第3話 屋上から見た町は赤く染まり
走って教室に着いた。
時間はギリギリだった。先輩大丈夫かな。
まぁ、あの先輩だからうまくやってるんだろう。
「号令。」
「あ、起立。」
あ~今日の日直僕だった。
日直は2人でやる。今日の日直の相手は・・・卯月だった。
「着席。」
あ、いろいろ考えているうちに号令が終わっていた。
それにしても・・・
「眠い・・・。」
あー谷ちゃんが変な呪文を言ってるように聞こえる・・・。
聞いても分かんないし、もう寝てしまおう。
そう思い、教科書を立て、手を枕代わりとして眠りについた。
・ ・ ・ ・
ん?ここは夢の中だろうか・・・。
僕はさっきまで寝ていたはずだけど・・・。
まぁ、いいや。てかなんで階段にいるんだ?
ここは・・・1階と2階の間の東のほうの階段だろうか。そしたら教室に近いな。
とりあえず教室に戻ろう。
僕は教室に戻ろうとすると、歩いてる生徒がいた。
だがその生徒全体が赤いライトを当てているような姿だった。
他の生徒も、先生も赤いライト・・・いや、赤く染まってるような感じがした。
まるで血みたいに。
そのまま歩いてると、卯月がいた。本を立ち読みしていた。
だが卯月は違う。
卯月は、灰色に染まっていた。
自分の姿は、赤にも染まってなくて、灰色にも染まってない。
普通の姿だった。
卯月はこちらには気がつかない。集中しているようだ。
僕はそのままにしておくことにした。
そのまま歩くと、赤く染まった生徒といっぱいすれ違う。
なんで赤く染まってんだという疑問を持って僕はすれ違う。
すると、長月先輩と睦月がいた。
先輩は赤と黄色に染まっていた。睦月は卯月と同じ灰色だ。
「あ、五月~。」
「先輩その姿どうしたんですか?」
「え、俺なにか変化した?」
「え、赤と黄色に染まってませんか?」
「いや・・・なにも。」
「睦月は灰色に。」
「『普通の姿。灰色にはなってない』」
な、なんだよこれ・・・。まるで僕しか染まった色は見えないようじゃないか!
「ちょっと急いでるからっ!」
「あ、五月っ」
急いで教室に戻る。
谷ちゃんがいた。
谷ちゃんは白に染まっていた。
他の生徒は赤く染まっていた。
「な、なんだよこれ・・・。」
なに?僕だけ普通なの?夢を見ているから?
それとも・・・。
でも考えても分からない。
染まった色にはなにがあるか。
それが、
本当のことなのか。
幻覚だ。きっと。目が疲れているんだ。
そう思っていた時、
「な、なんだこれ!?」
学校が赤く染まっていく。空も赤く染まっていく。
僕は屋上に猛ダッシュで行った。
屋上から見た町は赤く染まり、灰色の部分もある。
灰色に染まってるのは、墓場、枯れた草、葉などだ。
町を歩いてる通行人や自転車に乗ってる人もみんな赤い。
「意味がわかんねぇーよ。なんだよ。
この夢はああああああああああ!!」
「うるさいぞ!!大神!!」
「!!」
谷ちゃんが怒ってる。
みんな教室の椅子に座っていて机には教科書とノートが開いてある。
赤や灰色の幻覚はない。
どうやら夢から現実に戻ったそうだ。
「大神!!次の休み時間職員室に来い!!」
あ~あ 谷ちゃんの長い説教か・・・
夢のこと聞かれたらどうすんだ。
絶対「変な夢だな」とか言われるよな。
こうして僕は眠気が無くなり、授業が終わった後は、
谷ちゃんのいる職員室へ行き、寝たわけについてたくさん聞かされた。
勿論、ここで嘘を言ってもどうしようもないので事実をすべて話した。
夢のことは聞かれなかった。