雪降る村と俺と君
俺とキリエラは昔からの幼なじみで、小さい頃は本当によく遊んだものだった。その中で一番古い記憶と言えば、やっぱり六、七歳の頃に二人で近くの山に行って迷子になったことだろうか。今更俺が懐かしい懐かしいといったところで、今のあいつは覚えちゃいないだろうけど。
あいつがあんなに何か……例えば村とか、村の住人とか、色々なものを守ろうとするのか、そして、そのためには自分が犠牲になることも、プライドを捨てることも覚悟して頑張っているってことを、つい最近理解した。恥ずかしながら、俺は彼女に何にもしてやることは出来なかったけれど。だから、あの時村に来たクロハという大食漢の少年には、本当に感謝している。何かを守ることしか頭にない彼女を守ってやってくれて……。
∞∞∞∞∞
朝早く、店の中で料理の下拵えをしていたとき、いきなり店のドアを開いてやってきた人物がいた。
「おはよう、トト!ちょっといいニュースがあるんだ!」
「開口一番にそれかよ、キリ…」
それは寝癖が直っていないキリエラだった。それだというのに、そんなことにも気づかず嬉しそうに目を輝かせて俺の元にやってくるなんて……。もう少し女という意識をもった方がいい、っていうのは大きなお世話かな…。
「聞いてくれよ。この前雪の村に行ったんだが、そこで、すっごくおもしろい行事を体験したんだよ」
「雪の村ァ?雪ってなんだよ」
キリエラが、ちょっと待って、といってポケットの中を漁り、畳まれた紙を開き、そこにかかれた文を読み出す。
「『 雪は氷からできていて、氷は水が固体となったものだから、雪の一番のもとは、水であるといえる。雪のつぶは、上空の雲の中でできます。そこは高い空の上なので、温度も非常に低く、その冷たい空の上で、雪はまず氷の粒でうまれます。まわりが冷たい空気であるために、空気中にある水蒸気が、この氷のつぶに、だんだんくっついて、さまざまな形の雪を作ります。角ばった板のような形、柱のような形、ピストルの玉のような形、花びら六枚の花のような形など、本当にいろいろな形があります。
この雪の形は、そのときそのときの、温度や空気のしめりぐあいで決まります。たとえば、水蒸気の多いところを通る雪は、六枚の花びらのような形になり、水蒸気が少なく温度が低いところを通る雪は、角ばった柱のような形になるのです。
』」
「お、おう………」
キリエラの棒読みっぷりが素晴らしかった。
「まあ、よーするに柔らかい氷の粒が降ってくるってことだ!」
「柔らかい氷の粒……」
キリエラの言葉を反復する。
想像も付かないな……。
気が付けば、キリエラは俺よりもずっと遠い世界へ足を踏み出している。置いて行かれるような疎外感を、キリエラに悟られぬよう話を催促した。
「で、お前の言うおもしろい行事ってなんだ?」
「そうそう、そこで、『クリスマス』っていう行事があって、赤い服と帽子をかぶった白い髭のおじいさんが鹿にそりを引かせて走って、皆にプレゼントを配るんだ。しかもそのそり宙に浮くし、そのおじいさんは他人の望む物を当てて渡すんだよ。サンタクロースって名前で、皆に愛されてた」
んな馬鹿なことが起こるわけねぇよwww
と思ったが、本人は至って本気にしているので口には出さない。
「それをさ、ここでもやりたいんだ!」
「はあ?」
「クリスマスってのをここでやれば、村がもっと賑やかになって皆が元気になって、きっと早く村が回復する」
「キリ…………」
拳をぎゅっと握って自分の願いを呟くキリエラを見て、俺は覚悟を決めた。
「……分かった。手伝ってやるよ」
キリエラが嬉しそうに俺をみる。
「その代わり、絶対途中で止めんなよ!」
「マジ愛してる!」
キリエラが俺に飛んでくるようにして抱きしめてきた。
「~~~~~!!」
思わず顔が赤くなるが、キリエラからは俺の顔は伺えない。
「ばっ、おまっ……。冗談…止めろよ……」
「え?分かった。冗談やめる」
そういって即俺から離れるキリエラに少しイラッとする。
「マジで冗談なのかよ…」
なんだかちょっと残ね…いや、何でもない。それにしても一発殴ってやりたいなこの女。
「それはそれとしてなんだけどな、トト。一つ問題があるんだ」
「あ?」
「この村じゃ雪が降らないんだ」
「あー…。そうだな。氷すらもここじゃ作ることも難しいし、人工的に降らすことなんざ出来ねぇよな」
「だから、その問題を、トトに託そうかと思ってね」
「はっ?」
おいおい、この展開って……。
「聡明なトトくんならこんな難し~い問題もきっと解いてくれることでしょう」
何言ってんのコイツ!
「そんじゃーあたしはこれから仕事があるんで!」
キリエラがそそくさと逃げていく。
「てめっ……!」
追いかけようとしたときに、キリエラが振り向きざま叫ぶ。
「下拵え頑張り給え!アデュー!」
「あっ……!」
∞∞∞∞∞
「チッ…あんにゃろ……。めんどくさい問題押しつけやがって」
愚痴を沢山こぼしながら野菜を炒める。
「オイ、うっせえぞ!ノロケはよそでやれ」
「これがノロケに聞こえるんだったら先輩のその耳は腐ってるッスね」
「バーカこれは腐ってねぇ」
「え、いやでも臭いますよ」
「後で覚えとけよトト…」
「はーいじゃ先輩これよろしくー」
出来上がったばかりの野菜炒めを傍の先輩に押し付ける。先輩は渋々とテーブルの方へ歩いていった。
「本当にどうするかなあ……」
出来れば彼女の願いは叶えてやりたい。それは随分と昔からそう思っている。それこそ、彼女と出会ったときから。
だから今回も、キリエラの無理矢理な願いを聞いて、叶えることが俺にとっての今の大事な使命だ。
「仕事が終わったらキリのとこにでも顔出すか」
よし、と気合いを入れ直して再び仕事に取りかかり始めた。
∞∞∞∞∞
キリエラが仕事をしているのは崩壊した村の仮設住宅が多く集まる場所のうち一つ。そのテントの中へ、彼女の名を呼びながら入っていった。
「おい、キリ」
返事はなかった。おや、と思い、キリエラの机を見る。そこに、腕を枕に机に突っ伏す彼女の姿があった。その下に埋もれるのは何かの書類。こっそりと俺は中身をみた。
「……これ…」
それは村の建造物の予定案、住居を失った人のグラフやらアンケートやらなにやら。それら全てにメモ書きが為されている。
「んぐぁー……」
突然のいびきに思わず俺はぱっと後退りした。それから何も反応が無いことを確認して、俺は一息ついてから再びキリエラの側へと近寄る。今の時期はそれなりに冷え込むから少し暖か目の上着を着てきていたのだが、それを脱ぐと俺はキリエラの肩に掛け、その場を後にした。
「くしゅんっ」
∞∞∞∞∞
俺は一人町の中をうろうろしながら考え込む。
おそらく、この場所で“雪”とやらを降らすのは不可能だ。明らかに温度が暖かすぎる。何か、もっと別の……。
ふと、俺は歩みを止める。
「……そうだ」
一つだけ心当たりがあったのだ。
ぱっと顔を上げて村の外を見る。そしておもむろに走り出した。
俺とキリエラは昔、村の外へとこっそり遊びに行ったことがあった。もちろん、最後はバレてしまって、俺は両親に、キリエラは祖父である村長に叱られてしまったのだが、あの時は本当に、あのまま村の外で死んでしまうかもしれないと、らしくもなく覚悟を決めたものだった。道に迷い、キリエラは途中で疲れて寝てしまって、俺があいつを背中に背負って行った、あの時……。
俺は、雪をみた。
∞∞∞∞∞
村の外へでる許可を得てから門を潜る。外にでるのはいつぶりだったろう。もう長いこと出ていなかったから、少しだけ冒険に対する高揚感を抱えて歩き出した。
なるほど、ルンペンはこれを楽しみに旅をしているのか、と考えてみれば昔は否定的であったルンペンに羨望の意を持たずにはいられない気がした。
「日が暮れる前には行かないとな」
一人つぶやき歩き出した。
足に短剣を着けているから右足の方に重心が自然と傾く。包丁は使い慣れたものだけど、こういったことに慣れているのは今やキリエラの方が上だ。そして、人を殺すことにも。まな板の上に乗った生き物を切り刻み料理を作るこの仕事が嫌な訳ではないけど、やっぱり彼等が生きていることに変わりはないから時々怖くなってしまうんだ。俺なんかはまだいい方だと思う。キリエラは、同じ人間を傷つける仕事だ。つらいだろう。
俺には、そんな彼女のことを慰められる力も、知恵も、物も何もない。出来るのはただ、眠りこけるあいつの肩に上着やら毛布やらを掛けてやることしかできないんだ。
非力である自分が、不意に嫌になるんだ。
∞∞∞∞∞
「着いた………」
正直こんなすんなりと来れるとは思わなかった。だって幼い頃の記憶だったし。だからある意味運が良かったと思う。
ここはある樹木の群生地だ。名前は知らない。でも、あの時、俺は雪をみたんだ。だが、今目の前にあるのは、青々しく緑が茂る立派な木だけ。やはり、あれは記憶違いだったのだろうか……。
俺はそっと近くの大きな太い木に近づき、太い幹に手を当てた。
「さて、どうすかなぁ」
「ちょっとそこのおにーさん?」
突然の女性の声に心臓が飛び出そうになるほど驚きながら後ろを振り返った。
だが、そこに人影はない。
ここまで失っていた恐怖がじわりじわりと心に押し寄せてくる。やはり、村から出るべきではなかったのだろうか…。
「だ、誰……ですか」
…………敬語になってしまった。
「どこ見とりますの。上や上」
「う、上…?」
ビクビクしながら上を見る。枝の上に不思議な服を着た女性がちょこんと座っていたのだ。その髪の色は薄い桃色がかった色で、瞳は鮮やかな紅がビー玉のようにはまっている。それよりも一番服が不思議だった。いや、この世界において服装のことでとやかく言えることはないのだが、ふわふわした白のワンピースのようなものを着ていて、風が吹く度に波打つように揺れるのだ。
「おにーさん、ようやくこっちを見てくれましたなぁ」
「はあ」
「そんなビクビクせんといて。とって食らう訳でもないんやし。そんなん村人感がもろに見えとりますよ」
「えっ……!!いや、そんな事言うために俺…僕に声かけたんですか!ほっといてください」
「ホホホ。そんな怒らんといてや。用ならありますえ」
「…何です?」
「降ろして」
「ぇ」
∞∞∞∞∞
「いやぁ、助かりました。ほんまおおきに」
「降りれないのに登るとか猫なんですか」
くすくすとその女性は笑うと自分が先ほどまで登っていた木に手をついて言う。
「そこに木があったからや」
「………」
「そんな冗談は置いときましょか。おにーさんは何しはってたんですか」
「……いえ。別に」
そう言って会話を切ったのに、その女性はにこにこにこにこと笑顔を張り付けたまま俺の顔をじっと見つめるものだから、根負けをして訳を話した。するとその女性は突然笑顔を消して真剣な顔で言った。
「おにーさん、そらほんまのことですわ。あんさんの記憶違いではあらへん」
「何の確証があってですか?」
「わっちの出身は花の村ゆうてな、花の精霊の力で年中花が咲いとるそらあ綺麗な村でね。そこでこの木が花を咲かすのをずっと見とりました」
「じゃあ、やっぱり…」
「ええ。この木は白い花を咲かします。ほんで、その花が散るんはまさに雪の如し。せやけど、この木はもう花を咲かせ終わったようですわ」
俺は言葉を失い、下を向いた。もう無理なんだろう、そう希望を失って。
その俺の頭をぽんと手で叩くと、女性は素直ににっこりと笑った。
「おにーさん、希望を失うんには、まだ早いと思いますよ」
ゆっくりと顔を上げて女性の顔を見る。真っ赤に燃える目の奥の奥の、そのまたずっと奥を視る。
「あなたは……」
言い掛ける俺の口を彼女は人さしゆびで塞ぐ。
「ほんなら、仕事始めましょ」
彼女は袖から取り出した小さな瓢箪のフタをはずして、中の粉のような物を風に乗せるようにばらまいた。
「昔のお話。花咲かじいさんゆうのがあったんやけど、やっぱり地域ごとで違うんやろね」
風に乗って飛んだ粉は、青々しい枝を薄桃色に染めていく。そこに風が吹くと、花びら一枚一枚が風に乗って舞った。その光景は確かに、あの時の物だった。
当時の光景が思い切り脳内に広がる。あやふやだったものは確かになり、すっぽり抜け落ちたところは所々補われて…。
「ねえトト……。私、あなたのこと、絶対強くなって守るから」
「男が守ってもらうってのも、なんかやだなぁ……。じゃあ俺は……」
これは、村に戻ってからの会話。このとき俺、なんて言ったんだっけ?
「どうや?あんさんが見たゆうんはこれやないですか?」
「はい…、そうです」
俺には、どこからともなく流れ出るこの涙を止める術を身に付けていなかった。
「何で泣いてはりますの、おにーさん 」
何に対しての物か、何となくは分かる気がする。でも、当の本人である俺でさえ、確実な理由はふわふわといている。
「ほんなら、説明始めましょ。この瓢箪の中に入っとりますんは灰でござんす」
「灰って、物を燃やしたときの…」
女性は頷く。
「この灰のもとっちゅうのが花の村でしか採れへん植物を燃やしたもんや。かなり希少やけど効果は抜群。ひとつまみででっかい木ぃの二、三本の花咲かすどころか苗木もすぐに育ちますえ。これを、おにーさんに差し上げます」
俺は一瞬その言葉を理解できなくて、少し経ってから大きく声をあげた。
「は、はぁ!?」
「何を驚いてはりますのん。これがなかったら雪、降らせられませんやん。彼女さん喜ばすんやろ?」
女性は俺に向かってさりげなく瓢箪を押し付けた。言葉に反応したせいでそれに対しての反応が遅れてしまった。結果俺は瓢箪を握りしめる形になってしまう。
「かっ、彼女なんかじゃないですからっ!!ただの幼なじみです!」
「まぁ、ええわ。そこの木の枝をスパッと切ってこの灰を混ぜた地面に植えれば完成や。周りに何もないとこでやるんやで?木がでかくなりすぎて潰してまうかもしれへんからなぁ」
女性は袖で口元を隠しながらにやにやとした目で笑う。
「あなたは、一体誰ですか?こんなことが出来るなんて、一般的な方ではありませんよね?」
「……」
女性は何も言わずに歩き出し、俺から少し離れたところでもう一度俺の顔を見るように振り返った。
「わっちは花の村の巫女、ブルーメ・メーディウム。昔植えた友人の様子を見に来ただけやったのに、こんな出会いがあるとは。旅っちゅうのはおもろいもんねぇ」
「巫女様でしたか……。思った通りですね。しかし、村から外出なされてよろしいんですか?」
女性……巫女様は正面に向き直る。
「これはブルーメ様の意志でもあるんや。本当は馬車を使うつもりやったんやけど、村に置き忘れてしもた。まぁ、そんなんどうでもええな」
巫女様はそっと横の幹に手を当て、静かに笑った。
「ほな、あんさんは自分の夢、かなえて下さいな。いい結果、期待してますえ」
突然、花吹雪が俺の目の前で巻き起こり、腕で顔を覆ってしまう。再び顔を上げたとき、彼女の姿はどこにもなかった。
∞∞∞∞∞
「あんたさぁ、これで何をするつもりだよ」
「…雪を降らせるつもりだけど?」
「どこがだよ!あんたが手に持ってんのよく分かんない枝と袋しかないじゃん!もう今日は当日だよ!?安心しろって言ってたからどんなもんかと思ったら……」
「いいや、これで成功する。大船に乗ったつもりでいろよ」
自信を持った顔で俺はキリエラの困り顔をみた。
大丈夫。成功させてみせるから。
クリスマスとやらが開催された。たくさんの人たちが笑いながら大通りを歩いていく。赤と白の三角帽や鹿のようなカチューシャをつけたり、大きな四角い箱を腕の中に積み上げて持ち運んだり、辺りでは夕暮れ時だというのにそうそうに酒を瓶ごとラッパ飲みする人々もいる。
空の端が段々と橙、紅、紫に移ろっていくのをみて、俺はとうとうきたのだとワクワクする心持ちでいる。そんな俺と焦る表情を隠せないキリエラはずっと何をするでもなく大通りを巡回していく。時折騒ぎすぎた青年たちを注意したり、ぶつかり合って喧嘩をする人々を押さえつけたりと、まぁなんだ。忙しかったわけだ。
そしてようやく夕暮れも終わり、殆ど太陽の光はなくなってしまった。
俺は村の中心部の広場に枝をさして植え、一呼吸を終えてから袋の灰を一握り分振り掛けた。
かなり後ろの方でキリエラが緊張した面持ちでこちらをみる。それどころか、大勢の村人たちすらもこちらを眺めている。たくさんの視線に囲まれる中、灰は枝に降りかかる。
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枝は一瞬ぷるっとふるえたかと思うと地面のアスファルトも木の根がえぐり出し、幹はたちどころに天高く聳え、大きく枝の傘を広げる。俺はそれを口を閉じらせられずに空を仰いだ。何もついていない枝から一斉に薄桃色の蕾ができ、開花し、枝すべてを白に染め上げた。
その樹木をスタッフの人たちがライトを当ててライトアップさせるその光景は“圧巻”ただひとつだ。
開花した花は少しのそよ風で揺れて花びらをふるい落としてゆく。ゆらゆらと揺れ泳ぎ、空気を滑り落ちてゆくのはまさに雪のごときものだった。
一瞬にして場は歓声の渦に包み込まれる。後ろでみんなが騒ぎ立てる中、キリエラは驚きを隠せないようで、まばたきすらも忘れて雪だけを見つめていた。
「どうだよ、キリ」
「うん……。すごいよ……。すごいよトトっ!!!」
満面の笑顔で俺をみる。
その顔だ。俺が見たかったのは。
してやったり、とにやりと笑うが、キリエラは逆に涙をこぼしてゆく。
「知ってるよ、これ……。懐かしいね、私らが外に出て見たやつじゃん。そっかぁ…」
「覚えてたのか」
「何言ってんのさ。あんたと馬鹿やったの、一日だって忘れた事なんてない」
「…じゃあ、さ」
少しためてから俺は真面目な顔でキリエラを見返した。
「約束は、覚えてんの?」
「約束?」
キリエラは覚えていないようだった。
「お前は、俺を守るって。俺は……」
「お前の帰る場所になるって」
「お前が守ることに疲れたら、いつだって俺はこの腕広げて待っててやる。うまい飯だって作ってやるさ。相談があればなんだって、愚痴だってきいてやらぁ」
「トト……」
「だからさぁ……」
キリエラの頭にそっと手を添える。
「あんま、無理すんじゃねぇよ」
恥ずかしくて、そこからはキリエラの顔もまともに見れない。自分の顔がどうなってるかも知りたくなんてない。ただ一つ覚えているのは、その後の俺の腕にしがみつくキリエラの体温と、すすり泣く声だけだ。
∞∞∞∞∞
メリークリスマス!
メリークリスマス!
少し遅くなりましたが、クリスマススペシャルということで懐かしい商業の村のお話です。
キリエラとトトのことを覚えているでしょうか?
なかなか思入れのある人たちなので、設定もしっかりしてあるのです。
いやでも正直最初はトトが恋してる設定はなかったはずなんだけどなぁ……。
関西弁は適当なので、あってるかは分からないです。違ってたら恥ずかしぃ……。