プロローグ
ーまたあの夢で目が覚める。不快だ。そしてあの言葉がいつも頭の中を回っている。
「…まだ駄目なんだ。…そろそろかな。…いつだろう。…待ちどうしいよ。
ーキミはどうしていつもそうなんだい?」
ここでいつも目覚める。そしていつも眩しい日が顔を照らしている。
最悪だ。
そう思いながら着替えているとふと頭からすっぽ抜けたように忘れてしまう。
そこから俺の朝は始まる。
親は朝早くから職場に向かっているので一人リビングで食事を済ませ、学校に向かう。
いつもと変わらぬ風景。いつもと変わらぬ通りかかる人。いつも見かける近所に住む知らない人。
ここが自分にとってのリラックスできる場だと思っている。
変わらないというのはとてもいい。慣れというものがあるから人生は面白い。そう思っている。
変わっていると思われがちだが、そんな楽しみがそれだけとかの人間ではない。
クラスでは像に言う一軍と二軍の間レベルの実力を持つそこそこの立場を築いている。もちろん自力で。
コミュ力も豊富で、友達も多い。「悩みなんてないのでは」と思われるが、俺には唯一の悩みがある。
それは夢だ。将来とかではなく、睡眠の方だ。
毎回変わらない夢で、毎回忘れ、毎回心残りがある。
この夢は中3の頃あたりに同じ夢だなと気づき、以降ずっと変わらない。
だから快眠なんて近頃全くない。長く寝たくない。二度寝なんてしたくない。
だから俺は、寝起きの朝が嫌いだ。毎回気持ちが悪い。
この前精神科に行って診てもらおうと思い立った。
だが、無駄に診察費は高いし、不眠症じゃないから治療のしがいがないし、高い枕でも買わされそうだし、ましては俺には金が無い。という事が決め手となり行くのをやめた。
一回ぐらい診療した方がいいかな。
そう思ってる間に、学校の近くまで来ていた。
今日はどんな事があるのだろうか。興味本位で足を運んだ。