魔法
宜しくお願い致します!
たぶん、元旦から僕は空を飛ぶことが出来るようになるみたいなんだ。
大晦日の夜に早くに寝床に就いていたんだよ。
体がザワつき、背中が痛くなったので、起きて鏡で背中を見てみたら、翼があったんだ。
「これは困ったけど面白いなぁ!あはは!」と思いお母さんに見せようと茶の間に行ったら誰もいない。風呂に入っているようだ。
『ちょっと待てよ!?、お母さんに見せたら驚いて怒るだろうなぁ〜』と思ったので僕は、そっと風呂場から引き返した。
『そうだ!妹に見せようかな?』と思い、妹の部屋に行ったら、妹は、半分、寝か掛っていたので、驚かせようと近づいた。
「おい、恵梨。これどうだい?カッコいいだろ?」と翼を動かしながら自慢気に言った。
「眠いんだよ。うるさい」と恵梨は兄に対して生意気な口を言った。
「翼だ!翼があるんだ!」と言ったけど、恵梨はムクッと体を起して「兄ちゃんよ、さっきからねぇ、うるさいよ!!眠いんだよ!!」と恵梨は、まぶたが半目の状態で僕に怒鳴った。
「分かった。グッナイ♪」と僕は渋々言って恵梨の部屋から出た。
今すぐ誰かに見せたいこの翼。
婆ちゃんの部屋に行ってみようと移動したけど既に就寝していた。
「チッ」と僕は舌打ちをして婆ちゃんの部屋を静かに出た。
『爺ちゃんはどうだろうかな?まだ、起きているかな?』と思い廊下にある時計を見たら時計が止まっていた。大晦日の午後9時56分で止まっていた。
茶の間に戻って時計を見たら、こちらはちょっと進んで、午後9時58分で止まっていた。壊れているのか、電池切れなのかは気になったけど、おそらく、電池切れだろうね。
『珍しいね。同時に電池切れなんてさ。暮れだから時も休みたい時かもな』と僕は何となく考えた。
爺ちゃんは酔っぱらって起きているようだ。
夜更けに三味線が聞こえているからね。酔うと三味線を弾くんだよ、家の爺ちゃん。
今の時刻が分からない。茶の間のDVDデッキの時計を見た。午後9時57分だった。時間が分かると気持ちがスッと落ち着いた。
『しょうがない、お母さんに正直に言おう。怒られると思うけど、正直に言っちゃおう。翼があるんだよって言おう。言わなかったら、言わなかったで凄い怒るし。どっちにしても、すぐ怒るから隠すのはよそう』
僕は風呂場に行って扉をノックした。
「お母さん、ちょっとさぁ、話があるんだけど」
「その前に背中を擦っておくれ」
「えっ?う、うん。分かったよ」と僕は言って扉を開けると、青いシャンプーハットを被ったお母さんが泡だらけのタオルを僕に手渡した。
「はい、頼むよ」とお母さんは言って背中を向けて椅子に座った。
背中を擦ってあげると、「圭介、今年は良い年だったねぇ〜。来年も健康をさ、体をさ、大切にして、良い1年にしようね。怪我もなく無事に過ごす事がなによりなんだからね」とお母さんは言った。
「うん」と僕は言った。完全にこれは言いそびれてしまったよ。
「はい、ありがとう!」とお母さんは言ってシャワーで体を流し始めた。
僕は風呂場の扉を閉めてから玄関に行き外に出て、近所の空を一周飛び回ってから自分の部屋に戻り翼を畳んでベッドに入った。
『忘れていた!手洗い、うがいをしてから歯を磨いて寝なくちゃねっ!』と思い出し、洗面所に行き、一通り済ませてから、自分の部屋に戻った。
『明日、お母さんに怒られても良いから正直に言おう。「凄いだろう!背中に翼が生えたよ!」って正直に言おう。どうせ怒られるし。お母さんの事だから、「なにやっているのよ!!ふざけてないで早く取りなさい!!病院に行って相談してきなさい!!言うことを聞かないんなら、お父さんに言い付けるよっ!!」って言うに決まってるさ』と考えながら僕はすぐに寝た。
横になってから30分。窓ガラスを叩く音がする。『誰だろう?クリスマスも終わったし、サンタクロースは北極に戻ったはずだからこの叩く音は違う。サンタクロースじゃない。だとしたら、だとしたらだよ、完璧にお化けだね。怖いから無視しよう』と僕は思って顔を翼で覆い隠した。
コン、コン、コン。
『近所迷惑になったら困るしなぁ』と考えてから、僕は勇気を出して窓際に行きカーテンを開けてみた。 精霊、いや、紛れもなく天使だった。可愛らしい天使が僕に微笑み掛けていたんだ。胸が高鳴っていく。絵本から出てきたようなピュアな姿に僕は面食らう。
あどけない顔、目が大きくて、鼻筋も通っている。唇は雫で濡れていて輝いていた。可愛いの一言に尽きる。
「やあ!君は誰?」と僕は言った。
「今晩は!天使です。名前はエリーです」と天使は言った。
「凄い偶然だね!僕の妹も恵梨と言うんだよ!」と僕は言った。
「ふふふふ」とエリーは笑った。
「僕は圭介です」
「圭介君、一緒に空を飛んで遊ぼうよ!」とエリーは言った。
「うん」
僕らは夜空を無邪気に飛び回った。誰も知らない世界。気づく人が誰一人いない場所。
星が掴めそうなくらい高く空を飛べたし、月に届きそうなくらい、月に腰が掛けれそうなくらいにまで高く飛べた。
エリーは飛ぶのが本当に上手かった。僕は翼を持って50分弱。夜空を上手く泳げないのは仕方がない。
僕は30分くらい飛んだので疲れてしまい、家に帰りたくなった。
「そろそろ戻るね。また遊ぼうね!」と僕はエリーに言った。
「うん。遊んでくれてありがとう!」とエリーは言って8の字に飛び回った直後に小さな星を振り撒いて消えた。
「凄い!天使みたいな消え方だなぁ」と僕はエリーに感心しながら呟いた。
僕はゆっくりとスピードを落として、自分の部屋の開いている窓から入った。
僕は翼を畳んでベッドに入った。
『しまった!また忘れたよ!手洗い、うがい、歯磨きをもう一度しないとね!寝る前にしなくちゃね!』と思い出して洗面所に向かった。
一通り済まして自分の部屋に戻った。
僕は翼を畳んでベッドに入った。
『明日は、怒こられても構わないから、翼が生えた事と天使のエリーと友達になったことを正直にお母さんに言おう。どうせすぐ怒るし…。
お母さんは、たぶん「勝手に夜遊びをするんじゃないよ!中学2年になったからと言ってもね、門限は午後7時まででしょう!
圭介、知らない人に着いていくんじゃないって何回も言ってるでしょうが!!危ないでしょうっ!!
お母さんの言うことを聞かないんならね、お父さんに言って、怒って貰うようにするよっ!」って言うに決まってるさ』と僕は翼を掻きながら直ぐに眠った。
終
ありがとうございました☆




