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ユエとリィアンの冒険  作者: 村咲 遼
2/18

ママはたぬき、子供はこだぬき

ユエは元々、ママが『ネットフリマ』と言うところで見つけた。


ママは20年近く前に、テディベアを作りはじめていた。

最初ママは見よう見真似、でも、テディベア教室で基礎をならった。

型紙を準備して、布を買ってきて、手足の動きを手伝う『ジョイント』と言う部品や、『スタッフィングスティック』と言う綿つめの道具、布をひっくり返す為の『鉗子かんし』とジョイントを締めるための『コッターキー』と言ういろいろな道具をこつこつ集め、テディベアを作った。


え?『鉗子』?

手術用の鉗子と同じだってママは言ってた。

あとのお道具は、見てもらったらわかるんだそうです。


最初は不細工でも、ボアと言う布で作り上げたベアは、丁度結婚するお友達のに『ウェルカムベア』としてプレゼントした。

『ウェルカムベア』は結婚式の受付で、お客さんをお出迎えする大切な役目をするんだ。

ママも、昔は自分も……と夢見たけれど、作ったけれど諦めたって言ってた。

売ることはできないけれど、寂しく並ぶカップルベアは寂しそうで、ママも、その子も辛そうだった。

それで、ママは兄弟達をおうちにお迎えするようになったんだって。

だって、ユエがおうちに来たときには、ユエほど大きいのは数人だけど小さい兄弟がいたもの。


一番最初にママが作ったアル兄ちゃんが、


「またか‼母ちゃんは‼」


って叫んだんだ。

で、ユエがモソモソ出てくると、みんなあっけにとられたんだよ。

なんでだろー?って思ったら、その日の内に、


「ユエはチーキーだろう?家の母ちゃん……皆はママって呼んでるはるかは、滅多にチーキーお家にお迎えしないからみんなビックリしてたんだ」


だって。

兄弟を見ると、シュタイフ社のきりっとした兄弟や赤ヘルマン社の兄弟がいて、やぁって手を振ってる。


「うーん。仲が悪いの?それとも、ユエは……」

「嫌いとかじゃないと思う。母ちゃん、最初ユエたちチーキー見て、何だ?って思ったんだって。最初の頃は母ちゃんゴツゴツベア好きだったし」


示したのは、がっしりごつごつ、美男のシュタイフ社のベア。

そして素朴な暖かみのある赤へルマン社のベア。


ちなみに、ヘルマンはドイツ語読み。

ハーマンと呼ぶと分かるんだ。

で、ドイツにはヘルマン社は二つあって、緑ヘルマン社のベアをママは探しているらしい。


「で、緑ヘルマンの兄弟かと思ったら、ずいぶん大きい包みで、何人連れてきたんだよ……って。そしたらウサギ耳でキョトーンしてるし……あぁ、こりゃ、母ちゃん好きだわ、このタイプって思った」

「ユエのたいぷ~?ピューン?」

「……お前、母ちゃんとソリ合うわ、絶対。台風じゃなくて、性格だよ‼」

「セー書く……」


マジックペンを見つけて床に書こうとしたら、


「書くな~‼母ちゃん以上にボケかよ‼」

「ボケ?お花?」

「あぁ、木瓜ぼけの花はあるが、お前は、正真正銘、ぼけだぁぁ‼」


とアル兄ちゃんに怒られたんだ。

で、少しして、


「ユエちゃーん。兄弟‼兄弟見つけたよ~?お家についたよ~‼」


と言う、ママの言葉に、てててっと着いていく。


「兄弟?ユエおにーちゃん?」

「そうだねぇ。はい。じゃ、ジャーン‼」


ママの想像とは裏腹に、全く似てない。

ユエは、クリーム色でクルクルの毛並みが自慢。

目の前のは、薄いグリーンの真っ直ぐの毛並。

そして、


「ふーん……タヌキ?」

「タヌキじゃないもん‼ユエだもん‼ユエは、お、おにーちゃんなんだもん‼」

「……ふーん」

「こらこら、兄弟喧嘩はダメだよ。ユエちゃん。弟のリィアンだよ~。仲良くね?」


リィアンにもタヌキのお洋服を着せる。


「わぁ~‼ママ、似合うと思ったの~‼お揃い‼」


しばらくの間、ユエとリィアンはお揃いで我慢したのだった。

シュタイフ社は、ドイツ。

通称、赤へルマン社(赤ハーマン社)、緑ヘルマン社(緑ハーマン社)等もドイツの有名なテディベア会社です。

赤ハーマンは、素朴な優しく暖かいベアです。


スタッフィングスティックと言うのは、綿詰め専門の道具です。

かなり重宝します。


コッターキーはペンチでも代用可能ですが、コッターキーで操作するととても楽に手足と胴体などの繋ぎ目の部分をいい塩梅あんばいまで締めてくれます。


道具は本当に愛着ありです。

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