第1話「綺麗に散ってしまいました。」
「おはよー!五月くん。」
「ああ、おはよう。」
「昨日の『復讐委員会の日常』見た?」
「ああ、見たよ。」
「もう、あれは神アニメだよ!!!」
「・・・・・・」
僕は大神五月。中学2年。
たった今、同級生で赤い髪に黒い瞳の学生服を着た少女、夢野卯月と
アニメ「復讐委員会の日常」の話をしていた。
「でさぁ、主人公が日本刀を2つ持って二刀流をやるのはかっこよかったなぁ~」
「・・・・・」
卯月は夢中で喋る。だが、卯月の言葉は耳に入らない。
僕は昨日のことを思い出す・・・。思い出したくもないのに。
ガラッ
少々ぽっちゃり気味の人が入ってきた。
先生だ。ちなみに先生の名前は谷口健介。あだなは谷ちゃん。
「あ、谷ちゃん先生だ。じゃあ、またね。」
「ああ。」
わざわざ谷ちゃん先生と長くしなくてもいいと思うが。
「あ~出席をとる。」
谷ちゃんが出席をとる。
「大神五月。」
「はい」
「鬼島枯葉・・・・は、いないのか・・・。」
鬼島枯葉。数週間前、失踪し、学校中が探したが、見つからないままだった。
数日後、学校の地下室で首つり状態で彼女の遺体が発見された。卯月の友達だった。
「次、越島沙雪。」
返事は無い
「おーい。越島は今日は休みかー。誰か知ってる奴はいるかー。」
知るわけがない。このクラスの2人以外知るはずもない。
「新田は知らないか?」
「わ、分かりません。」
震えた声で彼女は言う。
新田沙紀。越島と一緒に行動していた女の子だ。
「他に分かる奴。」
いるわけが―――
「はい」
「夢野。なんか知ってるか?」
おい・・・何してんだよ!卯月!
「越島さんは――――
綺麗に散ってしまいました。」
「え・・・・」
何お前言ってんだよ!!自分から自爆しに言ってるのと同じだぞ!!
あいつが「綺麗に散った。」という言葉を使うってことは、
死んだってことと、同じなんだよ!
「ど、どういうことだ・・・。夢野。」
「そのままのことです。越島さんは亡くなったんですよ。」
「ど、どうして・・・・。」
「自殺ですよ。」
何を言ってんだこいつは・・・。自殺だと・・・?
猫被るのも程がある。
「あたし、見たんです。首が無い越島さんの遺体を見てしまったんですよ。
あ、あたしその場から逃げたんです。それが今でも忘れられなくて、言うのが怖くて・・・。
次の日見たら、遺体は無かったんです。」
「そうなのか・・・。また1人減って・・・・。」
谷ちゃんは涙ぐんでる。
卯月は椅子に座ろうとした時、僕のほうを見る。そして、
ニャッと嗤う
卯月の目は何を考えてるのかは分からない。ずっと一緒にいる枯葉だって分からないほうだ。
そして卯月は前を向く。
僕には卯月が何をしたいのか、よく分からなかった。