無能な少女
こんにちはそして今晩わ!今まで書いてきたものはいったん消してまた新しく始めました!良かったらまた読んでください!
私には才能がなかった、いや。才能はあるにはあるがこの世界で生きていくには必要不可欠なものがなかった。
それがないせいで私は夢を見ることすらできない。私が持つことができなかったものそれ”魔力”である、この世界ではその力は絶対に必要な力でありそれなしでは戦うことすらままならないことになるだろう。
この世界には私のような人間種の他に獣人、魔族、妖魔族、が存在する。それぞれの種族には特性があり「人間」であれば繁殖力が高く魔力の適性もある程度ある汎用型である、「獣人」は繁殖力は人間には劣るもののそこまで低くはないが魔力の適性はほぼない、その代わりに身体能力がずば抜けて高く覚醒という特殊能力を有しているため魔力がなくても魔法に対抗できる。「魔族」であれば繁殖力は低いが魔力適性がずば抜けて高い、妖魔族は繁殖の力が高く一部魔力に適正が高いものが存在するが殆どの個体が低知能である。
この世界の種族間の間には大きな溝が存在する度々どこかしらの国がどこかしらの国と戦争や
いざこざを起こしている。仮に人間と獣人が戦闘をすれば肉体能力で人間の負けは必至である、だからこそ人間はその差を埋めるために魔力により自身の肉体を強化する事で対等に戦うことができるようになる。もし魔力が無いものが戦えばそれは戦闘になる前に決着してしまうだろう。それほどに人間にとって魔力というものは必要不可欠なのだ。
話を戻すが私クライメール・リーデンブルクにはその重要な魔力が存在しない、この魔力の覚醒には個人差が存在しいつ覚醒するのかは本人しかわからない、殆どのものは15歳までには覚醒をし訓練などを積み始める、がしかし私は18歳になっても覚醒が起こらずに未だ魔力を扱うことができない。
そのため私の家リーデンブルグ公爵家内での私の立ち位置はかなり酷かったりする。なんせ使用人ですら簡単にできることが私には出来ないのだから、しかも私の家は代々優秀な魔剣士を多く世に出してきたいわゆる名門貴族である公爵家のものはもちろんの事その使用人に至るまで魔剣士としてのレベルはかなりのものである故に魔力すら操れない私は使用人にすら下に見られている。この家は私にとってまさに地獄だった、そして今日もその地獄に1日が始まろうとしていた。
***
「うぁぁ~~」
私クライメールの朝は家の使用人よりも早い、誰よりも早く起きることが日課である。そんな居早く起きて何をするのかというと、それは勿論稽古である。いつ魔力が覚醒してもいいように毎日剣や戦闘の訓練を欠かさずにやっている、誰よりも早く起きるのは学園があるからである学園が始まるまでに出来るだけ戦闘訓練をする事でいつ覚醒しても他のモノに追いつくことが出来る。それを信じて私は今日も朝早くから戦闘訓練を始めた。
それから数時間が過ぎ朝食の時間になると私の訓練は終了する、だが使用人は誰一人として私を呼びに来なかったこれはいつもの事である基本使用人たちは必要最低限の事しかせずそのほかで私に関わろうとしない、完全に避けられているこれは今に始まったことではないので勝手に部屋に戻り制服に着替えるためにバスルームで汗を落とし体を清め学園の制服に袖を通した。
ふと鏡に映った自身の姿を見て昔死んでしまった母の面影を自身に見出していた、ピンク色の長髪は母の色である母の髪はとても美しかった、その髪を私も受け継いでいるため私の長髪もきれいなピンク色である。大好きだった母と同じ髪を持っていることに喜びを感じながらさっさと身支度を整え食事を開始しているであろう父たちがいる食堂に向かうのだった。
自身の部屋を出て食堂に向かう道中何人もの使用人とすれ違ったがこちらには見向きもせずに通り過ぎていった、本来仕えている家の者が横をすれ違ったらお辞儀なりするのが当たり前ではあるが如何やら私はその対象ではないようだ。ここにいたのが父や兄、弟であれば彼らはお辞儀などをしただろう。こんな扱いに慣れている私はそのいつもの対応に何を思うでもなく流しながら食堂へと向かうのだった。
食堂まではそれほどの距離ではない為モノの数分で自室から食堂に到着した私は気を重くしながら閉ざされているその扉を開け中に入った。
中には既に食事を始めている父と兄弟がおり食事はほぼ終盤であった、如何やら私の事をおいて先にご飯を食べているようだがこれも今に始まったことではない為何か思うことは無く用意されている私の食事であろう机に置いてある父や兄弟とは豪華さがかけ離れている朝食が置いてある席へ着き静かに食事を始めた。因みにだが私が入ってきてから誰も朝の挨拶をしていない、以前私から朝の挨拶をしてみたことがあったが誰も返事をしなかったためいつの間にか自然に挨拶をしなくなっていた。
その為毎回この時間は誰が話すことは無い静かすぎる時間になっている。しかし今日は如何やらそうではなかったらしい。
「父上」
その静寂の壁を壊したのは私の同い年の兄弟でありこの家の時期当主である「レオン・リーデンブルク」彼はこの家の当主に相応しいだけの能力を兼ね備えているいわゆる天才だ。
魔力の扱いに関して恐らく学園に通っている生徒の中では一番であろう、なんせ学園では生徒会長補佐を任されている程の人物である。学園のトップ組織に参加している者が凡人では話にならない為生徒会に参加している者は全員何かしらの特技や実力を有している。
その中で私の兄は魔力操作を得意としている、魔力操作は魔剣士になるには絶対に必要で最も重要な要素である、これ扱いがうまければうまい程扱える魔法の幅も広がり威力も増すのだから、なので必然的に私の兄は多種多様の魔法を学生にしながら行使することが出来る。故に天才であると言われている。
因みに学園には順位が存在し年に数回行われる試合でその順位が決まる、1位の者が生徒会長2の者がその補佐3位が副会長・・・・以下略となっている。
今年に行われた試合の1位はこの国の王子である「エーデル・ヴァン・ウラシール」になっている。兄は試合で王子に負けているため2位になっている。
その試合はかなり白熱し両者ともに一歩も譲らない激戦の果て王子が勝利を収め試合は終了した。この二人は学園が誇る自他ともに誰もが認める会長と補佐であると私も思っている。
しかしこの兄には一点良くない点が存在する、それは無能が大嫌いである事である。
つまり兄は私の事が大嫌いなのである。私の学園での評価は底辺であり「無能」の烙印を押されているため兄が私を嫌うのはむしろ必然であった。この「無能」嫌いは父親譲りであるため勿論だが父も私の事を嫌っている。最後に話した内容など「貴様は本当に私の血を受け継いでいるのか?」である。それ以降は一回も話していない、兄に関して生まれた時から気が合わなかったためほとんど話していない。
「何だ?レオン」
「今日は試合に来られるのですか?」
そう今日は年に数回ある順位を決める試合があるのだ、父である「シュナイド・リーデンブルク」はこの国の有力騎士団の団長を務め軍事面に関して大きな影響力を持っており魔剣士の卵を育成している学園の試合などには度々顔を出している、将来有望な魔剣士を発掘するのも大事な仕事であるからだ。
「あぁ、今日の試合楽しみにしているぞ」
「はい、今回こそ1位を取って見せます!」
「父上!父上!僕の試合も見ていってください!」
レオンの後に話した者は私の弟である「モーリ・リーデンブルク」である。こちらも魔剣士としての資質はずば抜けて高く将来を有望視されている。勿論だが弟も私の事を嫌っている。しかも露骨な嫌がらせもすくなからず行ってくる。
「あぁ、お前の試合も楽しみにしているぞ」
「はい!」
父が自分の試合を見に来ると知るとそれはもう嬉しそうな顔をしながら返事をしたモーリ。
「父上?姉さんの試合はどうするんですか?」
来た、どう返答するか知っている癖にわざと聞いている、モーリはニヤニヤしながら父に聞いた。
「それに関しては何も期待しておらん、くだらない話をするのはよせ」
「すいません父上」
モーリのいつものいじめをスルーし私は黙々と食事をししていた為モノの数分で食べ終わり嫌な空間から逃げるように出ていった。
***
「父上、お願いがあります」
クライメールが食堂を出ていくと突然レオンは父親に懇願をしたその内容は・・・・
「今日の試合で愚妹が初戦敗退したら今度こそ破門をお願いできますか?これ以上この家に無能が存在することが俺には耐えられません」
レオンのこの願いはかなり前から言っていた無能を極端に嫌うレオンはその無能が自身の妹である事にすらかなりの怒りを覚えているのにさらに未だ兄自分が住んでいる家にまでいる事が許せなかった。
だからこそ父親の「シュナイド・リーデンブルク」になんども懇願していた。
「吉報だ、今回の試合の初戦の対戦相手は平民だ。もし負けた場合私はこの家の当主としてあの者を家から追い出すことに決めている。まぁ卒業後にはなるが」
それを聞いたレオンの顔から嬉しそうな雰囲気が漏れ出ていた、それはそうだ今までは何時いなくなるのか分からなかったが、居なくなる時期がはっきりしたのだから。贅沢を言うなら今すぐに消えてもらいたと思うレオンだが無駄を嫌うシュナイドは払った学園の金が無駄になる為卒業までは居させるようだった。
「それは最高の知らせです」
***
食事を済ませた私はいったん部屋に戻りかばんを回収すると玄関まで向かい扉を開け学園に向かうのだった、私が兄弟よりも早く出るのには理由がある。本来であれば馬車で学園にはいくのが普通なのだ、なんせ私の屋敷から学園まではかなり遠いわけではないが近いというわけでもない。徒歩でだと1時間以上かかってしまうため早めに出ないと間に合わないのだ。
だったら馬車を使えばいいのだが残念なことにそれは父によって禁止されている何でも「お前は馬車など使ってないで体を鍛えるために走って学園まで行け!」とのことである。後々知ったことだがこれは弟の仕業であった。私が馬車を使った事でその馬車が返ってくるまで待たなくてはいけないのが嫌な為に父に告げ口したところ兄がそれに便乗し”走った方が鍛錬になるのでは?”といった為あのような理由が生まれ私は馬車を使えなくなった。
そして私はいつものようにこの”いじめ”という名の鍛錬を開始した。
***
この国ウラシール王国が魔剣士を育てるために作った「アスミナール学園」ここには多くの生徒が在籍している貴族から平民までが入学しているためかなりの人数になっている、この国の現国王は平民も能力次第では取り立てる能力主義な為この国での平民はこぞって魔剣士になろうとする。もし能力を開花させ最高の働きをすれば貴族になれるかもしれないという淡い期待を胸に平民たちはこの学園の門を叩いていた、貴族の場合はこの学園を卒業するのが当たり前になっているため強制的にこの学園に入ってくる。
1時間とすこしで私は学園に着くことが出来そのまま自分のクラスである最高学年の4年Fのクラスに移動し席に着きながら講師が来るのを静かに待っていた。今日のこのクラスはかなり静かだその理由は勿論今日行われる試合である。このFクラスは最底辺の成績の者が集められている、本来は卒業が難しいとされているがこのクラスは厄介払いという意味で強制的に卒業させられる。つまるところこの学園には留年というものは存在しないのだ。
上のクラスの者は卒業に必要な項目など簡単にクリアしてしまうため簡単に卒業できる。
この学園はあくまで踏み台であり彼らが目指しているのは魔剣士として優良な騎士団に入り武勲を得る事である。その為私と同じ学年の者たちは卒業が近いためかなりピリピリしている。今日のこの試合でお眼鏡にかなえば気引き抜きが来るかもしれないのだから。因みにだが高クラスの人たちが目指す騎士団は私の父が団長を務めている「ハールバルク」であったりする。
「おはようございます」
そんなこんなでこのクラスの講師が教室に到着した。
「はい、今日は皆さんご存じだと思いますが学年順位を決める武闘大会がある日です。日頃の鍛錬の力を存分に発揮して是非ともこのクラスから脱却それください。それではいつも通り対戦カードが発表されたら確認して試合が近くなったら控室に移動して準備してください。それでは」
必要なことを話し終えるとさっさと教室から出て行ってしまった、これはいつもの事である。
そして待つこと数十分今日の対戦カードが発表された。如何やら私はかなり早く直ぐに控室に向かうのだった。
4年Cクラス「マルーク」それが私の一回戦の対戦相手になる、今回の試合何としても勝たなければならない、この学園に来てからの私の戦績は0勝全敗家の名に泥を塗っている状態である、なので学園に在籍している間に何としても一回は勝たなくてはいけなかった。
そんなプレッシャーに苛まれながら歩く足取りはかなり重く教室から控室に向かうまでの時間は通常時に行く時よりも何倍もの時間が掛ったと錯覚してしまう程長く感じた。控室に近づくたびに背中に嫌な汗がでて呼吸も荒くなる、しかし今日この日のためにキツイ鍛錬にも耐え体を鍛えてきたが勝算は皆無だとうすうす感じているが自身の努力が無意味だと考えたくなくその思考を知らんぷりした。
控室に着き専用のバトルスーツに着替えるとちょうど私の番になったらしくアナウンスに呼ばれた。
「ふぅぅぅぅーーーー」
緊張する体を落ち着かせるために深く深呼吸をするが残念ながらこの体はそんなものでは緊張から解放されないらしい、まったく緊張が解けない。
結局そのまま多くの観戦者がいるであろう試合会場へと向かうのであった。
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