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#008「八月十一日木曜日」

――昨夜の十八時から二十四時に入っているニュースは、と。

ウゥン。中国にとって尖閣諸島の接続水域は、自国が管轄する権利がある領域だと


いう認識なのね。この擦れ違いは、どうやったら解決するのかしら?

四月の電力自由化に伴う契約会社の切り替えは、全国の二パーセントか。

一度、ある会社と契約してしまうと、たとえ他の会社と比べて多少損でも、乗り換えるのが面倒なのよねぇ。

  *

「おはよう、小川くん」

「おはようございます、清水課長。今日は山の日ですね」

「これで祝日が休みなら、より喜ばしいところだけどね。――それでは、昨夜のニュースの報告を」

「はい。昨夜は、外務大臣の抗議にも係わらず、また新たに中国公船十隻が尖閣諸島接続水域に立ち入った模様です。中国側は、これを管轄権の行使として誇示しています。わたしとしては、一刻も早い領海認識の一致が望むところです。それから、四月の電力自由化によって、都市部を中心に電力契約の切り替えが進み、全国で百四十七万件の切り替えが行われたそうです。しかし最近では、話題としての目新しさが薄らいだことや、切り替えの利点が伝わらないことから、当初に比べて動きが鈍化しているようです。わたしも、パンフレットを取り寄せただけで、結局そのままにしています。以上で、わたしの報告を終わります」

「どうも、ありがとう。日本は他国と陸で接していないから、地政学上では海洋国家に当たる訳だが、この頃は特に、離島の領土や領海に関する衝突が絶えないね」

「やっぱり最後は、経済力がものを言うのでしょうか?」

「その意見には、否定出来ないところだね。欧米諸国がどちらの味方につくかで、交渉が優勢に進むか、はたまた劣勢に立たされるかが決まるだろうし、自国の輸出品をたくさん買ってくれる国や、安くて良い輸入品をたくさん売ってくれる国であることが、その判断材料の一つとさせるだろうからね」

「お金にならないことはしないんですね。吝嗇というか、強欲というか」

「現代に限らず、国際政治なんてものは、その程度のものだよ。――電力契約の切り替えに関してだけど、僕の家も検討するだけして、契約変更はしなかったんだ」

「魅力がなかったんですか?」

「美味しい話は、そうそう転がってないものだからね。月々の支払いが安くなるとしても、家庭では高が知れているのと、サービス内容が削られていることで、不具合があったときに余計な手間がかかることが分かったからなんだ」

「コストとリスクを天秤に掛けて、釣り合わなかったんですね」

「そうなんだ。何事も均衡状態が一番だよ」

「バランスが悪いと、居心地が良くないですね」

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