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ユニークな作文シリーズ その5 就職試験・受験報告

作者: マボロショ

1989年秋、北九州の町はずれに住む女子高校生が、バスガイドになりたくて、就職試験を受けた体験をまとめたものです。

受験報告は、たくさん読みましたが、一番印象の強かったものが、これです。


前の晩は、目がさえて、なかなか寝つけなかった、

朝5時におこされて、したくをしたが、ご飯は、なんか、食べられなかった。

雨が、かなり降っていた。父の車で、高速道路を、福岡まで行った。

1時間くらい早目に着いて、本社にいつろたら、まだ、だれも来ていなかった。私が一番だった。

やがて、会社の人が来て、「おはようございます」と声をかけてくれたので、少しリラックスできた。


受験生がぼちぼち来だした。同じ学校から、何人か受けに来ている者が多く、心細かった。でも、となりにすわった子と、少しは話をした。

定刻になり、会社の人が、今日の予定などを話し始めた。全体がA班とB班にわかれて、私は、A班の1番だった。最初は、バスガイドの服の採寸だった。服を着たり、帽子をかぶったり、靴をはいたりしているうちに、ほんとうに、すごくガイドになりたくなった。


次は面接だった。もう、待っている間から、心臓が破裂しそうだった。学校で練習した時のように、がんばろうと考えながら、面接室のドアをノックとした。

部屋に入り、一礼してから面接委員の前まで進み、もう一度、きちんと礼をした。

「受験番号33番、◯◯高等学校、◯◯科3年、◯◯◯◯です。よろしくお願いします」と言って、3人並んでいる面接委員の方を見た。「すわりなさい」と言われたので、「失礼します」と言って、イスにすわった。

「だいぶん、緊張していますね」と言われたから、「はい」と答えたら、「深呼吸をして下さい」と言われた。ほんとうに深呼吸をしたら、少しおちついた。

「どうして、この会社を選んだのかね」と聞かれたから、「人の世話をしたり、人と話をしたり、人の笑顔を見たりするのが好きだから、この性格を生かすには、バスガイドの仕事が合っていると思って、この会社を希望しました」と答えた。

「どうして、こんなに欠席が多いのかね」と聞かれたから、「母の病気の時、病院につきそいに行ったりしたからです」と答えた。「じやあ、家の手伝いなんかも、よくするんですね。たとえば、料理なんかも得意ですか」と聞かれた。せいいっぱいの笑顔で、「はい、煮魚、野菜いためなどが得意です」と答えた。

「それじやあ、魚を三枚にできますか」ときかれた。私は質問の意味がわからなかった。でも、練習の時、先生たちが、だまりこんだらダメだと言っていたので、あせりぎみに、「魚の頭は切れます」と、ハッキリ言った。そしたら、3人の面接委員が、みな笑いだした。絶対に笑いそうにない人まで、腹をかかえて笑っていた。私は、多分、バカだと思われているんだなあと思ったが、最後までめげずに、笑顔だけは忘れないようにしようと思った。


プリントをもらって、それを読んでみなさい、とも言われた。もじもじしていると、「題から読んで」と言われた。また、困っていると、「知らない漢字はとばして読んでいいよ」と言われた。それてろ、私は2行目から読んだ。(学校に帰って、先生たちから笑われたが、このプリントは「雲仙の四季」という題であった)

その他、髪型が写真と違うね、とか、歌はどんなものが好きかね、とかも言われた、演歌が好きですとこたえたら、「かわっていますね」と言われた。


やっと面接が終わって、控え室にもどったら、知らない子が「どうだった? 」と聞いてきた。「全然、自信がない」と言ったら、「でも、なんか、ハキハキしとるような感じね」と言われた。「ありがとう」と言っておいた。


それから、YGテストと、一般常識テストがあった。問題を見た瞬間、目の前が、まっくらになったのは、私

だけだったかもしれない。全然わからなかった。勉強しておけばよかった。ほんとうの、だれでも知っているような一般常識なのに、と、コウカイが頭に浮かんできた。アキラメという言葉も浮かんできた。


天神地下街で昼ごはんを食べた。友だちになった子といっしょだった。


午後は、尿検査、視力検査、レントゲンまであった。4時半ごろ、すべて終わった。


鹿児島まで帰るかなめちゃんという子と、友だちになったので、別れる時なんか、涙が出た。もし、二人とも合格したら、ずっと仲よくしようね、と約束した。


合格通知をもらった時、夢のような気がした。信じられないほど、うれしかった。でも、かなめちゃんは落ちた。すごくショックだった。いまでも、あんないい子とは、いつまでも友だちでいたい、という気持ちでいる。

とにかく、親孝行の第一歩だけは、踏み出せたかなと思っている。



常識テストの中には「遠賀川」の読み方を答えるのもあったそうです。

地元では有名な川で、正しくは「おんががわ」と読みます。

彼女は、「えんががわ」と答えたそうです。

当時、天神に本社がありましたが、福ビルの建て替えをするので、当分の間、博多駅の近くに移転すると、昨日(2019年3月11日)のテレビが、引っ越し風景を放送しておりました。

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