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輪廻転生の真実

第3部 - クラテニアに死を

太陽が輝く朝に目が覚めた。今度は、あの名ばかりの母親が起こすことはなかった。どうやら、この家族に父親はいないらしい。まだ尋ねてはいないが、疑われたくなかった。

母親を起こし、彼女は「学校」と呼ばれる場所まで僕に付き添った。これは奇妙な感覚だった、見返りを求めない助けというものが。実のところ、「学校」と呼ばれる場所は孤児院とさほど変わらなかった。同じ黄色い壁、同じむっつりとした顔、同じ嫌な匂い。ここではチャイムで授業が始まり、音を聞いた者は各自の教室へ行き、授業が始まる。僕の授業も始まっていた。教師と呼ばれる人物は年老いた女で、授業ごとに別の教師がいるらしい。女は言った。

「今日は歴史の授業をします」

歴史の授業には多少の知識があった。クラテニア人が残忍で、ユタニア人が高貴であることは知っていた。歴史に関して教えられたのはそれだけだった。挨拶のたびに「ユタニア万歳、クラテニアに死を!」と叫んだものだ。ここでも同じように叫んだ。

「ユタニア万歳、野蛮なクラテニアに死を!」

皆が僕を化け物を見るように見つめ始めた。冷酷な化け物を見るような視線。自分たちよりも劣り、弱い化け物を食い尽くそうとしているようだった。初めて獲物のように感じた。教師も叫び始めた。

「何を言っているんだ!クラテニアは何年もユタニアと戦争などしていない!祖国への敬意はその程度か!」

体中の血管が破裂し、流れ出る血でそこにいる全員を殺したいと思うほどの怒りに満たされた。神に対する憎しみは全く別物だった。僕をクラテニアで作り直すだと?一体どんな化け物なんだ、お前は?僕も叫び始めた。

「たった2日前、僕たちの街の半分を破壊したのはお前たちだ、野蛮な化け物め、狂った無知な人間どもめ!」

教師は僕にどこでそれを聞いたのか尋ねた。

「どこでそんなことを知ったんだ、家族から聞いたのか、まさか?」

その瞬間、僕は震え始めた。分からない、もしかしたらこの新しい家族までも、この忌まわしいクラテニア人に奪われるのが怖かったのかもしれない。もっとも、彼らもクラテニア人だが。つまりクラテニア人にとって、あの戦争、自分たちの蛮行は嘘だったのだ。落ち着かねばならなかった。どうせこの無知な連中に話しても無駄だ。

「外を歩いている時に見つけた歴史書で読みました、先生、申し訳ありません」

と、あまり説得力のない説明をした。

その後、教師は僕に恐ろしい視線を送り、授業を始めた。

「クラテニアは1022年の歴史を持つ国です。現在は西暦1967年。私たちは偉大な神クラテンの誕生をもって歴史の始まりとしています。ユタニア人たちは彼らの神ユテンの誕生をもって暦を始めています。ユテン暦によれば、現在は3045年です。」

3045という数字を聞いて、僕は正気を失いそうになった。戦争があったのは3072年だった。僕は過去に転生したのか?もしかしたら神が僕に恩寵を与えてくれたのかもしれない。もしかしたらユタニアを救えるかもしれない。何をすべきか、もう分かっていた。

そう考えているとチャイムが鳴り、10分間の休み時間になった。次の授業には出ないつもりだった。どうせ、この愚か者たちと授業に出ても得るものはない。僕は急いで図書館へ駆け込み、見つけられる限りの歴史書を全て開いた。図書館にいる間にカレンダーを見つけた。年は本当に3045年だった。これは現実だ。調べた本には、過去に存在したどんな戦争についても触れられていなかった。

しかし、これらは嘘だ。僕の家族はクラテニア人によって虐殺され、その残虐性によって命を奪われたのだ。

この野蛮な者たちの歴史に存在する唯一のものは、歴史を通して彼らが成し遂げた技術的発展だけだった。戦争の痕跡は一切なかった。

つまり、高い地位に就かなければ情報を得ることはできない。この国を統治しなければ情報を得ることはできないのだ。僕の目的は定まった。情報を集め、人々を知り、そして力を手に入れること。 この卑しい者たちと絆を結ぶことはできない。この新しい家族と絆を結ぶこともできない。

操作、それが全てだ。人々を意のままに操らなければならない。歴史書で読んだところによると、この国の建国者は戦争をしないと誓っていたらしい。その誓いを破るのを阻止しなければならない。そのためには、自分の祖国を脅威のように見せかけ、力を手に入れ、そしてここを滅ぼすのだ。

第4部 - ダイチとキラ

今朝も昨日と同じように学校へ行った。今日はこの学校のクラテニア人どもを知らなければならない。この忌まわしい血を持つ者たちが何を考えているのか理解することは、彼らを欺く上でも役立つだろう。

席を探して机を見た。僕を化け物のように、あるいは獲物のように見ない子供がたった一人だけいた。僕はその子の隣に座った。その子は黒い長い髪の、美しいと言えるような少女だった。会話を始め、他人を理解するため、その子に質問を投げかけた。

「どうして皆、僕を化け物を見るように見ているんだ?君だけは、どうして普通に僕を見るんだ?」

キラの顔には嘲りの色が浮かんだ。

「あなたが本を読んだからって、どうしてそれであなたを判断しなきゃいけないの?あなたもただの子供じゃない。」

胃がむかつき、頭のてっぺんから不快な匂いが広がるような気がした。これは、受け入れられることへの恐れなのか、それとも自分より優位に立っていると思う相手を見る不快感なのか、確信が持てなかった。

僕は沈黙した。キラを道具として使うべきか、迷っていた。もしかしたら役に立つかもしれない。だが、もし絆が僕の憎しみを少しでも薄めるなら、彼女から遠ざかるべきだ。もし全てのクラテニア人が化け物ではないと考えるくらいなら、死んだ方がましだった。

彼らは僕にそう思わせたいのだ。

僕はそうは思わない。

「名前は?」と尋ねた。

キラは優しい声で、

「キラ」と言った。

「キラ」と、僕はできるだけ感情を抑えた声で続けた。「もし、ある集団の大多数が君の家族や愛する者を虐殺したとしたら、君はその集団を滅ぼすか?それとも、その少数を守るために自分の集団の大多数を犠牲にし、他の卑しい者たちまでをも守るか?」

キラの答えは、ただこうだった。

「私は少数派を守るわ。罪のない命をね。」

「お前たちは皆同じだ」と、僕は苦い嫌悪感と共に思った。「一方的な見方しかできない、心の無い化け物ども、そして未来の獲物め。」

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