ボーイッシュ巫女☆ロリィタ男子
短編ですがこれは連作物です、短編のくせに連作仕様となっています。つまり何が言いたいのかと言うと、この話は六話目に当たる物だとゆー事、そしてこの前には五話分短編があります、つまり最終的に何が言いたいのか、面倒ですが全話見てください!お願いします!
一話 厨二病
二話 厨二病
三話 萌える
四話 ショッキングピンク
五話 赤髪少女とボーイッシュ女
…深刻なダメージが……俺のメンタルがぁ……
「まさかそのような趣味だったとは…やはり世の中は広い…」
ザラキエルさん納得しないで〜
「あの方と関わるのは危険です。ザラキエルさん。早く逃げましょう。それしかないですわ。」
あれ?何だろう…目に涙が…
「しかし認めてあげるのも巫女たる役目なんじゃないかな?」
「ザラキエルさん。巫女の意味を履き違えておりますわ。そのような趣味は特殊な人材に任せておくのが吉です。」
「腐女子と言う奴か?それなら私も巫女だぞ?」
「意味を履き違えておりますわ。ザラキエルさん。それに腐女子もこの方は無理です。そもそも腐女子はBLが主。この様な者に感じる様な腐女子は腐女子の中でもかなり特殊だと思われます。いえ。そうに決まっていますわ。」
「そうだな、私も人の趣味をとやかく言える者じゃないからね」
「そうですわ。趣味は人それぞれです。この方の趣味はその筋のエキスパートに任せましょう。それがいいですわ。いいに決まっていますわ。」
趣味趣味って…
「俺はやりたくてやってるわけじゃねーよ‼」
爆発。
もう止まらない、理不尽な状態に腹が立ってくる。
「言わせておけば言いやがって!誰が好き好んでこんな意味分からん格好するかっ‼ボケッ‼はっ‼」
いきなり怒ったからなのかキョトンとしているザラキエル。
「ん?そうなのか?瓜売り君。しかし君の世界はピンクばかりじゃないか、ピンクの電柱、ピンクの道、ピンクの家、ピンクの空」
「ちがーう!これは間違いなんだ!アプリ伯爵のいい加減さが生んだ産物なの‼アホッ‼はっ‼」
俺は駄々をこねるガキの様に地団駄を踏む。
「趣味を隠そうとしなくてもよろしいですよ?私達にはすでにばれています。恥ずかしがる事は無いですわ。さあ。存分にその醜態をお見せ下さい。それがいいですわ。いいに決まっていますわ!」
急に恍惚な表情になる赤髪ジョノ。
「まさかのSかよ!こっちのジョノさんとはえらい違いだな!おい!」
こっちのジョノさんはと言うと
「はいー?何ですか〜?」
のほほんとしている。かわええの〜
「いえいえ違いますわ。私は人の羞恥を見るのが好きなだけです。決してSなどではありませんわ。そうに決まっていますわ。」
「そのしゃべり方やめろ!くどいわ!そして二度と口を開くな!」
と、怒鳴っても赤髪ジョノは上の空。なぜかホッペに手をあて悶えている。
「いいですわその叱咤…。もっと私に激励を!そうですわ。それがいいですわ!」
「Mね!どっちだよお前は!」
ほんとにこっちのジョノさんとはえらい違いだな!
「そんなに荒ぶるな瓜売り君、慣れないかもしれないがジョノはこうゆー奴なんだよ。はははははは」
あなたの高笑いは妙な清々しさがありますね。
「まぁ、私も今知ったんだけどね」
まさかの今!知ってるそうな口ぶりは何だったのですか⁉
「いやー、まさかジョノも人とは逸した感性の持ち主だったとは感慨深いな。ははははは」
あなたは寛大な心の持ち主みたいですね。
ったく、どんだけキャラ濃いんだよ。
「はぁ〜」
何か一気に疲れた…身体中に脱力感がくる…
今日は帰ったらアニメ見よ…ってか帰ろ……
「何勝手に疲れてるんですかー?元気だして下さい〜」
はいっ、がんばりまっす!
いやーこの子は癒し系だな、うん。癒し系ジョノだ。
「それじゃーウリウリ君〜」
おっ、初めて名前を呼んでくれた。ありざーす。
「何ですか?ジョノさん」
俺より低いジョノさんに首を傾けて聞く。
「避けますよ」
「え?」
その言葉を理解するのに時間はかからなかった。
ふと周りを見ると
「はあ⁉」
何これ、いつの間にこんな物を⁉
気づくとすんごい事に俺を中心として四方八方上下左右様々な場所に蒼い魔法陣が展開されていた。
アニメでしか見た事のない魔法陣、俺の期待を裏切らない魔法陣があった。
魔法陣って物がどんな物かはよく分かんないけどこれは魔法陣だ、間違いない。しかも達の悪い事にその全てがこちらを向いている。
ちょっとこれ、ヤバイんじゃないの?
「おや、ばれてしまったか」
そう言うザラキエルは切り目を細めニヤニヤしている。
「ここまでばれなかったなら上出来でしょう。いえ。上出来です。そうとしか思えませんわ。」
こちらは口を押さえてニヤニヤしている。
似た物同士か、こいつら。
「私にはばれてましたよー?」
「え⁉ジョノさん知ってたの⁉ならもっと早く教えてよ!めっちゃヤバそうな展開じゃん!」
何か魔法陣からキュインキュイン音がするしどうすんの俺!超恐いわ!
今の俺はとにかくテンパっていてなす術がない。
テンパり過ぎて膠着状態ですよ、うん。それしかないですわ。
「それでは無駄話のお陰で準備も整いましたし。ザラキエルさん。頑張ってくださいませ。いえ。頑張りなさい。それしかないもの。」
そう言うと赤髪ジョノの体が徐々に消えて行く。
これは戦いに巻き込まれない様にするために電脳世界に戻ってるんだろうな、やっぱりこのジョノもこっちのジョノさんと同じ事ができるそうだ。
「分かっているさ、しっかり初陣は決めてみせる」
戦闘準備万端な巫女ザラキエル、肩をぐるぐる回し慣らしている。格闘タイプかしら?
そして全く準備できてない変態ロリィタ男子、自分で言っていて悲しくなってくるよ…
そして周りには今にも魔法陣が何かしてきそうな雰囲気、ビームとか飛ばして来たら避け切る自信ないっすよ。
でもどうしよっかな…変身したはいいけどそれから先は未知の領域だからなー…もしかしたら避け切れるかも。
なんて自信が出て来たり出て来なかったり、そんなどっちつかずの俺でーす。
「心配しなくても大丈夫ですよ〜、私がてきとーにナビゲートしますからー、言われたらその通りにして下さいね〜」
隣のジョノさんは危機感など微塵にも感じていなさそうに頼りになる言葉を言ってくれる。
そうだな、ジョノさんを信じて身を投じるか。それが一番だ、うん。それしかないもの。
「了解しました、ジョノさん」
かなり間抜けな画になるけど腰を落としてどっかの格闘家を真似て戦闘スタイルをとってみる。
皮肉にもスカートは動きやすい。このロリィタはこの事を予想していたのか?
「お〜、かっこいいですねーそのポーズ」
「ジョノさん、お世辞はいいから」
照れるだろ、へへへ
「お〜、気持ち悪いですねーその格好」
「俺はくじけない!」
よしっ、まずは相手の出方を伺うか。それが戦いってもんだ。
「相手の出方を伺うとか思っちゃダメですよ〜こっちからしかけますー」
こっちからしかけます、はい。
「そっちからしかけるのかい?私は構わないぞ」
聞こえてました、はい。
ジョノさんは特に気にした様子は無く
「では〜、私はスマホの中にいますのでしっかりお願いしますー」
そしてスマホ内へ移動。
これでお互いの状況は同じになった。
まぁ、俺の周りには相変わらず第一種危険魔法陣があるけど。
気を引き締めんぞ!はっ!
そしてその瞬間
ドゥッ!
俺のオーラが勢いよく噴き出した。勢いよすぎて倒れそうになるぐらい噴き出した。
なるほどね、俺のやる気に応えてくれんのかこのロリィタは。
「いいじゃんいいじゃん、やってやらぁ‼‼」
ドゥッ‼‼
勢いよすぎて前から倒れた、ってか叩きつけられた。
「痛ってぇ…」
膝をつき何とか立ち上がる。
噴射し過ぎだろ、どんだけやる気あるんだよ俺のオーラ…って
「っ⁉」
ゾンッ!
空気を切る恐ろしい音。
顔すれすれのその攻撃を俺は間一髪で首を後ろに動かし避ける。
そして一気に脅威の身体能力で後ろへ飛び退き間合いをとる。
「危ねえー、顔吹っ飛ぶとこだった」
あの攻撃の正体はボーイッシュ巫女ザラキエルの回し蹴り。
俺が倒れた瞬間に間合いを詰めて来たのか、容赦無いな。そしてあの蹴りを見るにザラキエルは予想通りに格闘タイプか。
ってか俺冷静だな、ってか俺の身体能力すげーな。
「あれを避けるなんて流石だな瓜売り君」
真剣な表情の中に笑みを浮かべるザラキエル。俺はいつでも攻撃に対応できるように身構える。
「俺もビックリだよ、避けられるなんてな」
これが改変によって得た力か、身体能力UPなんてまさに主人公の力じゃん。こりゃ使い勝手がいいぜ。
「ジャンプ‼」
「ん?」
不意の叫びに一瞬理解ができない、だけど理解反応も超人的に上がっていた俺はほぼ反射に近い早さで理解、ジョノさんの声に従い力を足に込め地面を蹴り飛ばす。
ズドンッ!
地面を蹴る音が尋常じゃないくらい重い、そして俺の身はピンクの空へスポーンと放り出される。
いやっほぉぉい!
下を見る余裕がある俺は飛びながらも目視する。
「えっ⁉」
そこには魔法陣から発射される何かで一掃されていた。
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……
明らかに当たったら死にそうな重すぎる音が連続で聴こえる。
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……
ピンクの砂ぼこりが目下の街に広がりその姿を隠して行く、それはつまりピンクのアスファルトをブチ破ったって事。
恐ろしいわ。
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……
止む気配は無い。
俺があそこにいたら確実に木っ端微塵だな…
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド音がドドドドドドドドドドドドド止まないドドドドドドドドドドド……
「ザラキエルどんだけ俺をいたぶりたいんだよ!」
そして気づく
いつまで経っても止まない音、それをずっと聴いている俺。
俺はいつの間にか上空で静止していた。
「マジか!俺すげー!」
え⁉俺空飛べんの⁉完璧過ぎるだろ俺の力
「凄いのはその服のお陰ですよ〜」
スマホを手に取ると相変わらずなジョノさんがいる。
「マジか…この身体能力とか空飛べるとかロリィタお前…すまんロリィタ、俺はお前を誤解してた、やっぱり大事なのは外見じゃなくて内面なんだな、ありがとうありがとうロリィタ。こんな素晴らしい力をくれてありがとう!ロリィタァァァァア‼‼」
ビュンッ
俺が歓喜して叫んでいる時、不意に俺の鼻先を掠め上空へと昇って行く謎の飛体、ピンクの空へとはるか彼方。
思わず息を飲む。
歓喜なんか一気に吹き飛ぶ、冷や汗が噴き出す。
ビュン ビュン、ビュンビュンビュン
耳に届くのはぞくぞくと飛ぶ物体の通過音。
恐る恐る下を見ると…
「レーザーと化した飛来物体が大量に打ち上がって来ました〜」
「ジョノさぁぁん!そんな呑気なぁぁ!」
ギャー!
俺は必死になって空を動き回…れない⁉
何これ⁉全然動かん‼
いくら体を動かしても全く進まない、平泳ぎしてみても空を切るだけ。
動けないんなら意味無いじゃぁん!ロリィタ貴様ァァァア!
今も下からどんどん飛んでくる、当たるのも時間の問題。
こんな時の頼みの綱
「ジョノさん助けてぇぇ!」
「大丈夫ですよー、ピンクの砂埃のお陰で向こうの狙いが定まってませんから〜当分当たりませんー」
「でもいつかは当たるんですよね⁉」
焦る俺
「当然ですよー、当たり前ですよ〜——」
のんびりなジョノさん、この温度差がヤバイ。
くそ〜、画面の中は安全だからって余裕綽々過ぎるだろ、こっちは危な過ぎるんだから。うぉっ!今の危ねえ、当たるとこだった
「——なのでウリウリ君にはこの状況を打破する最も簡単な方法を教えます〜」
頼もしい一言
「マジすか!ありざーす!」
その途端。
ロリィタ男子が白Tシャツジーパン男子に戻った
「へ?」
その途端。
俺は法則に従い落下した。
「ほ? ギャァァァァァァア‼」
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬァァア‼
途中意識が飛びかけた。
いや飛んだ。
「大丈夫か⁉瓜売り君‼」
そして俺はザラキエルの腕の中にいた。
あぁ…いい香り…
お読みいただきありがとうございます。次話も書きます、書かずにはいられません。どうぞ今後もごひいきに