見えなかった。
その見た目に気圧されシラギ達は敵を目の前に動けなかったがそんな中バドだけは笑っていた。
「へぇ〜なかなか厳つい格好で出て来たな?俺も嫌いじゃねぇぜそんな格好」
「・・・・・・」
話しかけ相手の情報を少しでも得ようと判断したがバードの問いかけに何も反応がなかった、そんな対応に苛立ちを感じるのかと思ったシラギだったがバードの目は至って真剣だが顔は笑っていた。
「無視か、まぁいいか。あんたには恨みはないが俺らの存在は誰にも見られるわけにはいかねぇんだわ、だから悪いんだけどよぉ〜死んでくれ!!!」
それを最後に身体強化をすでに済ませたバードが地面を蹴るとその場にはクレーターができ黒い騎士との距離を一瞬でゼロにしたのだった。
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